コラム

テレワークの人材マネジメントのコツ

2020年はテレワーク元年になってしまった。本年は元々、オリンピックの開催が予定されていて、特に東京都では混雑緩和の目的もありテレワークを推進していたが、実際、どれほどの人がテレワークを行うことができるか、懐疑的なところもあった。

しかし新型コロナウィルスによる緊急事態宣言を受けて、かなりの企業組織でテレワークを実施せざるを得なくなった。これは数か月前には誰も予測しえなかった事態である。

テレワークを実際にしてみて、皆さんはどのような感想をお持ちだろうか。弊社もほぼ全社員が完全在宅で勤務をしている。当社の場合は、ITサービスの事業をしていることもあり、比較的、在宅で仕事をおこないやすい業務内容ではあるが、全員在宅となると、あらかじめコミュニケーションをとるルールを決めておこなうことにした。

テレワークでは孤独感や運動不足による健康管理への不安などが起こりやすい。また、気軽に相談する機会が持ちにくいため、業務と直結しないコミュニケーションへのハードルを下げる工夫などが必要になってくる。

またテレワークを行う上で、評価や業務進捗管理など人材の管理をどう行うのかも課題だ。本ブログで、テレワークで特に意識すべき人材マネジメントについてまとめる。

テレワークでの人材管理の3つの課題

テレワークでは仕事の質やアウトプットがよく見える

テレワークをして、まず多くの人が気づくのは、アウトプットやその質が職場にいるときよりもよくわかるということだ。

職場に出社していると、難しい顔をして終日パソコンに向かって、そのまま帰宅する人がいても、その人のアウトプットに関心を向ける人は案外すくない。また、出社をしてから外出してくるといって、実際外でどのような仕事ぶりだったか、これも案外とわからないものだ。ところがテレワークになると、アウトプットが出せなかった人ときちんと出す人、またその質もよく見える。

仕事をしたふりをしていた人は、ひとりで自宅で何をどうしていけばいいのか、なかなかできない。特に創造的な仕事を求められる場合に、その人の仕事への向き合い方や力量が明確になってくる。

仕事とは、期待される役割に対してアウトプットを出していくことであり、チームに対して貢献することだが、職場という場があることで、その場に参加することで、仕事をした気分になっていた人も多いのだろう。

ある会社の役員が、テレワークをしたことでその会社の役員たちは、忖度できなくて困っていると言っている。これまでは顔色を見て、話をしていたが、今は、いきなりWeb会議で社長にプレゼンをするので、頃合いを見計らうことができないのだそうだ。

Web会議室システムによる会議方法は、組織内の上下関係を意識しにくい。例えば、リアルな会議では、上席が席につくまで立っている、とか、上役が退出するまでそこにいるなど上下関係の空気間が漂っているが、Web会議システムの中では一律だ。このことも職位ではなく、何をする人なのか、どう貢献しているのかが問われてくる。そういう点で、テレワークの働き方は個人の本質が浮き彫りになるシビアな働き方ともいえる。

このようにテレワークでの働き方を理解し、しっかりアウトプットを出すためにはどうすればいいのだろうか。

テレワークのコミュニケーション

テレワークの課題としてコミュニケーションがあげられる。当社では、テレワーク中であっても、気軽にWeb会議システムを使って話しかけることをルール化している。おかげで社員の孤独感は極めて少ない。

しかし、他社の話では、消極的な人はなかなか自らWeb会議ツールをつかって呼びかけることができず、孤独感を募らせている人も多いと聞く。

会社の定例会議もオンラインで行われているが、消極的な人には意識的に発言機会を与える必要がある。リアルでは、職場の会議室に存在することで周囲が気を使うことができるが、テレワークでは日頃コミュニケーション量が多いところに集中して、置き去りになりがちだ。

上司による1on1ミーティングだけでなく、テレワーク環境でもいかにチームの一員としての一体感を出せるかが工夫のいるところである。

テレワークの人材育成

テレワークではその人の本質が浮き彫りになるが、一方で、人材育成が難しい。リアルな職場であれば、周囲の状況を見ながら学ぶ機会があったり、また育成する側も都度声をかけるなど、場を共有しながらフィードバックできる。

しかしテレワークではそのタイミングがはかりにくい。育成状況も掴みにくく、感情の把握も難しいため、適切なフィードバックが難しい。

テレワークの人材管理の課題を解決するために

テレワークでアウトプットがなかなか出てこない、またはアウトプットの質が悪い人をどう改善するか、という課題に対して言えることは、その人に自信を持って意欲を持って挑戦してもらうことである。
特に、アウトプットの質が良くないことがわかった場合、人はできていないことに注目し、指摘してしまいがちだ。しかし、指摘されるだけでは、自信をなくし、やる気を落としかねない。テレワークでは相手の反応がわかりにくいことから、意図してなくても相手を落ち込ませてしまう危険性がある。

離れ離れであっても、自己効力感を高める支援を行う必要がある。自己効力感とは、自分はやれると感じる自己信頼感や自己有能感のようなものである。

自己効力感を高めるには、①達成体験=達成 ②代理体験=他者からの学び ③言語的説得=ポジティブなフィードバック ④生理的情緒的高揚=わくわくドキドキした気持ち、以上が効果的だと言われている。

 

解決策として以下の取り組みを提案する

  1. がんばりを可視化
  2. ほめ合う
  3. 行動の習慣化
  4. 毎日のふりかえり
  5. 適切なフィードバック

まず、①がんばりの可視化だが、毎日、今日何を行うか、業務内容をメンバーに共有し、業務終了時に簡単でいいので報告をする。

始業時にやることをリスト化することで、アウトプットイメージを持って業務ができ、終了時に報告をすることで達成感が得られる。自己効力感の達成体験である。

②ほめあう、だが、①の達成報告を受けて、他のメンバーがコメントをつけてあげることで孤独感が和らぐ。また、自信もうまれる。このことは言語的説得にあたる。他のメンバーが達成報告を見て、自分もがんばろうと代理体験を高めることもできる。

③行動の習慣化だが、テレワークになると、同僚にでさえ、簡単に相談しにくい。また運動不足で健康管理も難しい。「わからないことが気軽にWeb会議で相談する」「散歩をする」など日常の行動を習慣化することで1日のリズムをつくることができる。毎日の習慣化行動も実施すれば、メンバーに共有することで、代理体験を生み、チーム全体に良いリズムをもたらすことができる。

④毎日のふりかえりだが、自分の行動をふりかえることは達成体験になり、翌日からの行動が明確にできる。

⑤適切なフィードバックだが、テレワークの環境では、自分のがんばりをしっかり見てもらえていないのではないかと不安に感じる人が多い。特にアウトプットの質が明らかになるため、結果のみで判断される不安も大きい。誰でもがより良いアウトプットを出すことができることが人材マネジメントの最も重要なポイントである。そのためにはテレワークであってもプロセスを把握し、適切なフィードバックを行うことが効果的だ。このことはワクワクドキドキの生理的情緒的高揚を生む。ただ、テレワークでプロセスを記録、可視化は難しい。

当社はテレワークのための人材マネジメントツールを開発提供しているが、このようなアプリケーションを使用することも施策としては求められるだろう。

テレワークという働き方は、やり始めてみると、案外と便利だ。まず出張経費が減る。オンラインセミナーでは会場費も減る。通勤による時間や体力の消耗も減る。

私の会社では、顧客先への訪問時間が無くなった分、打ち合わせの回数は大幅に増えている。新型コロナウィルスがおさまったあとも、テレワークは一般化しそうな状況である。人材マネジメントの施策も今のうちから考えていかなければならない。

石見 一女

石見 一女

Be&Do代表取締役/組織・人材活性化コンサルティング会社の共同経営を経て、人と組織の活性化研究会(APO研)を設立運営。「個人と組織のイキイキ」をライフワークとし、働く人のキャリアと組織活性化について研究活動を継続。

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著者プロフィール

石見 一女

石見 一女

Be&Do代表取締役/組織・人材活性化コンサルティング会社の共同経営を経て、人と組織の活性化研究会(APO研)を設立運営。「個人と組織のイキイキ」をライフワークとし、働く人のキャリアと組織活性化について研究活動を継続。

著者リスト

  • 赤澤智貴
  • 小西ちひろ
  • 橋本豊輝
  • 石見 一女
  • 舞田美和
  • 雪丸由香

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