- 会社名
- 株式会社最上インクス
- 事業内容
- 金属プレス加工
- 導入目的
- メンバーの前向きな内面の支援
京都に拠点を構える最上インクス様。今回は、生産技術部で部長を務める上田さんと、製造技術部の北村さんにインタビューを行いました。
上田さんは、2022年よりHEROIC(ヒロイック/心理的資本診断ツール)を自チームで利用開始され、1on1ミーティングに活用し、メンバーの内面の状態をサポートされています。さらに、2025年からはHERO Me(ヒロミー/AIキャリア相談室)も導入し、同じく1on1で活用されています。また、上田さんとは別チームながら、HERO Meの活用に手応えを感じてくださっている北村さんにもご同席いただきました。
前編では、HEROIC(心理的資本診断ツール)の活用について、
後編では、HERO Me(AIキャリア相談室)の活用についてご紹介します。

上田さん(写真左)、北村さん(写真右)、聞き手はBe&Do赤澤(写真中央)
HERO Meを1on1に「同席」させる
赤澤:ここからは、AIキャリア相談室「HERO Me」の活用について伺います。お二人はどのような場面でHERO Me を活用されていますか?
上田さん:私の場合、心理的資本診断レポートを活用してメンバーとの1on1面談を行っていますが、それに加えてHERO Me も活用しています。
これまでの1on1では、私がメンバーの話を聞きながらアドバイスするような流れで進めていましたが、そのスタイルを変え、今は1on1の場にHERO Me に”同席”してもらうような形にしています。私とメンバーが一緒にHERO Me に相談し、AIを介して対話を進めていく流れです。これで面談の質が大きく変わったと実感しています。
メンバーの気持ちや状況の整理を支援しやすくなる
赤澤:1on1ならぬ「1on2」の対話形式をとっておられるのですね!具体的には、どのようにHERO Me を1on2で使うのか教えてください。
上田さん:最初はこれまでと同じで、メンバーの心理的資本診断レポートを私と本人で一緒にみながら、「なにか感じていることはある?」と私がメンバーに聞きます。すると具体的な悩みのテーマが出てきますが、そこですぐにアドバイスはせずに、「じゃあ、それをHERO Me に聞いてみよっか」という流れで、ここから1on2形式の面談を進めます。メンバーが直接HERO Me に悩みを打ち込むのではなくて、私がHERO Me とメンバーの仲介役になって、メンバーの悩みを整理しながらHERO Me に文字入力していきます。こちらが「こういうことがあって、悩んでいます」と聞くと、HERO Me は「どう感じていますか?」「こんな整理の仕方もありますが、どう思いますか?」といった形で、どんどん質問して引き出してくれます。
赤澤:なるほど。ですがあえて質問させてもらうと、上田さん”単独”でもうまくメンバーと対話されていたと思うのですが、なぜHERO Me を同席させるのでしょう?
上田さん:いえいえ!私はタイプ的に、すぐに「こうすれば?」「こう捉えれば?」と言いがちなんです。質問されたらすぐに答えたくなるんですよね。
でもHERO Meはメンバーの中にあるモヤモヤや悩みを引き出すのが得意です。ちゃんと話を受け止めた上で、「なんでそう感じるの?」「こんなパターンがあるけど、どちらがあなたの思いに近いと思う?」みたいな聞き方をしてくれます。HERO Me を活用することで、メンバーの気持ちや状況の整理をよりうまく支援できるようになったかな思います。
赤澤:上司が先走ってしまうのではなく、ちゃんとメンバーのペースに合わせて思考を整理していけるんですね。
その課題に対する行動をなぜとるのかが理解できる
赤澤:HERO Me は気持ちや状況の整理に加えて、行動のアドバイスも提示します。これについては、どのように1on2で活かされていますか?
上田さん:最終的には、心理的資本診断レポートに記載されている「おすすめの習慣・タスク」のアドバイスと近い内容がHERO Me からも出てくるとは感じています。ですがHERO Meとの対話では課題やモヤモヤが整理・言語化された上でのアドバイスになるので、なぜその行動をとるのかという根拠が明確になります。その方がよりメンバーは納得感があるでしょうし、上司の立場としても背中を押しやすくなりました。
「上司がすべきことをしていない」とはならない
赤澤:ところで、これもあえて伺いたいのですが、AIを面談に取り入れるとなると、メンバーとしては抵抗感があるかもしれません。メンバーの反応としてはどうでしょうか?
上田さん:私の場合、完全にHERO Me に面談を任せているわけではありません。例えば、HERO Meの答えに違和感があれば、そのまま「私は違和感があるけど、あなたはどう感じた?」と本人に問いかけることもあります。
実はメンバーからの質問が直接私ではなくHERO Me に行く分、メンバーの反応を観察する余裕・余白が生まれ、自分は客観的になれるので、冷静になって意見を伝えられるようにもなっています。
このように、1on2を通じて上司とメンバーがお互いに考えを確認し合える形をとっているため、「面談なのに上司がすべきことをしていない」「上司と対話できていない」という印象にはならないと思います。むしろメンバーにとっても、「ちゃんと上司が自分を理解してくれた上でアドバイスしてくれている」と感じられるのではないのでしょうか。
赤澤:1on2でHERO Me をうまく活用いただき嬉しく思います!
本当に知りたいことが見えてくるまでHERO Me と対話を続ける
赤澤:ここからは北村さんにもお聞きします。まずはHERO Meを初めて使ってみたときの率直な感想はどうだったか教えてください。
北村さん:正直に言うと、最初はかなり構えてしまいました。HERO Meとやり取りを始めたものの、「何をどう言えばいいのか」「どんなふうに伝えればいいのか」が分からなくて。返ってくる言葉も、「こう言ったら、こう返ってくるだろうな」と予想できてしまう感じがして、物足りなさを感じていたんです。
そこで上田さんに相談しました。頂いたアドバイスを意識するとだんだんと自然に会話できるようになっていき、上田さんから、「うまく会話してるじゃないですか!」って言ってもらえるようにまでなりました(笑)。
赤澤:上田さんはどんなアドバイスをされたんですか?
上田さん:私が伝えたのは、「HERO Meから返ってきたアドバイスに対して、『まだよく分からない』とか『ちょっと違うな』と感じたら、そこで対話を終えずにもう一度聞いてみていいよ」ということです。自分が本当に知りたいこと、整理したいことが見えてくるまでやりとりすると良いとアドバイスしました。
赤澤:そういった“相談のコツ”を少しずつ掴んでくださったのですね。
自分が「あの人はできない」と決めつけていたと気づいた
北村さん:HERO Me への相談でとても印象深い出来事があったので、お話させてください。人と接するのが苦手なメンバーがいて、そのことを私がHERO Me に相談したエピソードです。私はHERO Me に、「どうしたらその人が壁を破って、もっとみんなと関われるようになるだろう?」と具体的な状況を伝えました。さらにやり取りを続け、「このとき本人はこう思っていたかもしれません。HERO Meはどう思いますか?」といった質問を何度も投げかけました。すると、そんなやり取りを重ねるうちに、私の中でそのメンバーに対する理解が深まり、自分ができる行動・関わり方について整理ができたんです。
そこでふと、「私、このメンバーはできないと決めつけていたかも知れない。壁を作っていたのは私だ。」と気づいたんですよね。本当はその人にもっとポジティブになってほしいと思っていたのに、気づけばその人の“マイナスな面”ばかりに注目して否定的になっていて、私自身がポジティブな心を持つことを忘れていたんです。「どうしたらできるようになるのか?」という視点で考えられていなかった。
そんな自分の思い込みに気づいてから、そのメンバーへの接し方が変わり、こちらから「大丈夫?」「心配事ない?」と積極的に声をかけていけるようになりました。すると、そのメンバーも徐々に自分からチームメンバーに話しかけるようになってきたんです。ある日には別のメンバーが私に「なんかあの人変わったね」って声が上がってきて、すごく嬉しかったです。
赤澤:その方の変化が別の方から伝わってきたというのは、すごいことですよね!
自分自身の視野が広がり、「良くするために行動」に繋がる
上田さん:今の北村さんの話を聞いて、あらためてHERO Meの良さに気づいたことがあります。部下や後輩のことで悩んで、「どう関わればいいんだろう」と考えているときって、実は自分自身の視野が狭くなっていることが多いんですよね。
でも、HERO Me はそんな相談に対して、相談するその人自身についても目を向けてくれるんですよ。「それを気にしているということは、ちゃんと相手のことをあなたが気にかけているからですよね」みたいな言葉を返してくれると、ハッとするというか、すごく冷静になれる感覚があります。
北村さん:わかります、それ。人への相談だと、なかなかそういうふうには言ってもらえないですよね。だいたい、「ほんまやな。それはあかんな~」みたいな会話になる(笑)。でもHERO Me は、「そこに気づけたんですね、すごい!」ってちゃんと認めてくれる。そう言われると、「たしかに私、すごいかも!」ってちょっと思えて、ポジティブになれるんです。
上田さん:HERO Me のポジティブなフィードバックが、自分の視野を広くして、さらに「課題を解決したい」「自分が行動したい」という気持ちを高めるんだと思います。
HERO Me は広く見てくれていて、色々な言葉で返してくれる
赤澤:普段、「HERO Meに相談しよう」と思うのは、どんなタイミングですか?
北村さん:そうですね。例えば上司や同僚って、普段からやり取りしているので、「この人に相談したら、だいたいこう返ってくるだろうな」というのが予想できるじゃないですか。たとえば上田さんは、結論をズバッと先に言うタイプなので(笑)、結論がほしいときはすぐ上田さんに相談します。
同じように、「この悩みはHERO Me に聞いたらきっと良いだろう」と思ったときには、HERO Me に相談します。HERO Me は自分の求めているだけの答えではなく、広い視点で問いをくれて、色々な言葉を返してくれるので、気づきを得やすいと私は感じています。
あと、HERO Me には何でも言いやすいという良さもあります。「こういうこと言ったらどう思われるだろう」と気を遣って話す必要はないので、素直に言えます。
赤澤:まさにHERO Me だからこその安心感ですね。
“成果につながる支援”として、ツールを活かし続けたい
赤澤:最後に、心理的資本診断やHERO Meを、今後どのように活用していきたいと考えていますか? もし感じている課題や展望があれば教えてください。
上田さん:これは当初からずっと変わらない思いですが、「成果を出すために、メンバーの内面を支援すること」がツールを利用する目的であることをいつも意識しています。逆に言えば、仕事の成果につながらないのであれば、ツールを使う意味はないと思っています。HERO Me を使った1on2にしても、単なる悩み相談の時間にはしたくありません。あくまで、「どうすれば前に進めるか」「成果につなげるにはどうしたらいいか」を一緒に考えるためのツールとして、引き続き活用していきたいと思います。
今は私の部署を中心にツールを活用していますが、将来的には会社全体で従業員を支援する仕組みとして活用し、組織をさらによくしていきたいと思っています。とはいえ、「どう広げていくか」はまだまだ課題です。まずは、実際に使ってもらって「いいな」と実感する人を社内に少しずつ増やしていきたいと思っています。
北村さん:自分を客観的に見るためにも、ぜひHERO Me を多くの人に試してほしいです。私がHERO Me のおかげで気づきを得られたような体験を、他のメンバーにも体験してほしいと思っています。
赤澤:本日は貴重なお話を、本当にありがとうございました!