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イノベーションを起こせと言われても困る!?必要なリーダーシップとは

「わが社にはイノベーションが必要だ!」
「イノベーションに社運をかけている!」
「イノベーティブな人材が足りない!」

いま変革の時代と言われる中、現状維持では先行きの見通しが立たず危機感を募らせている経営者の方も多いのではないでしょうか。

そんなときに何かと便利に使われがちな“イノベーション”という言葉があります。直訳すれば「革新」となりますが、本来はまったく新しいものを生みだすこととは異なるようです。

とはいえ、なぜ躍起になって「イノベーション」を唱えながらも多くの組織でうまくいかないのでしょうか。

そもそもイノベーションとは?

では一般的にイノベーションの指す意味とは?

イノベーション(英: innovation)とは、物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。一般には新しい技術の発明を指すという意味のみに理解されているが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指す。
引用:Wikipediaより

よく会話に出てきて認識している横文字の「イノベーション」に持っていたイメージと一致しているでしょうか。

ここでとても大切なポイントは「0→1(ゼロから1を生み出すもの)」ではないという点です。

何かと何かを組み合わせたり、軸を変えてみる、切り口を変えてみる、視点を変えてみる、違う使い方をしてみる。
既にあるものに別の新たな価値を与えることで何かしら社会に貢献をするような変化を生み出すことなのです。

しかしながら、ゼロから何かを生み出すことではないと分かったとしても、そんなに簡単にできることではないとお感じになるのではないでしょうか。

イノベーションを起こせ!と言われても困る理由

経営者から「イノベーションを起こそう!」と号令されて、イノベーションが起これば苦労することはありません。

そのような役割を期待されて「イノベーション〇〇部」とか「新規事業開発室」が新設されて配属されたとして、それだけで新たな価値の創出が始まるとも思えません。

理由としては以下のようなことが考えられます。

  • 目的が明確に伝わっていない(納得していない)
  • 自分事になっていないので主体性に欠ける
  • どうやって評価されるのかが明確ではない
  • これまでの業務では創造的なことが求められていない
  • 適材適所と権限移譲がなされていない
  • 失敗が許されない組織の風土がある
  • 変革を起こさず現状を維持したい層に阻まれる

例示した理由は一握りに過ぎないかもしれません。ただ、思い当たる節のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。経営者の方は自社の組織を眺めて、イノベーションが進む風土が形成されていると感じますか?

もう少し詳しく課題を見ていきたいと思います。

目的が明確に伝わっていない

当然のことかもしれませんが、何のためにイノベーションを起こしたいのか。そもそもイノベーションは起こしたいから起こせるものではありません。

前提条件として会社として何を目指しているのかというミッションが明確であるかどうかが最重要です。そのミッションを成し遂げるために様々な工夫をしながら時代に適応した価値を提供していく。そのために求められるイノベーションは存在すると思います。

まずは会社としてのミッションが明確になっているか。
イノベーションを進めたい理由と目的を共有することから始めなければなりませんね!

自分事になっていないので主体性に欠ける

そもそもかもしれませんが、イノベーションというのは「やらされ」て起こるものではないのだと思います。
徹底的に追い詰めることで知恵や工夫が絞り出されるという考え方もあるとは思いますが、ポジティブでわくわくしたアイデアには程遠い気もしますね。

いずれにしても、会社(組織)としてミッションと目的を明確にしただけではイノベーションは生まれません。その目的に納得し、個人の目標と関連付けて捉えることができなければなりません。

自分の時間と労力を投資して結果を生み出そうという主体的で能動的な行動につながる原動力として目的と目標の一致相関はとても重要です。

どうやって評価されるのかが明確ではない

目に見える成果が生まれるまで評価することができないような人事制度やマネジメントでは、大号令をかけてもうまくいかないでしょう。

よほど本人がライフワークのように取り組むもの好きでない限り。一般的によく聞く事例では、実際に人並外れた行動力やこだわりを持って動く人がイノベーションの中心に存在していることが多いですよね。お話を聞くと、自分が良かれと思ったことを周囲を気にせず突き進んでいる方も多い印象です。「評価を気にしない」くらいじゃないと、やっていけないのかもしれません。

社をあげて本気で取り組むのであれば、結果評価だけではないプロセス評価にどのような項目を盛り込むのか検討が必要かもしれません。(私はそもそも制度でどうにかなるものではないとも思っていますが!)

これまで仕事に創造的なことが求められていない~適材適所に難!

もし、これまでの仕事がハウツー通りに対応すれば認められる、成果があがる、評価されるものだったとすれば、その人にとって急に「クリエイティブになれ!」「イノベーションを起こせ!」と言われてもきっと困り果てることでしょう!

いわゆるやるべきことをしっかりと行うことが得意な人材に、自由な発想で新しい方法を考えてくれと依頼することは本人にとってはストレスになってしまうでしょう。
その逆もまたしかりで、本来は創造性豊かな非定型業務が得意な人に定型業務を強要するとまたストレスになります。

正確には、イノベーションが本当に生まれて世の中に価値をしっかりと提供できるようになるためには、それぞれ両方の人材が必要になります。得意分野が異なるだけなのだと思います。

好奇心とともに様々な探索を行いアイデア創出や工夫が得意な人材がいて、その新たに生まれた「種」を育てて形にする人材がいて、形になったものを世の中にしっかりと届けていく人材がいて初めてイノベーションは成し遂げられるものなのだと思います。

それぞれの得意不得意を活かした配置配属ができているか。適切に評価することができているかどうか、今一度社内を見渡してみるのも良いかもしれません。

失敗が許されない組織の風土がある

「イノベーションを起こせ!でも一切失敗するな!」

そんなの無茶だと思いませんか?こんな風に表現すると、そりゃそうだよ!とツッコミを入れたくなると思いますが、実際にはこれが組織でよく起こっています。

社是に「挑戦」と書いていながら、挑戦して失敗したら左遷されたり、降格になったり、減給されたり、叱責されたり、低評価になったり。挑戦しない風土の出来上がりですね!

実際に評価に直接紐づかなくても、挑戦している人、新しいことに取り組んでいる人の足を引っ張るような組織になっていないでしょうか。

現状に満足している人ほど、変化を嫌うものです。イノベーションは何かしら新たな変化を伴うものですし、自分の立場や権利を脅かされるのを嫌がる人がいるのは事実だと思います。

それでも乗り越えていくタフネスを持ち合わせた「イノベーション人材」もいるかもしれませんが、一握りの奇跡に頼るのは経営としての見通しが甘いかもしれません!

少数の声の大きなネガティブな人に耳を傾けるのか、少数の奮闘するポジティブな声に耳を傾けるのかによって組織の未来は大きく変わりそうです。多くの人材はサイレントマジョリティだが、より良い状態になることを望んでいることは間違いないので、見誤らないことが重要ですね!

挑戦を奨励し、失敗を許容し、成功を共に分かち合える。
ミッション達成に向かって協働できる組織をつくっていきたいですね。

変革を起こさず現状を維持したい層に阻まれる

先ほど触れたことと近しいものがありますが、前向きな変革の芽を摘む中間管理職や幹部が存在しているとすれば、経営者(だけじゃなくステークホルダー全体)にとって由々しき事態かもしれません。

会社の目指すミッションにコミットし、自身の想いに重ねながら尽力している人材が存在していても、上長が適切に評価していなければ隠れて見えなくなってしまいます。

もしかすると上長となる幹部や管理職は、これまで通りにしっかりと職務を遂行しているだけなのかもしれません。なぜならそれぞれの責任のもとに優先的に対処すべき課題と認識していないこともあるのかもしれません。

縦の組織だけでは人材が埋もれてしまうのでしょうか。組織を横断したプロジェクトを組んだり、特命を帯びて特定の組織に属さず動くような人材が社内外の人的ネットワークを構築したり、様々な方法でイノベーションの芽を見つけ育てるための工夫をしている会社もありますね。

とはいえ、会社のミッションと、各部門組織の持つ目標と評価、そして所属する個人の目標と評価まで、しっかり関係しつながっているかどうかは変革を進めるためにはとても重要になると思います。

自社の組織風土は大丈夫ですか?

変革の時代に、まったく変革を起こせる組織風土になっていないという課題にぶちあたっている。そんな状況に打開策はあるのでしょうか。

私たちが常にお伝えしている「安定的に好業績な組織の共通項」を実現することが近道となります。“安定的”ということは、市場変化や時代変化にも強く柔軟に対応できる組織であることも意味します。

  1. 目標が明確である
  2. プロセスが共有化できている
  3. 組織内に信頼関係がある

この3つの状態が組織内にあるかどうか、自社の状態をふりかえってみていかがでしょうか。

もちろん簡単ではないと思います。この状態をつくるためには、組織のひとりひとりが、自律的に問題解決をできる力を持ち、組織として相乗効果が生まれる状態をつくることが必要だと思います。

自律的に問題解決をできる力は、私たち働く人すべてに必要なリーダーシップだと定義します。経営者や事業部門長といったリーダーだけではなく、マネージャーもいち従業員も一人一人がリーダーシップを持つことが大切です。

これらの実現を支援するための仕組み(システム)、トレーニング、組織開発ソリューションを提供しています。まずはお気軽にご相談ください!

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

心理的資本の概要/高める方法を資料で詳しく見る!心理的資本とは、人が何か目標達成を目指したり、課題解決を行うために前に進もうと行動を起こすためのポジティブな心のエネルギーであり、原動力となるエンジンです。「心理的資本について詳しく知りたい」方は、以下の項目にご入力のうえ「送信する」ボタンを押してください。
◆資料内容抜粋 (全16ページ)
・心理的資本が求められる背景
・心理的資本の特徴
・構成要素「HERO」の解説/開発手法とは? など

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執筆者プロフィール

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

研究員リスト

  • 赤澤智貴
  • 小西ちひろ
  • 橋本豊輝
  • 石見 一女
  • Li Zheng
  • 心理的資本研究員
  • 下山美紀
  • 舞田美和
  • 岡本映一
  • 雪丸由香

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