コーチングに”HERO”を取り入れることで、クライアントが前に進みやすくなった

  • PsyCap Master認定者インタビュー
PsyCap Master
氏名
中本 薫
プロフィール
国内大手航空会社にて客室乗務員職に16年間従事。現在は、男子2人の育児経験を生かした子育てコーチングや、CA時代に培った安心感、俯瞰力、傾聴力でクライアントの自己基盤を整えながらゴールまで伴走するコーチングを提供している。

心理的資本を高める介入法=ガイディングのスキルを有するPsyCap Masterの認定を取得された中本 薫さん(写真左)に、お話を伺いました。聞き手:Be&Do赤澤(写真右)

まずは中本さんのお仕事について教えてください。

前職では航空業界で16年間キャビンアテンダント(CA)を務めていました。その後、子どものサポートのために退職しました。子育ては楽しいけど、自分が何をしたいのか、どこに向かいたいのか、目標がなくモヤモヤしていた期間が2年ほど続きました。

そんなあるとき、たまたま友人から子育てのコーチング講座があると教えてもらい、受けてみることにしました。資格を取ろうと学び始めると、内省の機会が増え、自己理解が深まるにつれて、順調だと思っていた子育てをより良くできることに気付き、コーチングは生きていく上で必要なスキルだと思うようになりました。

今では兄弟共に思春期の年齢になりましたが、二人共自分の想いを言葉にするのがとても上手で、よく学校の先生からも褒められています。私も、彼らが人を思いやれる行動をしているのを目にして、私よりもきっと人生の回数が多いんだろうと感じることもあります(笑)。もしかしたらコーチングの実践が彼らの成長や心の豊かさに活きているのかも知れないなと感じています。

現在は、コーチングを受けながらコーチングを日常の実践に繋げる講座や個々の目標に合わせた個別セッションを行っています。また、子育て中のお母さんのためのサードプレイスとなるコミュニティをコーチ仲間と一緒に運営し、ミニ講座や音声配信も行なっています。

他にも、CG1(管理職を対象とした1on1ガイディングサービス)のガイド(面談者)として、ビジネスにおけるチームやマネジメントの対話支援をしています。

コーチングは、状況によってはティーチングが活きるのでは?という思いがあった

コーチングを実践される中本さんが、なぜ心理的資本やガイディングを学ぼうと決断されたのか、理由を教えてください。

コーチングは、クライアントが自分で答えを見つけて前に進んでいくのをサポートすることを目的として、盲点に気付かせる”問い”によって内省を促します。コーチは余計なアドバイスをしません。つまりコーチングのアプローチにティーチング要素は含まれないというのが基本的な考え方です。

しかし私自身はティーチングを受けて前に進むことができた経験もあって、クライアントの状況によってはティーチング要素も重要なのではと考えるようになりました。自分が持っている知識や経験を伝えることで、クライアントが前に進みやすくなるのではないかという思いを持っていたんです。

自分の見解にないスキルを使う場合、テーブルに材料がある方が選びやすい

人生やプライベートの目標、あるいは仕事においても、自分自身にフォーカスが当たる領域ではコーチングの問いが効果を発揮すると私は考えています。クライアントは自分の中から出てきた答えを選択することで、道のりに後悔が生まれません。

ただ、チームや組織で目標を目指す場合では、必ずしも自分の中から出てきた答えを選択するだけでなく、場合によっては個人の見解にない他者の経験やスキルを活用するほうが、目標への行動を起こしやすいことがあります。テーブルの上に材料がたくさんある方が、行動を選択しやすいですよね。もし材料がなくても、他の材料を組み合わせることで解決策に気付くこともあります。このように考え、セッションでは私自身の経験を伝えて、クライアントの視点を広げるアプローチも取っています。

こう考えるようになったきっかけは、ある人から「なぜ今までの経験・スキルを使わないんですか?」と問いを投げかけてもらったことです。実は、それまでの私は前職のCA時代に得たスキルは専門的すぎて、他の分野にはまったく活かせられないと思い込んでいたのですが、そうではないとこの問いから気付くことができました。

CAの仕事は秒刻みで、お客様や一緒に働く仲間の細かな動きを見ながら行動しています。そのような中で、専門知識だけでなく、相手に与える安心感や傾聴力、全体を見る俯瞰力など、自分では意識していなかったスキルが自然と身についていたんだと認識できたんです。この経験・スキルは他の分野の仕事でも適応できるものです。セッションの中でこれらのスキルをクライアントのために最大限に活用したいと考えています。

そう考えていたときに、ちょうどCG1のガイドとしてお声がけ頂いたことをきっかけに、CG1のセッションで用いるガイディングの考え方や、心理的資本のHEROのフレームワークを知り、これはまさにティーチングに活用できると感じました。ガイドとなった少しあとにPsyCap Master認定講座も始まったので、迷いなく受講しました。

自分の経験・資産を、HEROとして整理できた

PsyCap Master認定講座を受けて、何が良かったですか?

私の場合、自分の考え方が大きく変化したのは先ほどお話したコーチングの学びでした。では、PsyCap Master認定講座を受けて何が良かったかというと、大きく二つあります。

一つ目は、自分のスキル・経験を、活用できる”資産”として、より明確に認識できるようになったことです。自分の強みを知り、それがクライアントにどのように活かせるのかを整理できました。

あのとき上手くいった、あるいは上手くいかなかった経験は、心理的資本を構成するHEROの4要素と相通じるんです。例えば、意志(Will)のパワーの重要性は自分のこれまでの経験から漠然とは理解していましたが、Hope(意志と経路の力)の概念から理解することで、「やっぱり大事なんだな」と、自分の中で確固たるものになりました。他にも、「あのとき私が上手くいったのはResilience(乗り越える力)を発揮できていたからだったんだな」、「あのとき上手くいかなかったのはEfficacy(自信と信頼の力)が足りていなかったからだな」、というように、経験をHEROの各要素に基づいて体系的に整理することができたんです。

クライアントに伝わりやすい言葉を使えるようになった

二つ目は、セッション時にクライアントに伝わりやすい言葉を使えるようになったことです。言葉に対する認識は人によって異なるので、適切な言葉を選ぶのは非常に難しいことです。私がAと言った言葉をクライアントがCと理解することもあるので、認識しやすい言葉を使うことを意識しています。講座テキストにはHEROの各要素がわかりやすい言葉で整理されていますので、セッション前にテキストを見返しておくようにしています。セッション後に「こちらの言葉の方が良かったかな」と思うこともあるので、振り返りながら実践を続けています。

以前は自分の感覚に頼っていましたが、HEROの考え方を用いることで、言葉にしやすく、伝わりやすくなりました。

クライアントの行動までの時間が短くなった

個別セッションでは、ガイディングのアプローチをどのように取り入れていますか?

私の場合、クライアントの状態に応じてアプローチを変えています。自己理解のサポートから始めたほうが良い場合は、クライアントの内面にフォーカスし、思考の整理や内省を深めるためにコーチングの問いを重視したアプローチを多めにすることもあります。適切に自己理解ができれば、その先のアプローチとしてガイディングも有効であると考えています。

クライアントのどこを強化すれば行動が加速するのか、対話の中で仮説を立てます。そして、ティーチングも交えながら対話し、行動を促します。次回のセッションでは、行動してどうだったかを再びHEROの観点から振り返っていきます。

コーチングアプローチだけでなく、ガイディングも活用することで、クライアントの迷いが減り、行動までの考える時間が短くなったと感じます。コーチングはクライアントに見えていない視点を提供する強みがありますが、ガイディングはより行動に近い材料を提供できると感じています。行動にフォーカスできる点がガイディングの強みではないでしょうか。

会社も家族も。チームに温かいコミュニケーションが生まれる

最後に、心理的資本やガイディングへの期待を教えてください。

私は会社も家族も同じ一つのチームと考えていますが、チームにおいて最も重要なのは対話だと考えています。対話なくして意志疎通はできません。対話を非効率とみなして軽視すると、上手くいかないことが多いです。

CAの仕事では、毎回同乗するCAが変わりますが、「初めまして」の段階でしっかりとコミュニケーションを取ります。それができているからこそ、自己判断が求められる業務であっても、一人ひとりが自信を持って行動することができます。非効率な部分をいかに効率的に行うかが鍵です。

とはいえ、対話が大事とはわかっていても、うまくいかず、対話を諦めてしまうことがあります。様々な気遣いから、「言わないほうがいい」「黙っておこう」と思ってしまったり、逆に「言ったことに従ってくれればいい」と強引に指示したり、蓋を開けると人との関係がねじれて歪んでしまっていることもあります。

チームで働くにはガイディングが効果的だと思います。ガイディングは諦めずに対話を続けるためのツールになります。感覚的なものではなくスキルとして使えるので、対話を具体的に前に進められます。チームであっても、本来一人ひとりが持っている意志や想い(Will)を大事にしながらイキイキと行動を起こすことができます。想いを伝え合うことでチームに温かいコミュニケーションが生まれます。

ガイディングは1on1ミーティングのような対話の場に限らず、日常のコミュニケーションのエッセンスとしても活用できます。コーチの方はもちろんのこと、チームのコミュニケーションを改善したい方や悩んでいる方にも、心理的資本やガイディングを学んでほしいと思います。

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