自信を持つためのマインドを、もう一歩踏み込んだ言葉で説明できる

  • PsyCap Master認定者インタビュー
PsyCap Master
氏名
藤原 裕史(信和ホールディングス 人事部長)
プロフィール
1987年より関西の子供服メーカーで人事業務全般を経験。2022年1月より現職。開発から建設、仲介までワンストップで手掛けるデベロッパー&コンストラクション事業で成長著しいグループ企業の人材戦略全般を担当。社外活動としてSDGsやD&I関連のワークショップなどにも積極的に取り組み中。

心理的資本を高める介入法=ガイディングのスキルを有するPsyCap Masterの認定を取得された藤原 裕史さん(写真左)に、お話を伺いました。聞き手:Be&Do赤澤(写真右)

従来の経験値的な人材育成ではなく、体系的に伝えられる方法を探していた

藤原さんのお仕事と、ご受講の経緯を教えてください。

大学卒業後、子供服メーカーに入社し、新卒採用チームや中途アルバイト採用、人事制度全般など、人事のキャリアを長く経験しました。その中でも特に教育研修の領域が難しいけれども面白いと感じ、それを専門にした会社を設立し、グループ企業全体の教育研修を担当してきました。また、社外にも自社のノウハウ提供を行っていました。

しかし、教育研修に約10年間取り組んできて、教育だけでは人事全般がうまく進まないことも見えてきたので、もう一度人事全般に関わる仕事をしたいという思いがありました。そんな時にご縁があり、2021年10月に信和ホールディングスに入社して、現在はグループ企業を含む人事全般のマネジメントや教育研修の体系化に取り組んでいます。

当社は現在急速に成長しており、人員体制も大きく変化しています。そのため、この変化に柔軟かつポジティブに対応していけるタフな人材や環境、風土を作っていくフェーズにあります。それを実現するために、従来の経験値的な採用や育成ではなく、科学的に再現性があって、かつ体系的に伝えられる方法はないかと探していました。そんな中で心理的資本という考え方に出会い、まさに当てはまるものだと感じました。このノウハウを当社の教育研修に活用できると直感して、講座を受講することにしました。

コンテンツは受講者の立場を考慮して作られていると感じた

受講前に感じていた不安などはありましたか?

他の取り組みもある中での受講だったため、完走できるかという不安がありました。実際、以前に受けた別の講座では最後まで続けることができなかった経験もありましたので、今回も同じようにならないかと心配していました。

また、まずは直近で開催が決まっていた当社の新入社員研修に講座で学んだ内容を取り入れたいと思っていたので、学んだことを自分の中で会社に合う形に翻訳して、成果をしっかり出せるかという心配もありましたので、受講ではその点を意識していました。

実際に受講されていかがでしたか?

講座はすべてオンライン上で進める形式で、私にとっては初めての経験でしたが、しっかりと学びを得ることができました。

eラーニングでは、一つ一つの単元のボリューム自体は短く、また単元ごとに理解度チェックテストがありましたので、通勤や待ち時間を利用してテンポよく学習を進めることができました。

コンテンツ自体も整理されており、受講者の立場を考慮して作られていると感じました。例えば、心理的資本の構成要素であるHEROについて、順番通りではなく、まずはEfficacy(エフィカシー)の章から学ぶように学習の流れが意図的に設計されていますよね。また、HEROを開発するワークシートの取り組みが課題として提供されていますが、実施して感じた気付きの部分のみを専用サイトへ共有する流れとなっています。自分が書いた生の情報が載っているシートを提出するのであれば自己開示にナーバスになるかもしれませんが、この方法なら安心して取り組むことができます。

受講によって「Efficacy」「チームの状態」が高まった

ご自身の変化や気付きはありましたか?

受講にあたって、私自身は講座の学習を最後まで完了することを第一の目標にしていたのですが、専用サイト上での活動に対するリアクションや、ガイド講師からのサポートなど、学習プロセス全体が受講者のHEROが高まりやすくなるような仕掛けで構成されていると感じたため、それに乗ることで学習を前向きに進められ、目標を無事達成することができました。

講座を最後までやれたことで、私の心理的資本のEfficacy(エフィカシー/自信と信頼の力)が高まった実感があります。実際、講座前後に実施した心理的資本診断の結果でも、終了時ではEfficacyの項目の値が向上していたんです。

また、診断結果では「チームの状態」の項目の値も高まっていました。結果を見て、私自身の変化がチームに良い影響を与えたのかなという印象を受けました。受講期間中、朝起きて専用サイトで私が登録した行動習慣のリストをチェックし、職場で「チームメンバーに感謝を伝える」などの習慣を一つ一つ丁寧に実践していきました。さらに、HEROという新たな視点が自分に入ったことで、職場で実際に起こった出来事に対する認識や対処方法を変えることができるようになったと思います。これらの実践によって、チームがうまく回転してきたという実感を持っています。

新入社員のマインドを高めるために、ノウハウを研修で活用

ノウハウをどのように実務で活用されているのか教えてください。

「LEGO®タワー」取り組みの様子

今年度の新入社員研修では、レゴ®ブロックを積み上げるチーム対抗戦を通じた体験学習のトレーニングを実施しました。そこにHEROの概念を取り入れて、新入社員の一人ひとりがこれから社会人として活躍するための自信を持ってもらうこと、またそのようなマインドを身に付けてもらうことを大きな目標としました。私は長く新入社員の研修に携わってきましたが、最近の新入社員の傾向として、「こうありたい」というWillは持っているけれど、その目標に到達するための複数の道筋を描くWayの力が不足しているという印象を持っています。

その根本的な原因として、「自分にできるだろうか」というように自信がなく、強いEfficacyを発揮できていないのではないかと私は考えています。一般的に、新人教育は社会人として必要な知識やスキルを身につけてもらうことが狙いですが、単に形だけを教えるだけでは不十分で、スキルを活かす土台として、努力すれば成長できるという自信を持ってもらいたいと思っています。

ただ、私が感じていた課題は、研修の中で新入社員に対して、そのようなマインドを持つ思考の仕方をうまく体系的に教えることが難しいという点です。まさにそこを心理的資本のHEROの考え方で説明できると思い、今回の研修に取り入れることにチャレンジしました。

マインドの持ち方を一歩踏み込んだ言葉で説明できたからこそ、相手の腹に落ちた

レゴ®ブロックを積み上げる体験は、基本的に誰もが経験したことのないものですよね。知識や経験がない状態で、新入社員のみんなで挑戦します。具体的には、複数のチームに分かれて計5回のチャレンジを行い、ゲーム感覚で得点を競い、1位を目指します。最初の挑戦ではレゴ®ブロックの高さを競います。2回目は1センチあたり1万円と換算して売上を競います。このように、チャレンジごとにルールや得点の計算方法が変わり、少しずつハードルが上がっていきます。勝ったら嬉しく、負けたら悲しい気持ちになります。例え負けても、その状態からどう挽回するか。チームで振り返りや作戦会議を行い、アイデアを出し合って取り組みます。複数回のチャレンジを経ると、どのチームもレゴ®ブロックを天井まで積み上げられるようになります。「天井までは積めるよね」という自信を持った上で、そこに到達するための方法を考えることができるようになっています。心の持ちようが変わってくるんです。

また、この課題の間には全体で時間を設けて、私から新入社員に自信を持つためのマインドについて、HEROを用いて考え方を伝えました。ただし、難しい用語は抵抗感を持ってしまうので、できるだけ平易な言葉に置き換えて伝えるようにしました。伝えたのは、例えば以下のような内容です。

Hopeの視点一人ひとりが将来こう在りたいと思うように、会社も目指したいミッションや目標があります。皆は同じ方向を向いて進んでいく仲間です。お互いに握ったからそこにいる。ただ、そこにいくまでの経路を、今の時点で描くのは中々難しいですよね。最初は社会人で基本的なことを一個ずつでいいので、目の前のことにしっかり対応することが大事です。

Efficacyの視点今回、「頑張ろうぜ」と取り組んで、真っ直ぐ進むことができましたか?山谷がありましたよね。仕事でも日々、起伏があります。このような状態のとき、自分自身が何を拠り所として前に進んでいけばよいか。それは「頑張って取り組むことで成長していける」と、自分の中でしっかり物事を振り返って、自信にしていくことです。

Resilienceの視点ピンチに陥った時には、自身の強みと周囲の強みを組み合わせて次の策を考えることが重要です。それによって問題を乗り越えることができます。

Optimismの視点落ち込んだり失敗することは必ずありますが、そうした時にどのように対応するかが重要です。過去の結果は変えられません。変えられるのは未来だけだから、次にどう進むかに焦点をあてて集中して取り組めば、乗り越えることができます。

LEGOタワースライド抜粋

説明時に使用されたスライドの一部を抜粋

 

新入社員たちがどのようにこれらの言葉を受け取るか不安でしたが、みんなが静かに聞き入ってくれた様子で、非常に手応えを感じました。これは、今まで私の中でマインドについてうまく説明できなかったのが、HEROの要素からもう一歩踏み込んだ言葉で説明できたからこそ、新入社員のみんなの腹に落ちたのだと思っています。さらに言えば、このようなマインドの持ち方は過去にドラマやスポーツなどで聞いていて、みんなが心のどこかで同意している内容だと思いますが、それが抜け漏れなくHEROの4つの観点から説明されることで、より納得感を持って受け取ることができるのではないでしょうか。

今後は、この仕掛けを社内のさまざまな研修に組み込んで、言い続けようと思っています。どの階層にも少しずつHEROのマインドが浸透していけば、気が付いたときには会社全体の風土が変わっていくと思います。

組織やチームに対しても心理的資本の考え方を活用できる

これからPsyCap Masterを目指される方へメッセージをお願いします。

心理的資本の概念やガイディングは1on1など個々に対して活用していくイメージもありましたが、組織やチームにも活用できるノウハウであると私は感じています。組織開発や教育研修に関わる方々にとっても、素養としてこのノウハウを持つことは素晴らしい資産になると思いますので、ぜひおすすめしたいです。特に、経験学習と心理的資本の組み合わせは非常に相性が良いと感じます。理論を聞いただけだと、「なるほど、そうだね」で終わってしまいます。体験と心理的資本の考え方を掛け合わせることで、より高い効果を得られるのではないでしょうか。

知識を習得するための手法は多くありますが、その根幹となる心理的資本、すなわち前向きな考え方を持つことが、特にこれからの時代においては大事だと思います。私も引き続き実務家として心理的資本の考え方を実践し、成果を皆さんと共有できるよう取り組みたいと思っています。

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