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営業現場へ過度なプレッシャーをかけるマネジメントが限界である理由

営業現場での不適切な販売手法が社会問題になっています。不正が起こった例が度々ニュースになっていますね。これはノルマ至上主義による営業マンへのプレッシャーが原因だと言われていますが、多かれ少なかれ、営業現場ではプレッシャーをかけるようなマネジメントスタイルが定着化していると感じます。例えば、以下のようなことが現場で行われているケースもあります。

  • 目標進捗が遅れている営業マンに、「なぜ売れないんだ!」と詰める
  • 「売上達成するまで帰ってくるな!」という指令を出す
  • 目標進捗をランキング形式にして張り出し比較する
  • 売上の見込みを必要以上に確認する
  • 毎月、毎週のように追い込み営業がある

プレッシャーで尻に火がついた営業マンは、がむしゃらに顧客接点を取ります。しかし、今は簡単にはものが売れない時代です。でも売れなければさらにプレッシャーを掛けられる・・・そんな悪循環があります。

プレッシャーだらけの営業現場で起こること

ものが比較的売れやすかった時代では、テレアポや飛び込み営業で顧客接点を増やせば短期的に成果を出すことができました。しかし簡単にものが売れない今の時代では、日々の小さな行動の積み重ねが大切です。例えば、業界の情報を収集をしたり、商談前に同僚にアドバイスをもらうなどの行動が、顧客との信頼関係や提案の質向上に役立ち、長期的に見ると成果に繋がっていきます。

しかし、目の前の売上目標へのプレッシャーに晒され続ける中で精神的に追い込まれ、なんとか早く結果を出したい営業マンは、正しい判断力を失い、以下のような不適切な販売手法を取ってしまうことがあります。

  • 販売額や手数料が多い商材を優先して販売する
  • 特定の顧客へテレアポや訪問を必要以上に行う
  • 仲の良いお客様へ「なんとかお願いします!」と情に訴える
  • 商材のリスクやデメリットをあえて詳しく説明せず販売する

本来営業マンの目的は、”顧客の課題を解決すること”であるはず。これでは本末転倒です。仮に短期的には売上が増えたとしても、長期的には顧客の信頼を損ね、売上が下がる要因となるでしょう。

優秀な社員が見限って退職し、組織が硬直化する

このような不適切な販売手法であっても、会社は営業マンを結果のみで評価してしまうため、本当はまじめに頑張っている優秀なメンバーが評価されないようなことが起こります。
それどころか、「なぜ売れないんだ!」とプレッシャーをかける標的になることすらあります。そしてますます不満を強め、社員の退職に繋がってしまうのです。これは組織にとって非常に損失です。

そして硬直化する組織の負のスパイラルが出来上がります。

(経営層やマネージャー)満足かつ正しいと信じている 
※過去の成功体験がある。そのルールで出世してきた。
(中堅~ベテラン社員)違和感を感じていても転職はする気が無いのでしがみつく
(一部の若手有望株)会社文化へ違和感を持ち始める⇒疲弊して辞めるor諦めてモチベーションダウン
(新卒社員)特に違和感を持たず、会社風土に染まっていく

このように、改革の芽が摘まれることで組織にイノベーションが起きず、社会が求めるニーズへの対応力を失う結果になりかねません。プレッシャーをかけるマネジメントスタイルからの脱却が必要です。

これからの組織の成長に必須の”wellbing”という考え方

Wellbeing(ウェルビーイング)という言葉が注目されており、最近は日経新聞でも度々取り上げられています。Wellbeingを直訳すると、”幸福な状態”となりますが、組織の観点から捉えると、社員ひとりひとりのポジティブな心理状態に着目することで、競争優位獲得を実現するという先行き不透明な時代だからこそ必要な組織人材のマネジメント手法といえます。要するに、社員のモチベーションや組織へのエンゲージメントを高める⇒人の自律性や本来発揮できるパフォーマンスを引き出す⇒それが組織の成長を生み出すという考え方です。実際、社員一人ひとりが持つポジティブな心のエネルギーは業績に影響するというエビデンスもあります。

プレッシャーに頼った従来のネガティブアプローチではなく、社員のwellbeingを高めるようなマネジメントがこれからの組織に求められています。

営業現場で実践すべきwellbingマネジメントとは

では、具体的にどのようなマネジメントが営業マンのWellbeingを高める上で有効なのでしょうか。3点お伝えをします。

①組織の目的を明確にし、それを実現したいという気持ちを持ってもらう

日々の目標達成へ向けてただ漠然と数字を追ってもらうのではなく、なぜ目標を達成する必要があるのか、営業マンにも意識してもらうことが大切です。

そのためには、組織の目指すべき目的を明確にします。いきなり組織単位の目的を設定することが難しい場合は、営業所やチームなどで設定するとよいでしょう。

営業マンがそのビジョンに共感し自らの役割に納得できれば、モチベーションが高まり、自律的に考え行動をするようになります。前述のグレーな販売手法は、例え売上になったとしても、組織の目的に照らし合わせると間違いだと気付くはずです。

組織の目的と従業員の行動を紐づける方法として、OKR「Objectives and Key Results」という目標管理方法(フレームワーク)が注目されています。

図:OKRの目標設定のフレームワーク

OKRでは、その企業の達成したい目的(O)を明確にして、それをもとに部門や個人単位の目的を設定し、主要な達成すべき結果(KR)を設定します。そうすることで、日々自分が何をすべきか明確になり、貢献実感を持って業務に取り組むことができます。

②日々の業務プロセスを共有する

最終的な成果だけを見てはいけません。日々のひとつひとつのプロセスこそが成果であり、その成果の連続が、大きな成功を生み出す唯一の方法です。上司は営業マンの小さな進捗やチャレンジを褒めたり承認をしましょう。また、それらのプロセスを記録し、評価の材料にする仕組みもあれば理想的です。

さらに、営業マンの行動を対上司だけに共有するのではなく、チームメンバー同士でも共有しあえるうような仕組み作りをおすすめします。例えば、日報を交換しあったり、現場での有益な事例を営業所やチーム全体へ互いに共有します。Webツール等で補完すると共有の負荷は軽減できます。このような業務プロセスの共有が学びになるのはもちろん、「あの同僚が頑張っているなら私も頑張ろう!」という刺激(=代理体験)があり、モチベーションが高まります。

③信頼関係のある風土を築く

ありのままの自分を受け入れてくれるような心理的安全性が担保することが必要です。職場に心理的安全性があれば、メンバーは安心して前向きに業務に取り組むことができるだけではなく、恐れず意見するようになりイノベーションが生まれやすくなります。

1on1ミーティングの実施もおすすめです。1on1ミーティングとは、評価面談とは別に月一回など定期的に上司と部下との間で行う面談のことをいいます。けして詰める場ではなく、あくまでも部下を支援し成長を促すことが目的です。ポイントは、部下の話を聞くことに徹し、ときには業務に直接関係しないこと(キャリアの悩みなど)も聞いてあげることです。
上司との信頼関係が構築できていれば、上司のフィードバックにも部下は素直に耳を傾けるでしょう。

これからの営業現場は、社員がイキイキと働くことがマストです!

管理者にとって一番の望みは「従業員がイキイキと仕事をしてくれること」だと思います。そして、イキイキを実現するために目標の達成を目指すことは当然です。ただし、プレッシャーに頼ったマネジメントを続けても成果が上がらない時代であるという変化に向き合い、社員のwellbeingを高めることで後から売上がついてくるという発想の転換が必要です。

赤澤智貴

赤澤智貴

株式会社Be&Doのプランナー。人材サービス会社での企画営業を経て、2019年8月より現職。社員が楽しく前向きに挑戦し、成果が出る組織作りの実現を目指している。素材メーカーのマネジメント人材育成、組織開発/小売業の人材育成強化などを担当。健康経営アドバイザー。アンガーマネジメントファシリテーター。趣味は野球。二児の父。

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著者プロフィール

赤澤智貴

赤澤智貴

株式会社Be&Doのプランナー。人材サービス会社での企画営業を経て、2019年8月より現職。社員が楽しく前向きに挑戦し、成果が出る組織作りの実現を目指している。素材メーカーのマネジメント人材育成、組織開発/小売業の人材育成強化などを担当。健康経営アドバイザー。アンガーマネジメントファシリテーター。趣味は野球。二児の父。

著者リスト

  • 赤澤智貴
  • 小西ちひろ
  • 橋本豊輝
  • 石見 一女
  • 舞田美和
  • 雪丸由香

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