2022年度の研究報告で、大阪大学の開本浩矢教授を中心とする研究グループが「創造性発揮の心理的メカニズムと心理的資本に関する研究」について研究成果報告書を発表されています。
この報告書では、日本ではまだあまり知られていない心理的資本について、その意味や重要性を分かりやすく説明し、正しい理解を広めるための成果を発表されました。特に、心理的資本を構成する4つの要素(自己効力感・希望・楽観性・レジリエンス)について詳しく解説し、理解を深める機会とした点が重要です。また、心理的資本がビジネスパーソンの仕事の成果や幸福度(ウェルビーイング)、離職意向などの変数に対してポジティブな影響を与えること、そしてその理由についても学術的に明らかにされています。
報告書情報:2022 年度 研究成果報告書 創造性発揮の心理的メカニズムと心理的資本に関する研究
研究の結果
- 心理的資本が、ビジネスパーソンの業績、幸福度、離職意向などにプラスの影響を与えることが示された。
- 特に、レジリエンス(困難を乗り越える力)が、心理的資本の中でも重要な要素であることが示唆された。
ガイディング(心理的資本を高める方法)視点でのレビュー
心理的資本を構成する要素が、創造性を発揮する上で重要な役割を果たす可能性を示唆する記述がいくつかありました。
Efficacy(自信と信頼の力/自己効力感):エフィカシーは、自分が特定の課題を遂行する能力を持っているという信念です。創造的な活動は、不確実性を伴うことが多く、失敗を恐れずに挑戦するエフィカシーの高さが重要になります。
Hope(意志と経路の知粗/希望):ホープは、目標を達成するための意欲と、目標達成のための道筋を見つける能力です。創造的なプロセスは、困難な状況に直面することもありますが、ホープを持つことで、粘り強く取り組み、創造的な成果を生み出すことができます。
Resilience(乗り越える力/超回復):レジリエンスは、逆境や困難な状況から立ち直る力です。創造的なプロセスは、失敗や批判を経験することもありますが、レジリエンスを持つことで、それらを乗り越え、創造性を発揮し続けることができます。
Opitimism(柔軟な楽観力/楽観主義):オプティミズムは、肯定的な未来を期待する傾向です。楽観的な人は、創造的な活動の結果に対しても前向きな期待を持ちやすく、創造性を発揮しやすいと考えられます。
これらの心理的資本の要素は、創造性を発揮するための基盤となる可能性がありそうです。
報告書内では、これらの要素がビジネスパーソンのパフォーマンスにプラスの影響を与えることが示されており、創造性もパフォーマンスの重要な側面の一つと考えられるため、心理的資本と創造性発揮のメカニズムは密接に関連していると推測できます。
特に創造性発揮を考える時、レジリエンスの重要度が高いという点は、興味深いものでした。
新しい考え方、新しい製品、新しい取り組み。こうしたものは、前例主義や同調圧力が強い文化の中では、日の目を見るために相当な困難が伴うことでしょう。創造性を発揮し、カタチにするためには、レジリエンスが重要になるという点はうなずける話かもしれません。
さいごに
今、将来の不確実性がより高まっている世の中だということは、多くの人が感じ始めていると思います。これまでの常識が覆されることもしばしばです。人工知能(AI)をはじめ、過去の知識や一般化されている情報の価値に大きな変化が生まれてきています。つまり、知識や情報を持つことによるアドバンテージが小さくなったと言えるのではないでしょうか。
だからこそ、これからのビジネスパーソン(に限らず、すべての人かもしれません)に求められるのは創造性、つまりクリエイティビティの発揮と言えるかもしれません。決して楽なことではなく、文字通り正解が無いに等しい社会で生活し仕事をしていくことが求められるのです。心理的資本を開発する術を個人も会社組織も、しっかりと持つことが重要になることは間違いないと考えます。
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