- 氏名
- 山崎 美和(Career Voice 代表)
- プロフィール
- フリーアナウンサーとして活動後、キャリアコンサルタントの資格を取得。キャリアヴォイスを立ち上げ、声を通じたキャリア支援を全国各地で行う。2016年より、企業内の人材育成やキャリアデザイン、イノベーター育成、イベントプロデュースに取り組む。現在は、「活きるチカラをすべてのヒトに!」を目的に、キャリアコンサルティングを通じて、経営者と従業員の架け橋として活動している。
心理的資本を高める介入法=ガイディングのスキルを有するPsyCap Masterの認定を取得された山崎 美和さん(写真右)に、お話を伺いました。聞き手:Be&Do赤澤(写真左)
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2025.01.17
<前編>1on1を意味のある時間に。心理的資本の活用方法とは?山崎美和さんインタビュー
氏名 山崎 美和(Career Voice 代表) プロフィール フリーアナウンサーとして活動後、キャリアコンサルタントの資格を取得。キャリアヴォイスを立ち上げ、声を通じたキャリア支援を全国各地で行う。2016年より、企業内の人材育成やキャリアデザイン、イノベーター育成、イ...
インタビュアーより一言キャリアコンサルタントとしてご活躍の山崎さん。後編では、心理的資本をテーマとした管理職研修の手応えや、地方で活躍する山崎さんの想いについて伺いました。
前向きに取り組む姿勢が生まれ、研修への手ごたえを感じた
山崎さんは心理的資本をテーマとした研修も実施されています。その内容や、そもそもの研修提供の目的についても、少しお話しいただけますか?
今回、このPsyCap Masterの資格を取得し、「心理的資本をいま私が住んでいる大分の皆さんに広めたい」という新たなミッションを得たと感じています。ただ、1on1ミーティングのアプローチだけでは広がりに限界があるので、研修を通じてより多くの方に心理的資本を伝える取り組みを始めています。
行政が主催する研修など、さまざまな企業の方が集まる場での講師としてお声がけいただき、その際に心理的資本をテーマとした研修を提案・実施しています。これまでに、女性管理職を対象とした管理職研修や、性別を問わずリーダー育成を目的とした心理的資本の研修を行いました。また、顧問として関わっている企業では、管理職向けに「心理的資本×心理的安全性」をテーマにした研修を行いました。
心理的資本は個人の内面に焦点を当てた概念ですが、これに加えて職場環境としての心理的安全性も両輪で必要であるとお伝えすることで、受講者の皆さんから、「納得感があった」という声を頂いています。結果として、皆さんから仕事に前向きに取り組む姿勢が生まれており、研修への手ごたえを実感しています。
管理職自身も非常に悩みを抱えている
研修を受講される管理職の方は「心理的資本」という言葉自体を初めて聞く場合も多いと思います。
そうですね。実は当初、若手社員の離職防止を目的に心理的資本の研修をしようと考え、「管理職が心理的資本を理解し、若手の心理的資本を高める支援について学ぶプログラム」を準備しました。
しかし実際に研修の中で管理職である受講者の皆さんと対話して気づいたのは、管理職自身も非常に大きな悩みや負担を抱えているということです。いま世間では管理職という役割そのものが「罰ゲーム」と言われているほどに業務負担が大きい現状が指摘されていますよね。プレイングマネージャーとして現場業務をこなしながら、若手の育成や離職も防がないといけないという責任を負う中で、自分の部下が辞めるたびに「なんで辞めたんだろう」と心を痛めてしまうことも少なくありません。だから心理的資本を理解することは、若手の離職防止だけでなく、管理職自身の辞職防止にも非常に有効なんです。
確かに、「管理職、若手をなんとかしてくれ」というテーマの研修はよくありますが、管理職自身の心理的資本を高めるというテーマは、あまり耳にしないですよね。
そうなんです。このテーマは結果的に若手の支援と管理職の両方を同時に支援できるという点が非常に効果的だと感じています。
私が実施している管理職研修では、まずは心理的資本診断ツール(HEROIC/ヒロイック)で診断を受講者に受けていただき、管理職自身に自分の心理的資本の状態を知ってもらいます。そしてその診断結果レポートを題材に、受講者同士でどうすればお互いの心理的資本を高めていけるのかをワークショップ形式で話し合います。
研修を受けた管理職の中には、他者の心理的資本の高め方への理解を進めるのはもちろんのこと、「自分自身の心理的資本を高めることが大事だ」と気づく方も多く、研修後に「1on1をお願いしたい」と直接私にリクエストされることもあります。管理職自身の心理的資本が高まっていけば、それがメンバーにも波及していき、組織全体にポジティブな変化が起きていくと思います。
「キャリアコンサルタントはイノベーターであれ」
管理職の心理的資本を高める支援をどんどん増やしていきたいですね。
話が変わりますが、山崎さんご自身が、今後さらに心理的資本を活用して注力していきたいこと・思い描いていることはありますか?
私はキャリアコンサルタントになる前、フリーアナウンサーとして18年間活動していました。その後、自分の中で「何か新しいことをしたい」という想いが芽生え、このキャリアに飛び込みました。ただ、キャリアコンサルタントがフリーランスとして仕事を得て活躍するのは大変で、特に地方では難しいと思っています。そんな中で私たち支援者自身が疲弊してしまう現状があります。だから一時期、キャリアコンサルタントが独立して活躍するための支援者となる道を模索したこともありました。
そんな経験からたどり着いた私のモットーは、「キャリアコンサルタントはイノベーターであれ」ということです。時代の流れや相手の求めているニーズを先読みし、既存のものをうまく掛け合わせ、さらには人と人をうまくマッチングさせたりしながら、新しい価値を生み出していく。仕事がないなら作るというマインドが必要だと実感しています。
私はこの心理的資本と出会ったことで、支援者自身も自分の状態を常に知り、整えることが大切だと今まで以上に思うようになりました。キャリアコンサルタントとして活躍する為に何が必要かという議論では、どうしても支援の技法に注目が集まりがちですが、支援者自身が心理的資本を高く保ち、イノベーターとして活動できる状態を作ることが不可欠だと考えます。何か大変な状況に直面したとき、それをどのように捉え、面白さを見つけながら乗り越えられるか。心理的資本の構成要素(HERO)でいえば、特に「乗り越える力(Resilience)」と「柔軟な楽観力(Optimism」の部分が非常に重要だと感じています。
私自身、大変な状況に直面するたびに「これを乗り越えれば自分がアップデートできる」と常に思いながら前に進んできました。キャリアコンサルタントの活躍の場を広げるためにも、心理的資本のノウハウを多くのキャリアコンサルタントの人たちに知ってほしい。そんな後押しを私ができたらなと思います。
企業に向けた支援として、フリーランスのキャリアコンサルタントが活躍の場を広げるためには、一人ひとりが具体的にどう行動すべきなのでしょうか?
キャリアコンサルタントをはじめキャリア支援に携わっている方々の中には、企業に向けた支援をしたい、もっと機会を増やしたいという想いを持っている方は多いと思います。企業支援の機会を増やすためには、多くの人と関わり、話を聞き、お困りごとを知る関係性や環境を築いておくことが大切だと私は考えています。
せっかくなので、少し私自身の活動の話をします。私が大分で企業向けの研修や1on1ミーティングの代行支援でアプローチができているのは、6年前に仲間と立ち上げた「Oita イノベーターズ・コレジオ」がきっかけなんです。今日着ているこのパーカーと、あとマグカップも実はそのロゴが入ったものなんです。
今日は山崎さんパーカーだなと思っていました。そういうことだったんですね!
そうなんです(笑)。この活動は、私が関東から大分に戻ったときに感じた、「ダイバーシティや越境学習の場を大分に作りたい」という想いから始まりました。賛同してくれた仲間や、協力してくださる企業の皆さんと共に立ち上げました。この場を通じて、多様な企業の皆さまと学生さんが一緒に学び合い、イノベーションについて学びあっています。
私はファシリテーターとして裏方を務めていますが、裏方の活動を通じて参加者の日頃のお困りごとや「今これが必要なんだ」といった声を直接聞ける環境に身をおくことができています。この環境が、自分の学びの場となっているのと同時に、関係性の中で自然と仕事に繋がることもあります。そのおかげで、私は今キャリアコンサルタントとして企業支援に取り組めているのだと感じています。ですから、仕事はただ待っているだけでは降ってきません。もし「何かをやりたい」と思うなら、失敗してもいいのでとにかく行動に移すことが大切だと思うんです。
なるほど。環境を築くことがとても大切であり、その一歩目の行動を起こすためにも、自身の心理的資本の状態を整えておくことが欠かせませんね。山崎さんのお話から、企業の支援をしたいという強い信念を感じます。
ありがとうございます。私は、企業が元気にならないと、地方がどんどん衰退してしまうという危機感を持っています。「Oita イノベーターズ・コレジオ」を立ち上げた背景には、地方の企業で働く従業員の方々がイキイキとしておらず、目が輝いていないのではないか?という現状への危機感がありました。
働く従業員に「活きる力」を感じてほしい。その想いで、私はこれからも企業支援に注力していきます。また、同じ志を持つキャリアコンサルタントの方々の後押しもしていきたいと思っています。
最後に、これから受講を検討される方へのエールをお願いします。
繰り返しになりますが、私は企業との関わりを深めたいという想いで心理的資本を学び始めました。この学びは、企業支援を継続して行うための頼れる相棒になっています。キャリアコンサルタントの方にも、ぜひ心理的資本について学んでほしいし、心理的資本診断ツール(HEROIC/ヒロイック)も活用していただきたいです。まずは、一歩を踏み出してみてください。一緒に、キャリアコンサルタントの活動を盛り上げていければ嬉しいです!
山崎さんの活動を応援しています。また、微力ながら引き続きサポートできれば幸いです。本日はありがとうございました!