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なぜ今、セルフ・リーダーシップは求められるのか。

従業員がもっと主体的に自分で考えて動いてくれると、どれだけ良いか。従業員の様子を眺めながら、普段から課題を感じている経営者や部門長など組織のリーダーの方も多いのではないでしょうか。

先行きが不透明で曖昧で複雑で予測不能な時代に突入していると言われはじめて既にそれなりの時間が経過しているようにも感じます。(VUCAの時代と呼ばれます)

VUCAの時代では、緻密な計画をしっかりと言われた通りに進めることよりも、目的地に向かって臨機応変に対応しながら進んでいくような力が求められます。

そこで今回、注目したのは「セルフ・リーダーシップ」です。読んで字のごとくですが日本語で直訳すると「自分自身に対する主導権(統率・先導・主動)」といったところでしょうか。

今、セルフ・リーダーシップが求められています。

セルフ・リーダーシップとは

セルフ・リーダーシップについてわかりやすく解説している記事ではこのように表現されています。

セルフ・リーダーシップとは自らがどのような状態を望むのかを認識し、望む方向へ成長するために主体的に行動する力のことをいいます。
新しいリーダシップ、セルフリーダーシップとは

組織を見渡してみて、上記のようなリーダーシップを発揮している人材はどれくらい存在しますか?世代を問わず、今求められているセルフ・リーダーシップについて考えてみたいと思います。

セルフ・リーダーシップがないとどうなる?

誤解を恐れずにいえば、高度経済成長期~バブル崩壊に至るまでの間は、自分が自身に対してリーダーシップを発揮して能動的に切り開かなくても企業の業績は右肩上がりで成長し、個人は一定のレールに沿って進めば”それなり”になんとかなる時代だったのかもしれません。

それではもうダメだ!という感覚は平成の時代を経て令和に突入し、ますます現実味を帯びているのは間違いありません。

セルフ・リーダーシップが「ない時」と「ある時」を比較してみましょう。

セルフ・リーダーシップがない時

自分自身に対する責任すら持つことができていない状態は危険かもしれません。

このままでは問題が起こりそうだと分かっていたとしても、自分の範疇ではないと捉えて解決のために行動しようとは思いません。

自分の労力を使って他者を動かそうとすることも面倒だと感じてしまいます。なぜなら自分の責任だと感じていない可能性が高いからです。

モチベーションをうまくコントロールすることもできません。自分自身の軸を持ち合わせておらず、周囲の環境や出来事に影響を受けやすいのです。

セルフ・リーダーシップがある時

自分自身が進む方向をわかっているので、意志を相手に自信をもって伝えることで、他者を動かすことができます。リーダーであるかどうかは重要ではなく、仕事は他者と協働が必要なものです。

自分自身がどうありたいかを明確にできているため、周囲や環境に流されず、心身の健康から自身の職務に至るまでしっかりとマネジメントできることが期待できます。

自ら必要な知識やネットワークを得るために、能動的にふるまうことができます。また、問題や障害が起こりそうだと予見すれば、その解決のために行動することができます。

あなたが経営者や部門長であれば、どちらの人材が組織にいてほしいですか?

組織が目指すところを明確にする

会社(部門)は組織として「何のためにどこを目指すのか」ということをしっかりと明確にしながら、そこに共感し、賛同する人たちと共に事業を推進していく。その姿勢を明らかにしながら、組織のメンバーにはセルフ・リーダーシップを発揮してもらえるようなマネジメントを行い人材育成をする必要があるでしょう。

中には「私の言うことだけ聞いて動けば良い」というタイプの経営者・部門長の方もいるかもしれませんが、それで本当に従業員がやりがいをもってイキイキと働けるでしょうか。(仕事は労働力だけ提供して対価を得るためのものという人も存在しますので、悪いわけではありません。)

しかしながら、イノベーションを生みながら、事業も組織も成長させていく推進力が生まれる雰囲気は残念ながら感じられません。少なくとも私には。

例え「言われた通り作業をする」ということが重要な職務だとしても、その中で小さな改善と工夫を主体的に行える人はクリエイティビティに溢れ、組織の成長に貢献をできる人材なのだと思います。

セルフ・リーダーシップは基本スキルになる?

会社(法人)と個人はよりフラットで対等な関係になっていくとも言われています。ミッション・ビジョンが不明瞭な会社には人材が集まりづらくなるのではないでしょうか。

その逆に個人にとっても実はとても厳しい時代がやってくるのだと思います。自分自身の軸をしっかり持っていなければ、本気で一緒に成長したい会社を選ぶことはできないでしょうし、何より成長企業から選ばれなくなってくるかもしれません。

つまりは会社も個人もお互い様ということですね!

個人は自分がミッションに共感し賛同する会社という場を絶好の機会として活かしながら主体的・能動的に行動する。自分の実現したいことと、組織の目標が一致しているならば、相乗効果が生まれるに違いありません。

これからビジネスパーソンが最低限身に着けるべき基本的なスキルのひとつになるのかもしれません。

一朝一夕ではセルフ・リーダーシップは身につかない

セルフ・リーダーシップは知識をつければ身に着けられるものではありません。

学び、実践し、ふりかえり内省し、また実践をするという試行錯誤が求められます。こうあるべきというリーダー像ではなく、ひとりひとりが自分自身と向き合いながら、自分自身がどうありたいかということを明確化していくものです。

繰り返し、時に壁にぶち当たりながらも、前に進むことが求められるでしょう。乗り越えるためには、以下の4つを日常に取り入れていくことです。

  1. 日々小さな成功体験を得ること(ふりかえり、内省)
  2. 刺激をもらえる同僚や仲間と学び合うこと(過程の共有)
  3. 目上の人や仲間からの叱咤激励(承認やフィードバック)
  4. 実践をつむことができる機会の存在(現場での実践)

この4つがそろうことで、より強い行動変容が起こります。

セルフ・リーダーシップを発揮できる状態は、自分自身に対する自信・信頼のような行動につながる拠り所が出来上がっている状態です。

中長期でセルフ・リーダーシップを発揮できる人材を育てていくことができれば、組織は間違いなく強くなります。

まとめ

ひとりひとりが主人公になること。それがまさしくセルフ・リーダーシップと言えるのかもしれません。

会社は物語の舞台の一部に過ぎないのかもしれないですが、目的に共感して集まり、一人ではできない大きなことを協力して成し遂げる場なのではないでしょうか。

これからの時代は組織と個人はそれぞれに目的地をしっかりと定めながら、過程を共有しつつ、相互に信頼し合い進むしかないのだと思います。

働くひとりひとりがイキイキできている組織は、間違いなく組織の活力も高まっている状態です。

働く人がイキイキとする組織づくりのスタート、ぜひご一緒できればうれしく思います。私たち自身も引き続きチャレンジを続けて参ります。

 
橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

心理的資本の概要/高める方法を資料で詳しく見る!心理的資本とは、人が何か目標達成を目指したり、課題解決を行うために前に進もうと行動を起こすためのポジティブな心のエネルギーであり、原動力となるエンジンです。「心理的資本について詳しく知りたい」方は、以下の項目にご入力のうえ「送信する」ボタンを押してください。
◆資料内容抜粋 (全16ページ)
・心理的資本が求められる背景
・心理的資本の特徴
・構成要素「HERO」の解説/開発手法とは? など

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執筆者プロフィール

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

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