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「働かないおじさん」に未来はあるのか?

「窓際族」。
社会人なら、一度はこの言葉を聞いたことがあるはず。特に仕事をするわけでもなく、デスクでぼーっとしたり、新聞を読んだりしている、いわゆる「働かないおじさん」です。

この「働かないおじさん」は1970年代の高度成長期に誕生しました。
その根底にあったのは「終身雇用」は当たり前という日本独自の雇用制度です。当時は、大きな失敗もない従業員を解雇することは道徳的に悪だ、とすら考えられていました。
終身雇用制度によって、「働かないおじさん」はその名の通り働かずとも会社員として居続け、それなりの(結構いい)給料をもらってきたようです。

「それって昔の話でしょ」と思いますか?いいえ、「働かないおじさん」は令和の時代にも、きちんと生存しています。
「社内ニート」という言葉があるのがその証拠。最近では「働かない若者」がそう呼ばれています。

どうやら窓際族は、令和になって若年化しているのかも知れません。

※本稿では象徴的なイメージとしてわかりやすく触れていますが、実際には性別や年齢にかかわらず起こりうることです。

新型コロナが「当たり前」を駆逐した

新型コロナ感染防止対策として始まったテレワークは、「仕事」というものを改めて考え直すきっかけになりました。

たとえば、ハンコ。
重要書類には必ず必要とされていたものです。しかもいろいろな立場の人のたくさんのハンコが…。
でもテレワークではハンコを押してもらうことはできません。板挟みになった社員が、「ハンコって要る?そもそもどういう意味があるの?」と疑問に思うのはごく自然な流れでしょう。
「脱ハンコ」の動きは以前からありましたが、新型コロナをきっかけにその動きは一層加速しそうです。

新型コロナ騒動は、今までの「あって当たり前」を、「本当に必要なのか?業務を迅速に行うときに邪魔にならないのか?」と存在価値を疑う機会となりました。
この「前提条件への疑問」は、ハンコだけにはとどまらず、やがては「人」へと広がります。今まで、居るのが当たり前だと思われていた人材の存在意義が、問われるようになるのです。
すると「働かないおじさん」は「あれ?あの人、何の仕事をしてたっけ?そもそも会社に必要?」と思われてしまう可能性大。おじさんたちに最大の危機が到来しています。

そもそもどうして「働かないおじさん」になってしまうの?

「窓際族」「社内ニート」などの「働かない会社員」を、総じて「社内失業者」と呼びます。この「社内失業者」には以下のような特徴があります。

1.本人の能力が不足している
2.協調性が足りず、チームワークが取れない
3.新しい仕事への積極性が欠如している

仕事へのモチベーションが低く、向上心がない。変化を嫌い、現状維持が大好きな人が「社内失業者」の候補者です。「最近、仕事があまりなくて暇なんだよなー」と思ってる人は、この特徴に当てはまらないか注意してください!もしかしたら、会社から「お荷物」と思われているかも知れません。
昭和からの人事評価の在り方も問題です。

そのおじさんは、そもそも何を生み出した?
生み出すための行動をとっていたのか?
おじさんが目標やプロセスに積極関与していたかどうかは、正直謎。
ブラックボックス化した、属人的な評価制度の会社では、おじさんの働きぶりや価値は他の人には見えません。

社内失業者が雇われ続けてしまう理由は、価値の可視化ができていないことに尽きるのです。

「働かないおじさん」にならないために

「人生100年時代」「一億総活躍」。
政府はそういいますが、働かない人材を雇う余裕のある企業は、もはや少数。では、ドキッとした方が、会社に「お荷物」認定されないためにはどうすればいいのでしょうか。

積極的に仕事をもらいにいく

受け身ではなく、自主的に動くことを心がけましょう。仕事をもらうのではなく、仕事を取りに行く気持ちで。その行動はスキルアップにつながり、さらには周りの人からの信頼度が増すため、重宝される人材になります。

社内のコミュニケーションを大切にする

挨拶など、仕事にかかわらないことも大切に。どんな仕事にもコミュニケーションは必須です。とっつきにくい人と思われるのは、百害あって一利なし。さまざまな人と良い人間関係を築くようにしましょう。そこから、新たな仕事につながるかもしれません。

自分の専門性やスキルを磨く

自分の能力やスキルを高め、必要な人材であると会社に認識させましょう。他の社員とくらべ優れたスキルがあるなら、会社はあなたを放っておくことはありません。

「どういう人生を送りたいか」ということを考える

仕事だけにとどまらず、自分がどのような人生を送りたいのか、ということを考えて。「これからの自分は、何がしたいのだろう」という漠然とした考えでも構いません。人生プランの方向性を意識することで、少しずつ、自分がすべきことに気が付いていきます。

会社がすべき「社内失業者」対策とは?

おじさん自身の努力も必要ですが、会社も、そのような人を量産してしまった反省が必要です。「働かないおじさん」の存在は会社としてもデメリットしかありませんから、これ以上増えないように環境整備を行いましょう。

会社ができる対策としては、
・きめ細やかな人材教育
・適切な人員配置
・公平な評価や給与体制

などがあげられます。
どれも社員のモチベーションを向上させるにはとても重要なものです。

ある企業では、たとえば40歳、45歳などの節目に「将来どうするか」を考える研修などが行われています。研修で今後のキャリアパスと、「このままでは、将来的には収入の3分の1が減る」と告げられれば、危機感を抱いたおじさんはアクションを起こし、優秀な人材に変化するかも知れません。

会社はもっと、「もう終身雇用は保障できない。会社のためにも自分のためにも、社会で通用する人材になってほしい」というビジョンを社員に伝えるべきでしょう。
「ここで適当に時間をつぶしていれば、給料がもらえる」と安心させてしまっているなら、会社にも責任があるからです。

働かないおじさんに、未来はない!

働かないおじさんに未来はあるのか?という問いに対する答えは、「ない!」の一択です。

残念ながら、働かないおじさんは積極的に副業をするタイプでもないでしょう。新しい情報を得るために交流会へ参加したり、若い世代の価値観を知り、今から役立つサービス開発を行う…といった積極性も期待できないはず。

しかし人生100年時代、何らかの形でスキルを獲得しなければ、生き抜くことができません。テレワークで「出社しなくても仕事はできる」ということがわかった今、重要視されるのは「会社にいる時間数」ではなく、何を生み出したかという「成果」だからです。

どの世代も、自分の「価値」を高めよう

若い人であっても、油断は禁物です。
気が付いたら自分が「働かないおじさん」になっていた…という事態を避けるため、スキルとキャリアに関しては今まで以上の努力が必要です。

おじさんたちが量産された時代は、まだ日本は景気がよく、働かなくても会社の中で歯車になれていました。しかしこれからはそうではありません。少数精鋭が求められますし、自身のスキルを的確に伸ばし、アピールできる人材でないと、成長企業に加わることができなくなってきます。

そして、この記事を読んでいるおじさんで、既に「なっちゃっている」方は…一秒でも早く気付いて改心しましょう!手遅れかも知れませんが、今日から行動を始めれば、明日以降も窓際にいるおじさんよりは一歩リードできるはずです。

「働かないおじさん」
この言葉が社会から消えたときが、本当の意味での「一億総活躍社会」の実現といえるでしょう。

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