健康経営が提唱され、企業に取り入れる動きが高まり始めてから10年が経ちます。その目指す先が新たなステージに入ったことをご存知でしょうか。かつての「身体の健康」から、「心の健康」へ、そして今、注目されているのは従業員の「ポジティブな心の状態」そのものです。
その象徴ともいえるのが、経済産業省の(改訂版)健康経営ガイドブックでも注目される「心理的資本(Psychological Capital)」という概念。そして、その頭文字をとった「HERO」というキーワードです。
参考:「健康経営ガイドブック 健康経営優良法人認定事務局編」
なぜ今、健康経営の文脈で「心理的資本」が重要視されているのでしょうか。 その背景を少し深く掘り下げ、その上で明日からできる具体的なアクションを探っていきたいと思います。
目次
なぜ今、「心理的資本」なのか? – 3つの大きな潮目
近年の経営環境には、心理的資本を必要とする3つの大きな潮目の変化があるように感じています。
1.健康経営のステージ変化:「守り」から「攻め」へ
これまでのメンタルヘルス対策は、不調者を減らす「守り」の側面が中心でした。しかし今は、従業員一人ひとりが持つ力を最大限に引き出し、組織の生産性や創造性を高める「攻め」の健康経営が求められます。心理的資本は、まさにこの「攻め」を体現する考え方であり、従業員のポジティブな側面に投資し、組織の成長エンジンにしようという発想の転換なのです。
2.人的資本経営という大きなうねり
従業員をコストではなく「資本」と捉え、その価値をいかに高めるか。この「人的資本経営」の考え方が広まる中、投資家も企業の非財務情報を厳しく見ています。心理的資本は、目に見えにくいながらも企業価値の源泉となる重要な「資本」です。これを測定し、向上させていく取り組みは、社内外への有力なメッセージとなり得ます。
3.先行き不透明な時代を乗り越える「心のOS」として
将来が予測困難なVUCAの時代。従業員一人ひとりが、自ら希望を見出し(Hope)、自信を持って挑戦し(Efficacy)、逆境から立ち直る(Resilience)力が不可欠です。心理的資本は、いわば変化の時代を乗りこなすための「心のOS」のようなもの。このOSを組織全体でアップデートしていくことが、企業のしなやかさに直結すると言えるでしょう。
私自身、人事の現場にいた頃を振り返って思うのですが、これまでの『健康経営』は、人材育成やキャリア開発の領域とは、少し離れた場所で進められてきたように感じます。もしかすると、その縦割りの意識を越えていくことこそが、これからの健康経営の新しいステージなのかもしれません。
では、どうすれば? – 「測る」ことから始める第一歩
このように重要な心理的資本ですが、「では、具体的に何をすれば?」と思われるかもしれません。大切なのは、感覚だけに頼らず、客観的な「評価・改善」のサイクルを回すことです。
その第一歩として、信頼性の高い調査手法を用いて、自社の心理的資本を数値として「測定」することをお勧めします。現状をデータで把握することで、初めて的確な打ち手が見えてきます。
当社は心理的資本診断ツールHEROICを提供しています。

2022.09.01
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【ヒント】心理的資本HEROを”育てる”アクション
心理的資本は、先天的なものではなく後からでも「開発(育てる)」できると考えられています。ここでは、そのヒントをいくつかご紹介します。
- Hope(意志と経路の力)を育てるには? → 質の高い対話で本人のキャリア観・大切にしたいWillに耳を傾け・自覚することなどが考えられます。
- Efficacy(自信と信頼の力)を育てるには?→ 大きな目標を細分化したスモールステップでの成功体験を支援することも有効なアプローチの一つです。
- Resilience(乗り越える力)を育てるには? → 助け合えるチームづくりはもちろんのこと、失敗から学びを共有する文化が鍵となりそうです。
- Optimism(柔軟な楽観力)を育てるには?→ 今ないものやどうしようもないことではなく、今あるものに感謝し、自分たちでコントロールできることに集中するといった利リフレーミングが効果的です。
心理的資本を高める取り組みは、決して特別なものではありませんが、計画的かつ継続的に行うことが重要です。
それぞれの組織の事情によって、心理的資本を開発するアプローチは様々です。「何から手をつけて良いかわからない」「自社だけで進めるのは難しそうだ」…そんな風にお感じでしたら、ぜひ一度、私たちBe&Doにお声がけください。
貴社の健康経営を次のステージへ。従業員一人ひとりが「HERO」として輝く組織づくりを、私たちと一緒に始めませんか。
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