コラム

チームに新メンバーが入ったら実施したい不安を軽減する策

春は組織に新たな風が吹く季節ですね。新入社員が研修を終え配属されたり、別の部署から社員が転属してきたり、この季節に限らず組織には様々に変化があるもの。

新卒で入社した新社会人はもちろんですが、転職してきた経験者であっても、社内の別部門から転属してきた人であっても、新しい組織で新しい仕事というのは期待と不安が入り混じりますよね。

受け入れるチームのマネージャーや、先輩・同僚社員にとっても「どんな人だろう」「どんな働きをしてくれるだろう」と思っているはずなので、そう考えるとお互い様!

ではどんなことから始めれば良いでしょうか。

不安の中身別に考える

不安を減らすことは、個人にとってもチームにとっても大きくパフォーマンスに影響します。では、ここではシンプルですが4つに分けて不安の中身別に対策を考えてみます。

関係性の不安を減らす

そもそも一緒に働く人たちがどのような人たちか知らない状態では、どんな配慮が必要かもわからず、ずっと遠慮しながら縮こまって仕事をしてしまう人もいるでしょう。

決まった作業だけを自分の範囲だけでやる、そのような業務はごくごく限られたものだと思います。

一緒に働く人が、どんな業務をしていて、どんなことが得意で、どんな想いをもって仕事をしていて、何が好きで、苦手だと思っていることがあるのか、などを知ることができると業務でこれから絡んでいく時に依頼しやすくなったりするでしょう。どこまでオープンにするかは組織の文化や、個人の価値観によると思いますが、段階的にでも良いのでお互いを知ることは信頼関係の初歩の初歩です。

協働の不安を減らす

誰がどんなミッションで、いつどのように業務をしているのか。何を優先課題として取り組んでいるのか。そういったことが共有されているかどうかで、何かを相談したり、仕事で協力を仰ぐ必要がある時に余計なストレスを減らすことができるでしょう。

できれば毎日共有できると良いですが、少なくとも週初めや週終わりに簡単でも良いので共有する時間をつくることはできないでしょうか。

お互いに目標やプロセスを共有したり可視化することは、より良い協働関係を生む機会にもなります。誰かの手助けをしたり、チーム内で賞賛し合ったりというコミュニケーションが生まれます。

行動の不安を減らす

新しく配属されたメンバーにとっては、何から手をつけたら良いのか分からず、行動することに不安がつきまといます。当たり前のことかもしれませんが、基本的なことはレクチャーをした上でですが、小さな成功体験を積む最初の一歩の背中を押すことが大切です。

小さな成功体験を得て、自信ができると少しずつ自走化をはじめると思います。

どんなことにも共通するかもしれませんが、初期に発生する面倒くささと、後から発生する面倒くささは大違い。後になればなるほど軌道修正は大変になります。最初が肝心なのは間違いない!?

目標への不安を減らす

自走化をしてもらうためには、目標の設定をうまくすることが重要です。評価のための目標ではありません。成果を出すための具体的な目標です。

失敗することは恐れにつながりやすく、難しい目標は不安が増加してしまうことにも。達成可能な目標を立てることが大切です。達成が”容易・簡単”な目標ではなく、達成か”可能”という塩梅が特に重要。その繰り返しです。

目標の立て方もいきなりうまくできるはずがありませんので、最初はサポートが必要でしょう。自分の職務や、進みたい方向に向かうために目標設定力が高まっていくことは、自律型人材への第一歩です。

もし何も見えず進む方向が分からなければ?

ミーティングしているビジネスパーソンたち

想像してみてほしいのですが、もしご自身の目が見えなかったらどうでしょうか。極端な例ですが、不安が大きく一歩を踏み出すことさえも、ものすごく勇気がいることだと思います。

街灯が全くない場所を歩いた経験がありますが、地面が真っ暗闇につつまれていると、日中に歩いたことがある場所でもとてつもなく怖く感じました。どこに溝があるのか、何か危険なものが落ちていないかなど、障害を想定することも準備することもできません。

ダイアログ・イン・ザ・ダークという暗闇で対話したり、手助けされたりしながら行うワークショップを経験したことがあります。不安な中では、誰かのちょっとした声がけや、手助けが本当にありがたく感じるものです。まさしく、そんな経験をしたことを覚えています。

職場における仕事でも同じことが言えるのではないでしょうか。特に新たにチームに入った人にとっては、仕事のイロハや、ちょっとした職場のルール(暗黙の…なんかも良し悪しですがありますよね)とか、誰がどんなことをしているのか、手探りでやっていくことになります。
だからこそマネージャー、または先輩がサポートをしたり、リードをしたりすることが大切になりますよね。業務を教えるだけではなく、できるだけお互いのことを知るための機会をつくることで、新しいメンバーの暗闇は少しずつ明るくなっていき、解像度が高まっていくと思います。そして、どこに進めば良いかという目標を明確にしていくことが大切です。

ひとりひとりが自分らしくありながら、その組織のミッションに貢献できるような状態をいかにつくるか。貢献できることが嬉しくない人はいないと思います。現場でマネジメントを行っている方は、組織に新しい風が吹く時こそ組織づくりのチャンスとして「ひとりひとりの不安を減らす」ことに取り組んでみていただけたらと思います。

私もこれまで新しい仲間を何人も迎えてきました。時には世情からほぼテレワークで直接メンバーどうしが会うことができない状態で新メンバーを迎えることもありました。
今回とりあげたような「不安を減らす」ための取り組みは常に意識をしてきました。もちろんうまくいくことばかりではないと思いますが、少しでもヒントになれば幸いです。

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

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・心理的資本の特徴
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執筆者プロフィール

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

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