先日発表された株式会社トリドールホールディングスの「心的資本経営」への取り組みは、多くの経営者にとって示唆に富むものです。現代のビジネス界がAIや自動化による効率化・合理性を追求する中で、サービス産業である同社が「心」という非合理的な領域に投資する姿勢は、一見すると時代の流れに逆行しているように見えるかもしれません。
しかし、この取り組みは、むしろ近江商人の「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」の精神にも通じる、商売の原点回帰と言えます。
「ハピカン繁盛サイクル」とは何か?
トリドールHDが掲げる「ハピカン繁盛サイクル」は、従業員が幸せになることで、お客様に最高のサービスが提供でき、その結果として会社が繁盛するという好循環を生み出すものです。これは、経営も顧客サービスも「人」が中心であり、人が心から喜ぶことで初めて真の価値が生まれるという、普遍的な真理に基づいています。
AIがどれだけ進化しても、人と人との「つながり」や「心」から生まれる喜びを代替することはできません。特にサービス産業においては、従業員の心理的な健康や幸福度が、直接顧客満足度や企業の成長に直結します。
「やりがい搾取」という誤解を超えて
この種の取り組みに対して、「やりがい搾取ではないか?」といった懐疑的な意見が見られることがあります。しかし、トリドールHDの取り組みは、従業員の心に投資し、働きがいを高めることで、サービス品質を向上させ、会社全体の持続的な成長を目指すものです。
これは、誰か一人だけが利益を得るものではなく、従業員、お客様、そして会社全体が幸せになる「三方よし」の新しい形であり、持続可能な事業運営には不可欠な考え方です。
少なくとも、しっかりそのメッセージを標榜して本気で取り組むことを宣言する経営陣がいるというのは、とても恵まれていることだと思います。このようにリリースして、会社のIRページにも出すということは、ステークホルダー全体に向けたメッセージのはずなので、そこから逃げないということだと思うのです。
人にも本音と建て前があるように、きっと法人にも本音と建て前は存在します。これからより厳しくなるであろう人手不足に先手を打ったとも言えるかもしれません。
しかしながら、やはり人材を確保して、その人材がイキイキと働き、良い顧客サービスを提供し、結果として利益があがるというサイクルが生まれなければ、持続可能な事業にはなりません。
つまり、従業員も顧客も会社もみんなハッピーになる”三方よし”になる方法を模索する必要があるのです。
これからの経営の価値の中心に
この話題に関連してビジネス映像メディアのPIVOT公式チャンネルで、
トリドールHD代表の粟田貴也氏と、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄氏のトークの中では、
これからはソーシャル・キャピタル(人と人のつながりの資本)と共に、
サイコロジカル・キャピタル(心理的な資本)が経営の価値になっていくであろうと語られています。
今まで:フィナンシャル・キャピタル(お金の資本)
↓
現在:ヒューマン・キャピタル(人的資本)
↓
これから:
ソーシャル・キャピタル(人と人のつながりの資本)
サイコロジカル・キャピタル(心理的な資本)
まとめ
トリドールHDの「心的資本経営」は、単なる効率化を超えて、人と心の豊かさを重視する新しい時代の経営モデルを示しています。私たちもこの考え方を参考にしながら、従業員一人ひとりが活き活きと働ける環境を整え、お客様に最高の価値を提供できるよう努めていきます。
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2022.09.02
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