コラム

失敗を恐れるなと言うことは簡単だけれど!?行動を促す具体的な3つの考え方

何らかの目標を目指す時、または目の前の課題に立ち向かう必要がある時。つい行動を起こすことが億劫になることはありませんか?今回は前向きな行動につながる原動力である「心理的資本」を高める方法(ガイディング)に着目したアプローチ法を考えてみたいと思います。

「失敗を恐れるな」という言葉を誰かからかけられたことはありますか?
もし、直接言われた経験が無かったとしても、どこかで目にしたり耳にしたりしたことがあるフレーズではないでしょうか。

失敗を恐れず、行動を起こすことは物事を前に進めるためにも大切なことです。
一方で「失敗を恐れるなと簡単に言ってくれちゃって!」と感じる時も無いでしょうか?いや、むしろ何らかの挑戦をしなければならない時は、ほとんどの場合で失敗する不安や恐怖に苛まれることの方が多いでしょう。

そういえば、社会人になってから先輩から「死ぬこと以外はかすり傷と思え!」と言われたことが私もありますが、そのかすり傷が怖い人だっていますし、感じ方の程度は人それぞれ。もっと良い方法があると今の私なら言えます(笑)

というわけで、今回は3つほどシンプルな方法を記したいと思います。

肯定的な表現で言語化をしてみる

まずは最もシンプルな方法ですが、言語化の仕方を変えてみる方法です。
「失敗するな」「失敗を恐れるな」は前向きな言葉のように見えて、実は「否定形」になっていることにお気づきでしょうか。

“伝統的”なお笑いのネタに、以下のようなシーンがありますよね。多くの方がきっと暗黙のうちに認知しているのではないでしょうか。

熱湯や、池などを前にして「押すなよ!絶対に押すなよ!」と言いながら、のぞき込むAさん。
それはつまり「押せ」という合図ということで、背中を押してドボン!というシーンです。
「押すな」と言われたら、不思議と少し押したくなる気がしませんか?

押すなよ!ジャパニーズ伝統芸「〇〇を見ないでください」と言われると、余計に見たくなるような感覚もありますよね。

人間は、「〇〇するな」と否定されると余計に”〇〇”が気になってしまい、そちらに向かってしまうものです。
だから「失敗するな」「恐れるな」とか言われると、逆にそっちに意識が向かってしまうのです。

なので、言葉を伝える時や、目標を言語化する時には「そうあってほしい状態」に「する」「しよう」というようにポジティブな言い回しにしてみてください。

「〇〇に向けて前進しよう」「行動を起こそう」でしょうか。

そもそも成功か失敗か二者択一で賭けのようなアプローチにならぬよう、アクションプランを練るのもリーダーやマネジメントの役割のひとつ、と言えるかもしれませんね。またはひとりひとりが、自律的に考え行動できるようにマネジメントしていく(育成していく)ことではないでしょうか。

次に示す方法も参考になるかもしれません。

許容可能な範囲の損失で済む行動目標まで要素分解する

課題を細分化してみる次に「許容可能な範囲の損失で済む行動目標まで要素分解してみる」という方法です。

自分にできるか分からない、うまくできそうな予感が全くしない、そんな大きな課題や目標だと誰だって先が見通せず不安になってしまうのも当然です。

メンバーひとりひとりが(または自分自身が)、一歩踏み出せそうな行動目標に落とし込むことです。
その際に2点考慮したいことがあるとすれば、

  1. 本人が自分にもできそうだと思えるサイズの行動目標とする
  2. 失敗しても許容できる範囲の行動目標とする

です。

まずはそもそも行動しなければ何事も始まりませんし、何も結果が生まれない状態になってしまいます。だから自分にもやれそうだ、自分にもできると思える状態をつくる必要があります。

人はある領域で達成体験(試行錯誤)を積み重ねることで、行動につながる自信をさらに高めていけるものですが、まず最初の一歩目を後押しする時にはこういった工夫が必要になるでしょう。

ステップバイステップで少しずつ難易度を上げていくのです。一歩の歩幅や、登れる高さも人それぞれ違う前提も念頭に置くことが大切になりますよね。

成功への道の途中だと考える

目的地への道の途中に過ぎないと考える。最後に「成功への道の途中だ、経験値も一つの成果だと考える」ということです。

何かしらの目標や課題に対し行動を起こせば、うまくいくこともあれば、うまくいかないことももちろんあります。その過程では、自分にコントロールできる要因もあれば、自分にはどうしようもない外部要因によって結果が左右されることもあるわけです。

だからもしうまくいかなかったとしても、その結果をふりかえる時には「これはまだ成功への物語の途中だ」くらいに思ういことも大切なことなのです。

そこで意識したいのは「そもそも何のためにやるのかという目的」の再認識と、「自分にコントロールできることで次に工夫改善できることを見つける」ということです。そうすることでどのような結果であっても経験値として身につくことになります。

ふりかえりをする時にこれらを考慮してみていただければ!

あらかじめこのようにふりかえることを前提にしていれば、一歩踏み出すことも必要以上に怖くなくなりますよね。

まとめ

  • 肯定的な表現で行動目標を言語化をする
  • 許容可能な範囲の損失で済む行動目標まで要素分解する
  • 成功に向かう物語の途中だと考える

今回、行動が促される目標やふりかえりの方法として3つの方法を取り上げました。どれもシンプルなようですが、日常の中で使用していくとパワフルな思考法です。

目標に向けて何を実行すればいいか、具体的に行動を起こす推進力となるような目標設定方法は心理的資本における「Hope/意志と経路の力(希望)」につながってきます。

行動できそうだと思える目標設定は、心理的資本の「Efficacy/自信と信頼の力(効力感)」を刺激します。

想定される結果に対し現実的に客観的に考え、物語の途中だと思える思考は心理的資本の「Optimism/柔軟な楽観力(楽観主義)」に関連してきます。

これらを通じて行動を実際に起こすことで、何らかの結果が出て、それが成功・成長・成果につながってくるのです。パフォーマンスを高めるマネジメント(セルフマネジメント)はこうした試行錯誤の繰り返しではないでしょうか。

心理的資本を高める介入法(=ガイディング)を自在に使えると、あらゆるシーンで役立ちますよ!

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

心理的資本の概要/高める方法を資料で詳しく見る!心理的資本とは、人が何か目標達成を目指したり、課題解決を行うために前に進もうと行動を起こすためのポジティブな心のエネルギーであり、原動力となるエンジンです。「心理的資本について詳しく知りたい」方は、以下の項目にご入力のうえ「送信する」ボタンを押してください。
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・心理的資本の特徴
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執筆者プロフィール

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

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