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健康経営とは~自律性とイキイキの状態を高める組織戦略へ

健康経営の意義

「企業は人なり」。昔から言われてきた言葉ですが、近年、人口減少社会になり、人材の価値はますます高くなってきています。
高度情報化社会。IOTやAIなど革新的な技術に伴い時代はますます早くなっています。ビジネスにおいても速度がいっそう早くなる中、優秀な人材を確保できなければ、経営の危機を招きます。

多様な人材を活用し、能力を最大化し、生産性を高めていく。その土台には従業員ひとりひとりの健康がなくてはなりません。

健康経営を推進することで、従業員ひとりひとりの価値を認め、企業と従業員の信頼感を高めることで生産性の向上を実現したいという期待が健康経営への高まりにあるのだと思います。

非営利活動法人健康経営研究会の定義では「健康経営は経営者の指導の下、健康管理を組織戦略に則って展開すること」とあります。

健康経営とは
健康経営とは、「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても 大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、 戦略的に実践することを意味しています。 従業員の健康管理・健康づくりの推進は、単に医療費という経費の節減のみならず、生産性の向上、従業員の創造性の向上、企業イメージの向上等の効果が得られ、かつ、企業におけるリスクマネジメントとしても重要です。 従業員の健康管理者は経営者であり、その指導力の下、健康管理を組織戦略に則って展開することがこれからの企業経営にとってますます重要になっていくものと考えられます。
非営利活動法人健康経営研究会より

ところで、「健康」とは何でしょうか。

一般的には「病気ではない状態」と思いそうですが、WHOの定義によると「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」とあります。これによると健康とは何らかの数値管理ではなく、イキイキとした状態といえるのではないでしょうか。

健康の定義について
WHO憲章では、その前文の中で「健康」について、次のように定義しています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)
公益社団法人日本WHO協会 ホームページより

こう考えていくと、健康経営とは「経営者の指導の下、従業員のイキイキの状態の管理を組織戦略に則って展開すること」という理解が正しいのではないかと私は考えています。

健康経営がもたらすもの

健康経営を推進すると生産性が高まるといわれています。

その背景には、会社が自分(個人)の健康に対する配慮をしてくれているという思いから生じる信頼感から、心理的安全性が生まれるからかもしれません。

私は、健康面への配慮から生じる信頼感に加えて、「自律性の育成」と「コミュニケーションの場づくり」が生産性に大きくかかわっているのではないかと思います。

健康経営をすると、なぜコミュニケーションが高まるのか。

健康経営の推進には、社員全員のヘルスリテラシー(健康知識)の向上が求められます。

健康知識とは、食、運動、睡眠やリラクゼーションの知識ですが、これらのテーマは格好のコミュニケーションの話題です。この話題は職場の上司部下など関係なく、フラットな人間関係で話せます。

雑談は生産性を高めるという実験結果があります。(もしもしホットラインの例
利害関係のない話題は職場の人間関係の改善にもつながります。

健康経営をするとなぜ社員の自律性を高めるのか

健康維持、増進は、本人のセルフコントロールにかかっています。会社や周囲の人間が、いかにおぜん立てをしても、本人が行動しなければ意味がありません。

忙しい仕事を早く片付けて、スポーツやリフレッシュの時間を確保するためには、生産性を高めて効率よく時間管理をしなければいけません。

自律型人材の育成は、人材育成において重要な課題ですが、自らの健康管理、健康増進の取り組みを通じて、自律的な人材育成が実現できると考えられます。

健康経営で測るべき指標

健康経営の実施施策として

(1)データの分析
(2)対策
(3)実施

以上のPDCAを回すことと言われています。

私の考えですが、経営的な視点で言えば、データは、健診データでなく、“健康のデータ”でいいのではないかと思っています。

健康のデータとは、睡眠時間、朝食の欠食率、運動時間、そして毎日の健康のための行動です。

もちろん、健診データによる詳細な管理・分析は重要ですが、これは健康の専門家の方の判断やアドバイスに基づいてケアすべきことだと思います。しかしながら、健診データの数値では、生産性と関連させるのは難しいように思います。

経営側では、いかにセルフコントロールしているのか、いかにイキイキしているかといった行動と心理状態の把握こそ重要ではないでしょうか。これらのデータは生産性との関連を見るうえでも効果的です。

石見 一女

石見 一女

Be&Do代表取締役/組織・人材活性化コンサルティング会社の共同経営を経て、人と組織の活性化研究会(APO研)を設立運営。「個人と組織のイキイキ」をライフワークとし、働く人のキャリアと組織活性化について研究活動を継続。「なぜあの人は『イキイキ』としているのか」第1章30歳はきちんと落ち込め執筆、プレジデント社,2006年。

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執筆者プロフィール

石見 一女

石見 一女

Be&Do代表取締役/組織・人材活性化コンサルティング会社の共同経営を経て、人と組織の活性化研究会(APO研)を設立運営。「個人と組織のイキイキ」をライフワークとし、働く人のキャリアと組織活性化について研究活動を継続。「なぜあの人は『イキイキ』としているのか」第1章30歳はきちんと落ち込め執筆、プレジデント社,2006年。

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