企業取引において重要な信頼性。勝ち取ることは簡単なことではありません。
長年積み重ねた企業の歴史、取引実績、メディアや第三者からの評価はもちろん、社会的責任(CSR)を果たしているかどうかという視点も大切です。
今、注目されている「健康経営」を行うことは、社内外から企業を評価する指標としても機能しているのです。
健康経営が企業の信頼度を示す、その背景についてご紹介します。
社外からの信頼を得る条件としての健康経営
まずは、社外からの信頼性について注目してみましょう。
経済産業省が行っている「健康経営優良法人認定(ホワイト500)」。認定制度を作った背景が以下のように記載されています。
健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。
つまり、認定を受ける受けないにかかわらず、健康経営を行っている企業は、社内外から社会的評価を受ける価値があるということ。それを見える化することが認定の目的であるということです。
実際に、既に多くの金融機関が健康経営を行っている企業に対し、融資や金利、保険条件などを優遇するサービスを開始しています。
日本政策投資銀行は“「健康経営」に取り組む企業は、短期的な収益には効果が現れにくいが、中長期的な観点から今後の成長が期待できる”という考えに基づき、健康経営に取り組む企業には融資の利率を優遇する「健康経営格付」を実施しています。
金融市場において健康経営が一定の”信頼の証”として評価されるのが”あたりまえ”になりつつあります。
さらに自治体では、健康経営に取り組んでいることが、各種入札の要件もしくは入札時の加点評価の対象になってきてもいるようです。取り引きを行う上での評価項目に健康経営が大きなポイントになってきているのです。
このように、採用市場だけでなく金融市場や商取引市場においても、企業の信頼性を測る指標として「健康経営」が大きな意味を持つようになってきています。
なぜ、このように健康経営を実施している企業は高く評価されるのでしょうか。
- 健康的で長く働きつづけられる人材をつくることは、労働生産性としても医療費削減としても社会的貢献ができるため
- 従業員が健康的に前向きに働いている企業は安全衛生面やモラルにおけるリスクマネジメントができていると考えられるため
- 企業が従業員の健康に配慮している場合、従業員のエンゲージメント(組織に対する信頼・コミットメント)が高くなるため
- 長期的に活力をもって働く従業員が多いと予測でき、事業の競争力の向上が見込まれるため
など、客観的にも評価できると捉えられています。
社内からの信頼を得ることにつながる健康経営
では、社内からの信頼はどうでしょうか。
社外からの社会的評価や、業績に結び付く結果を得るためには、まずは人材に投資して大切にしているかどうかが大きく影響します。
経営者が従業員の要望に耳を傾け、職場環境に配慮することで、「大切に扱ってくれる」という実感を従業員が持つことにつながります。
企業に対する信頼性を高め、やる気を引き出す鍵となることは想像に難くないでしょう。
実際に、「会社に対する総合的な満足度」について、全体平均が30.3%に対して「所属する企業による健康保持・増進に関する取り組みや姿勢」について満足と答えた人は88.6%だったという調査結果もあります(ティーペック株式会社 健康経営に関する意識調査)。健康経営に取り組むことで、従業員の満足を高め、企業姿勢への信頼を高めることは、生産性を高める上でも大きな効果が期待できます。
従業員の健康維持・増進はもちろんのこと、健康経営施策の実施によって所属企業への信頼感を高め、コミットしている従業員は、心身ともにイキイキと職務に励むことになります。結果として、製品づくりや、顧客サービスの品質向上にもつながり、顧客満足にもつながるでしょう。
企業イメージは向上し、社外からの評価も高まります。組織活性化、そして業績向上にも長期的につながるものと考えられます。
社内外の評価向上は、採用力の向上にも密接につながります。
このように健康経営は、社内外からの信頼を高めるうえでも非常に効果の高い施策であると捉えることができます。事業継続、事業発展において「信頼」が重要と考えておられる中小企業にとって、健康経営は取組みを開始しやすく、効果が見込める数少ない施策と言えるでしょう。
事業継続と成長のために、健康経営は欠かせない手段の一つとなってきています。
ぜひ、健康経営を経営戦略として位置づけて検討してみてはいかがでしょうか。