リテンションマネジメント、ご存知でしょうか。
優秀な人材を確保・維持するためにも、リテンションマネジメントの重要性が高まっています。
リテンション
【英】retention
・企業にとって必要な人材を維持(確保)するための施策等を指す。
・近年、人材の流動化が進んでいることによって、企業は優秀な人材を企業内に留めるために、報酬やそれ以外の各種施策を講じることが必要な状況となってきている。
・特に、就業環境の成熟した企業において、金銭以外の、組織風土、働きやすい環境、個人のライフスタイルに合致
した環境の提供等、個々人のライフスタイル、キャリア形成に資する仕組みの領域が求められつつある
(人材マネジメント用語集 より引用)
足りなければ絶えず新たな社員を採用して育成するのではなく、人材の定着維持を重要視します。
リテンションマネジメントが必要とされる背景
求められているリテンション施策
人材定着に効果的なのは「金銭的な報酬」であるとまずは考えられるでしょう。ですが、より多くの報酬を提示するオファーがあった場合、金銭面だけでの対応では簡単に他社へと移られてしまいます。金銭的な報酬だけで優秀な人材を引き留めるのは困難だといえます。
厚生労働省「平成25年度厚生労働白書 第4節 仕事に関する意識」をみると「金銭的な報酬」ではなく、「非金銭的報酬」の重要性が分かります。
新入社員の働く目的の推移をみると、2000(平成 12)年以降、「楽しい生活をしたい」とする者の割合が大きく上昇して 2012(平成 24)年度には最も高い割合となり、逆に「経済的に豊かな生活を送りたい」とする者の割合は低下傾向にあり、働くことに関する最近の若者の意識は、経済的な側面よりも、自分自身が「楽しく」生活できるかどうかという点を重視していることが分かる。
また、「自分の能力をためす生き方をしたい」とする者の割合は、調査を開始した1970年代には最も高い割合を占めていたが、長期的に低下傾向を示す一方、「社会のために役立ちたい」とする若者の割合は、2000年以降上昇傾向にあり、仕事を通じ社会に貢献していきたいと考える若者の増加として注目される。
(厚生労働省「平成25年度厚生労働白書 第4節 仕事に関する意識」より引用)
リテンションマネジメント 具体的な施策
非金銭的報酬を前提としたリテンション施策には以下のようなものがあります。
1.風通しの良い社風の構築
社長をはじめ経営陣そして従業員が意見を言い合える環境であること。一人ひとりが企業の掲げる戦略・ 目標を適切に理解し、目標に向かって共に進む風土づくりが大切です。
こういった環境がそろうことで、従業員一人一人が自発的に自分の力を発揮する貢献意欲を促すことにつながります。
2.適正な評価そして権限委譲
一人一人がどのようなプロセスで業務に取り組んでいるのか、成果を出しているのかを把握しておくことが必要です。
把握しその評価をもって権限を委譲する。社員は適正な評価を受けたと感じ、その仕事に対する満足感を感じ、仕事に対するモチベーションも上がります。
現場へ、社員一人一人へ責任そして権限を与えること、会社への貢献意欲を高めることに繋がります。
3.ワークライフバランスの実現
在宅ワーク、時短勤務、フレックスタイムの導入。女性活躍やダイバーシティの観点のみならず、自己実現のための時間の確保やプライベートの両立の実現といった幅広い従業員の満足度が高まります。
生活が充実は仕事への意欲の高まりにもつながります。
リテンションマネジメントのポイントは”エンゲージメント”
従業員エンゲージメント。従業員エンゲージメントは、 自社の理念・ビジョンに共感、その成長に積極的に関わっていこうとする行動のことです。
従業員のエンゲージメントが高まることで、自発的に取り組む人材が増えます。また、金銭的報酬ではない非金銭的報酬により、企業と従業員の間の絆を生み出します。
従業員エンゲージメントと離職率には相関関係があります。
従業員エンゲージメントの高い従業員の離職率は1.2%。従業員エンゲージメントの低い従業員の離職率は9.2%。
エンゲージメントの高い従業員はエンゲージメントの低い従業員と比較して87%離職率が低い。従業員エンゲージメントは離職率の低減につながると言えます。
(CEB社 Corporate Executive Board)「Driving Performance and Retention Through Employee Engagement」レポート より引用)
リテンション施策を実施する際のKPIとして従業員エンゲージメントや離職率を設定することができます。リテンション施策の進行具合や転換を決める際にも重要視したいポイントです。