このような課題、大なり小なり、
仕事のストレスと、仕事の質。連動している気がする…と感覚的には分かっていても、なかなかそれが難しい現代社会。心の余裕、ほしいですよね。
「毎日忙しくてストレスが溜まる……」
「仕事の質を上げたいけれど、具体的にどうすればいい?」
現場で働く皆さんなら、一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。
最新の研究(2026年発表)により、看護師の「心理的資本(PsyCap)」が、患者さんの安全性やケアの質に大きな影響を与えていることが明らかになりました。
今回は、サウジアラビアの病院で行われた興味深い研究結果をご紹介します。
医療現場に関係ないという方も、ご自身の仕事や職場に置き換えながら読んでいただけると幸いです。
目次
そもそも「心理的資本(PsyCap)」とは?
心理的資本とは、一言で言えば「前向きに突き進むための心のエネルギー」のこと。
以下の4つの要素で構成されています。
- 希望(意志と経路の力): 目標達成のための道筋が見えている
- 自己効力感(自信と信頼の力):「自分ならできる」と思える
- レジリエンス(立ち直り乗り越える力): 困難があっても立ち直れる
- 楽観性(現実的かつ柔軟な楽観力): 物事をポジティブに捉えられる
ひとつ大切なことをお伝えしておくならば、心理的資本は測定できるだけではなく「開発できる」という点です。
心理的資本が落ち込んでいたのなら、開発しましょう。
研究の結果:心の状態が良いと「事故」が減る!
サウジアラビアのブライダ中央病院で169人の看護師を対象に行われた調査では、驚くべき相関関係が見つかりました。
1. 医療ミスの減少
心理的資本が高い看護師ほど、以下の有害事象(アクシデント)の発生率が有意に低いことが分かりました。
- 投薬ミス(薬物療法過誤): 最も顕著に減少(強い負の相関)
- 褥瘡(床ずれ): 発生リスクが低下
2. ケアの質に対する自己評価の向上
心のエネルギーが高い看護師は、自分自身のケアに対しても「質の高い看護を提供できている」という確信を持って取り組んでいることが示されました。
3. 具体的なデータ(数値)
統計学的な分析(ロジスティック回帰分析)でも、心理的資本が高いほどミスをする確率(オッズ比)が低下するという結果が出ており、「メンタルを整えることは、技術を磨くのと同等に安全に直結する」と言えそうです。
なぜ「心」が「安全」につながるのか?
心理的資本が高いと、職場でのストレスをうまく処理できるようになります。その結果、以下のような好循環が生まれると考えられます。
- 集中力が維持され、確認作業が疎かにならない(投薬ミスの防止)
- 細かな変化に気づきやすくなる(褥瘡の早期発見)
- 困難な状況でも冷静に対処できる
現場でできること:看護師のメンタルを「組織」で支える
この研究は、「個人の努力」だけでなく、「病院組織としてのサポート」の重要性を訴えています。
- レジリエンス訓練: 落ち込んだ時に立ち直るスキルを学ぶ
- ワークショップ: 成功体験を共有し、自己効力感を高める
- ストレス管理: 心理的負担を軽減するプログラムの導入
これらは単なる福利厚生ではなく、「患者さんの命を守るための戦略的な投資」なのです。
「今日もミスなく頑張ろう」と気を張るだけでなく、自分の「心のコップ」が満たされているかを確認してみませんか?あなたの心が安定していることは、それだけで患者さんの安全を守る大きな力になります。
出典:International Journal of Mental Health Nursing (2026)
「看護師の心理的資本が患者ケア品質認識と有害事象に与える影響」
原著論文:The Impact of Psychological Capital on Nurses’ Perception of Quality of Care and Adverse Events
あなたの職場では、スタッフのメンタルケアはどのように行われていますか?
今回取り上げた医療スタッフ向けの調査は、そうしたミスが許されない安全性が求められるような仕事や、厳正な品質管理が求められるような業務に携わる人たちのパフォーマンスを良くする大きなヒントになるのではないでしょうか。
改めて心理的資本が仕事の質向上や、安全管理にも有効だということが分かりました。
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