一人ひとりの成長を支援する場所を作りたい ~Wellbeingサポートルーム事例インタビュー

  • ロート製薬株式会社
ウェルビーイング
会社名
ロート製薬株式会社
事業内容
医薬品・化粧品・機能性食品等の製造販売
Webサイト
https://www.rohto.co.jp/

経営ビジョン2030として「Connect for Well-being」を掲げ、社員のWellbeingに本気で取り組んでいらっしゃるロート製薬様。社員のWellbeingに関する悩みやモヤモヤを1対1で相談する場として「Wellbeingサポートルーム」を開設したいというご相談をいただき、2022年8月よりBe&Doが運営を受託させていただいております。本施策をスタートされた経緯や開設後に感じられている効果などについて、サポートルームでサポーターも務めているBe&Doの舞田が、人事総務部 副部長の山本明子さんにお話を伺いました。

「Wellbeingサポートルーム」開設に至った背景

舞田最初に、そもそもこの「Wellbeingサポートルーム」を開設しようというのは、どんな議論から生まれたアイディアだったんでしょうか?

山本さん:昨年から当社では独自の指標を作って、社員が自らのWellbeing度を振り返ってもらうという取り組みを始めました。どうすれば自分のWellbeingを上げられるだろう?と、人事などに相談に来てくれる人はいいのですが、人事に自分の内面や本当に悩んでることが言える人は多くないだろうし、ここは外部からのサポートが必要なのではと考えました。

実は社員に自分のWellbeingを振り返ってもらうと、キャリアに関する設問の自己評価が低いのです。キャリアに関することは、社内の人間からは社内でのキャリアの作り方の助言はできますが、社内という枠を超えたキャリアに関するアドバイスは、社内の人間がしてもあまり響かないだろうなと思ったんです。

舞田:社内の人に相談すると、もしかすると評価と紐づいてしまうんじゃないか?と懸念も感じられるかもしれないですよね。

山本さん:こんな相談をしたら異動の対象になるんじゃないかとか、余計な不安が出てきますよね。そう思うと、特にキャリアは外部の専門家でないと難しいなと考えました。実際、福利厚生の一環としてのキャリア相談室みたいなものは、いくつかの会社から提案をもらいましたが、ただ専門家を用意しさえすればみんなが相談に行くだろうか?自分たちの会社のことを何も知らない人にゼロから説明しなければいけない場で本音が話せるだろうか?という懸念を感じていました。

そこで、Be&Doさんだ!と考えたのです (笑)。当社とは本当に長いお付き合いなので、経営トップの考えも理解いただいていますし、相談に来る社員にとっての上司にあたる人が考えていることも概ね理解いただいています。そんな当社のバックグラウンドをわかったうえで相談に乗っていただけると思ってご相談しました。

舞田:それは本当に光栄です。社員のWellbeingを高めるためには社内でできることだけでは不十分だと気づかれた視点も素晴らしいなと思ったのですが、本当に社員が相談しやすい場所にしたい、とこだわられたところにも御社の本気度を感じます。

「Wellbeingサポートルーム」に込めた想いと、運用の工夫

舞田:この「Wellbeingサポートルーム」っていう名前を付けられたのも本当に絶妙で素晴らしいなって感じたんですけど、ネーミングについてはどんな風に決められたんですか?

山本さん:かなり考えました!(笑) 人事メンバー(矢野・柳・山本=チームYYY)でいくつも候補を出しました。「キャリア相談窓口」「Wellbeing1on1」「キャリアドッグ」みたいな案もありましたが、こだわりたかったのは、”ほっこりできて安心して話せる”雰囲気。どんな名前だったら伝わるのか?と散々議論しました。そしてあくまでもWellbeingは自分が主役なので、コンサルティングやコーチングのような形ではなく、”支援・サポート”という形がいいなと思い、“Wellbeingサポートルーム”に決定しました。

チームYYY(左から、矢野さん・山本さん・柳さん)

 
舞田:本当にその想いにピッタリのネーミングですよね。
運用ルールについては、基本的には完全に弊社にお任せいただいていて、御社人事との共有事項は、誰がいつ申し込みをしたのかという程度の本当に最小限の情報と、不定期にフィードバックさせていただいている全体の傾向や当社の所感だけですよね。そうやって人事には情報が行かないルールになっていることが、安心して相談いただける場になっているポイントなのかなと思うのですが、、、でも人事としては、本当は聞きたいものじゃないですか?(笑)

山本さん:はい(笑)。社員は、本当に人事に情報は行ってないの?と思っているかもしれないですけど。そこはグッと引いて、社員のための場であるということを大事にしたいなと思っています。

舞田:本当に本人のための場所になるのか?っていうところにすごくこだわってくださっていらっしゃるんだなというのは、随所で感じています。実際、おそらく一般的なこういう相談窓口と比較すると、利用率がすごく高いですよね。最初の発信だけじゃなくて、定期的に伝える切り口を変えながら社員の方に案内をしてくださっているのも効果の一つなのかなと思うのですが。

山本さん:月毎にメールで全体にアナウンスをしたり、それと並行して、キャリア関連の研修などに参加したメンバーに個別におすすめしたりというような動きもしています。

舞田:そのあたりがすごく丁寧でいらっしゃるなと感じます。相談できる場所を形だけ用意して「あとはご自由に」っていうことではなくて、活用してもらうためにはどうしたらいいか?っていうところを本当に真剣にされているなと感じます。

山本さん:正式スタートする前に何人かトライアルで受けてもらって、どう社員にアナウンスするのがいいか、どんな人に受けてもらえたらいいかなどフィードバックもらって参考にしました。そしてやはり、実際に「Wellbeingサポートルーム」を受けた人の評判で「行って良かったよ」というところから口コミ的に徐々に広がり始めている感じがします。

開設4ヶ月で見えてきたこと

舞田:それは本当に嬉しいですね。終了後に任意で回答いただいているアンケートにも、記名式にもかかわらず嬉しいコメントをたくさんいただいています。

利用者の声(一部)・対処法など具体的にアドバイスいただくことができ、未来がひらけた気がします。さっそく明日から実践してみようと思います。
・広い視野で、多角的な意見が頂けて、悩み解決の道標になりました。
・実際の悩みを聞いてもらい、その状況に応じたチーム力の高め方を個別指導いただけるので、研修セミナーより実践に繋げやすいです。

舞田:この「Wellbeingサポートルーム」が始まってからまだ4~5ケ月くらいですが(インタビュー:2022年12月)、私どもからフィードバックさせていただいている全体の相談分野の傾向や、あるいはこうした利用者のアンケート結果などをご覧になっていて、当初の想定と違ったところなどはありますか?

山本さん:キャリアの相談だけでなく、上司や職場における人間関係に関する相談件数が思ったより多かったのはちょっと驚きでした。でも逆に、こうした相談も拾うことができる場になっていてよかったなと思います。

一方で、キャリアの相談についてしっかりサポートしてもらえる場になっていることは期待どおりでしたね。「自分はこの先、どうしていったらいいだろう?」という相談は、なかなか人事には来ないものなので。

舞田:そうなんですね。ロートさんって副業や社内ダブルジョブなど自律的にキャリアを進んでいくための選択肢がたくさん用意されているじゃないですか。でもいわゆる「キャリア」っていう発信の仕方はあまりされてこなかったっていうことですか?

山本さん:はい。自分でキャリアを広げたり伸ばしたりする仕組みはいろいろありますが、どれも会社から与えられるものではなくて、自分で手を挙げて取りにいかなきゃいけないものになっています。それを選択するか否かは個人に任せる、という考え方なのです。だからこそ悩んでいる人も多いと思いますし、第三者と話をする機会はとても貴重だと思います。

さらなるWellbeing向上に向けて、これからの展望

舞田:Wellbeingの向上に向けて、これからもっとこうしていきたい、というような展望はありますか?

山本さん:Wellbeingサポートルームは、ある程度期待したとおりのもの(相談の受け皿)になっていると思うので、ここから一歩進んで、本当に社員のWellbeingに貢献ができたらいいなと思っています。

舞田:そもそもWellbeingっていう言葉を使う前から、ロートさんは人を大切にするという経営の信念みたいなものをずっと持っていらっしゃいますよね。

山本さん:はい。創業以来ずっと持っている考え方だと思います。人事という立場になって改めて感じることですが、いろんな制度も全部「どうすれば社員が力を発揮できるか」ということに帰着して作られてきたというのはすごく感じます。

私たちが考えるWellbeingには「成長」という視点が重要な鍵になっています。自分で仕事にやりがいを見出さない限り、結局楽しくもないし成長もしない。自律的な成長がないと、本当の意味でのWellbeingではない、と私たちは考えています。

舞田:自律的なキャリアや一人ひとりの成長を支援する場所としてWellbeingサポートルームを作られたわけですが、実際、ご相談に来られたみなさんは、最後には表情が明るくなって「相談できてよかったです。明日からこれをやってみます!」というような前向きな言葉で終えていただくことが多いです。

なかには2回3回とリピートで来てくださる方もいらっしゃって「前回相談した件をやってみてこうだった」というお話をしてくださる方も。それは、その方のWellbeingにとって意味のある対話の場だと感じてくださっていると思います。

山本さん:リピートする人がいるというのは、1つの指標ですよね。この先は、逆にロートに足りないところをBe&Doさんからフィードバックいただけると嬉しいなと期待しています。〇〇な相談が多いのはこの辺が充実していないからじゃないかとか、人事からは見えていない、こんな人達が置き去りになっていないかとか、そんなことも気づかせていただけたら嬉しいです。

今こうしてサポートルームでじっくり話を聴いてもらえる経験をしていくと、その人が聴く立場になったときにその経験が役立つと思いますし、そうした訓練の場のひとつにもなるかもしれません。
とはいえ、まだまだ活用してもらいたい人に届いていないとも感じており、道半ばでもあります。もっと気軽に、必要な人に活用してもらう工夫はこれからだと感じています。

舞田:長期的視点では、部下や仲間のWellbeingを支援するような対話ができる人が、どんどん社内に増えてくるといいですね。

まだ始まったばかりのWellbeingサポートルームですが、これからロートの社員の皆さんが気軽に立ち寄れる、ご自分のWellbeingを考えるきっかけやヒントとなる場として、私どもも精一杯お役立ちできればと思います。

本日は、Wellbeingのヒントたっぷりの貴重なお話をありがとうございました!

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