こんなお悩みはありませんか?

  • 組織の活力が不足し、業績が上がらない
  • 人材の定着率が改善せず、離職が減らない
  • サーベイをやったものの改善策を講じられていない
  • 人的資本経営やウェルビーイング経営の効果計測に適した指標が見つからない
物憂げな若手ビジネスパーソン

問題と背景

ワーク・エンゲージメントがなぜ重視されるのか

ワーク・エンゲージメントは、ユトレヒト大学 シャウフェリ教授によって提唱された、職場におけるウェルビーイング (心身的・社会的に幸福な状態) を捉える用語です。一般に「熱意・没頭・活力が揃った状態であり、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態」であることと定義されています。ワーク・エンゲージメントが高い人は、仕事に誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て、いきいきとしている状態にあるといえます。

様々な研究者による学術研究も蓄積され、令和元年度版労働経済白書では「働きがい」を考察・分析する主要概念として着目されています。ワーク・エンゲージメントは、人材の定着率だけでなく、個人・企業の労働生産性、仕事に対する自発性、役割外のパフォーマンス、顧客満足度にも正の相関が確認されています。

これが、ワーク・エンゲージメントが重要視される一つの要因です。

ワーク・エンゲージメントを向上させる心理的資本

従業員がやりがいを持って主体的に業務を進めるためには、ワーク・エンゲージメントの向上が重要なカギとなります。向上させる要因は「心理的資本(=個人の資源)」と「仕事の資源」の2つです。

■心理的資本(=個人の資源)

心理的資本とは、個人が持つ自律的に目標達成を促す心のエンジン、やり遂げる自信ともいえる概念です。仕事や個人の成長におけるポジティブな心理状態であるといえます。

■仕事の資源

雇用の安定性や、キャリア開発の機会、上司・組織内の関係性、裁量や自己制御などの仕事の進め方、正当な評価と適切なフィードバックの有無などの組織要因。

心理的資本(=個人の資源)と仕事の資源は相互に関連しており、ワーク・エンゲージメントにポジティブな影響を与えながら、双方の資源を強化すると考えられています。

Key Point

“ワーク・エンゲージメントの向上に、心理的資本は無視できない

組織文化や個人特性などの先行要因と、個人の心理的資本は相互に影響し合います。それらが、態度としてのエンゲージメントや、意思・行動・結果につながり、組織の成果になります。成果は再び組織文化や個人の心理的資本に循環します。

上記の図は矢印→の方向に影響を与えるものです。ワーク・エンゲージメントは状態や態度です。業績を高める、成果をUPするためにワーク・エンゲージメントを高めるのであれば、組織を良くすることは勿論大切ですが、組織をつくっていく個人に注目することが不可欠です。

例えば、次のようなワーク・エンゲージメント向上施策をとったとします。

  • 「仕事の裁量権」をどこまで認めるか。
  • 「チャレンジする機会」をどれだけ用意できるか。
  • 「上司からのサポート」を良いものにできるか。
  • 「同僚とのチームワーク」をどうやって高めるか。
  • 「適切なフィードバック」をどうやって提供するか。

実際に「チャンスをもらえた」「裁量権が増えた」としても、本人に「やりとげる自信」「チャンスを前向きに捉えることができる思考」「失敗を糧とできる担力」みたいなものが無ければ、なかなかうまくいかないのではないでしょうか。

「上司からのサポート」「フィードバック」が高頻度であったとしても、細かく管理するだけだったり、部下の強みに気づくことができず認めることもできずネガティブな指摘ばかりする上司だったらサポートになるでしょうか?

「同僚とのチームワーク」をとりたくとも、周囲に感謝できない人や、他者の揚げ足取りばかりする人、評論ばかりして行動しない人、建設的なコミュニケーションができない人であふれていたらどうでしょうか。

これらは心理的資本の状態に大きく起因しています。つまり、個人の心理的資本の開発を無視することは、様々な施策の効果発揮を阻害することにつながりかねません。逆に言えば、一人ひとりの心理的資本を開発することが、より良い組織文化を作っていくことに寄与します。

施策の視点

「測る」「高める」は両輪で

心理的資本は、サーベイによる計測が可能で、適切な介入による開発効果が実証されています。また、感情に近いモチベーションとは異なり、比較的に安定性・持続性が高いです。したがって、計測、仮説、実行、検証のサイクルにマッチし、組織や人の活力の指標やワーク・エンゲージメント施策として取り入れやすいと言えます。

心理的資本診断で組織の心理的資本を測り、現状の仮説を立てる

心理的資本診断では、アンケートにより、個人・組織の「心理的資本」の状態を可視化します。計測項目は次のとおりです。心理的資本の総合スコアはもちろん、ホープ(意志と経路の力)、エフィカシー(自信と信頼の力)、レジリエンス(乗り越える力)、オプティミズム(柔軟な楽観力)など心理的資本の各要素に加え、業績感・チーム状態・行動変容に対する主観的評価を確認することができます。

心理的資本の総合スコアはもちろん、Hope、Effiacy、Resilience、Optimismなど心理的資本の各要素に加え、業績感・チーム状態・行動変容に対する主観的評価を確認することができます。

結果から、個人や組織の状態について、例えば次のような仮説を立てることができます。

  • ホープ:意志と経路の力が下降傾向(または著しく低い状態)にある場合の見立ての例
    本人の目的意識・意志が曖昧になっている可能性があります。
    または、目標設定やアクションプランの設計がうまくできておらず、目標に向かう手段や方法が具体化できていないために、目標到達の見通しが立てられていない可能性も高いでしょう。
    意志の確認や、目標のすり合わせを行う対話を行い、必要に応じて手段や方法を検討する手助けを行うことをおすすめします。
  • エフィカシー:自信と信頼の力が下降傾向(または著しく低い状態)にある場合の見立ての例
    現在取り組んでいる職務領域や分野について、習熟度が不足していると本人が感じており、自信を持って行動を起こすことができない可能性があります。達成体験が不足しているため、小さくとも行動を起こせるように促すと共に、行動した結果をふりかえり、上司または第三者によりポジティブなフィードバックを送ることをおすすめします。心身の健康が損なわれている場合は、エフィカシーも下がりがちなので、注意深く対話を行いましょう。
  • レジリエンス:乗り越える力が下降傾向(または著しく低い状態)にある場合の見立ての例
    現在生じている課題や問題に対して、乗り越えていくための自信がなく、行動力を発揮することが難しい状態であることが考えられます。リスクを適切に認識することや、乗り越えるために自身が持っている強みを認識することを手助けする対話をおすすめします。それらの強みを活かして行動に移すことを支援するとともに、強化が必要な知識やスキルがあれば、それらを得るための行動を促します。
  • オプティミズム:柔軟な楽観力が下降傾向(または著しく低い状態)にある場合の見立ての例
    現在生じている課題や問題だけではなく、過去の出来事も含めてネガティブに捉えているかもしれません。必要以上に自責の念に囚われ、反省をすることで悲観主義のネガティブループに陥る危険性もあります。物事を現実的に客観視するために、自己制御可能なこととそうではないことを分けて考えられるような手助けや、物事の良い側面や点を見つけられるような助言をすることも必要でしょう。

課題のある場合を例としてあげましたが、それぞれが上昇傾向にある場合は、自分らしいリーダーシップを発揮し、行動を起こすことができる状態になってきていると考えられます。今後のパフォーマンス向上が期待できると言えるでしょう。もし業績感が低くとも、心理的資本が下がっていなければ、目標へのコミットメントは高く、潜在的な業績向上が見込めるものとも考えられます。

心理的資本を高める介入法「ガイディング」を組織に取り入れる

ガイディングとは対象者の課題解決を促す問いや行動を促進する支援にあたり、心理的資本の構成要素であるHERO(Hope、Efficacy、Resilience、Optimism)を高める投げかけや、課題整理法を用いたコミュニケーション手法です。先述のような、仮説に対してのアプローチをある程度、方程式として導くことができます。

ガイディングは、他者の心理的資本を高めることはもちろん、自分の心理的資本を高めることにもつながります。様々な形で組織に取り入れていくことが可能です。例えば、、、

  • 現場管理職に人の力を引き出すマネジメントの心構えとスキルとして展開
  • 研修の動機付けやフォローアップに
  • 階層別キャリア研修のカリキュラムに
  • 社内の面談担当者のスキルアップに

ワーク・エンゲージメントのような施策は、社内全体施策として進められることが多いため、「ガイディング」のような知識・スキルを有する人材を多く育て、社内に伝播させていくようなデザインが必要ではないでしょうか。

重要なのは、「測る」だけで終わるのではなく、「高める」を両輪で進めることです。とは言え、心理的資本ひいてはワーク・エンゲージメントを高めることは一朝一夕ではならず、組織の中で様々な形で「対話」を積み重ねていく必要があります。その「対話」にヒントを与え、武器となるのが、心理的資本診断であり、ガイディングなのです。

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心理的資本診断ツール「HEROIC」

HEROIC(ヒロイック)は、従業員・組織の心理的資本の状態を測定し、可視化するオンラインサーベイです。診断実施後に、状態に応じた心理的資本を高める推奨行動が回答者にリコメンドされます。

ガイディングを学ぶ「PsyCap Master認定講座」

PsyCap(サイキャップ)とは『Psychological Capital=心理的資本』の略称です。PsyCap Master認定講座では、心理的資本を理解し、心理的資本を高めるための介入・開発方法(ガイド手法)を習得することを目指します。

リーダーを支援し組織のエンゲージメントを高める「CG1」

リーダーが組織メンバーのエンゲージメントに与える影響は大きく、リーダーが前向きに行動できるように支援することが、組織全体の前向きな心のエネルギーを引き出すことにつながります。

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