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「現場力」とは具体的に何を示す? カギは裁量、自律、ミッションの共有

現場力とは、どのようなものでしょう。

通常の組織では、企画部門が企画し、営業が販売し、問題が発現したら違う部門が対応をして…というサイクルが回されています。

しかし、現場の社員が自ら、現場つまりその場で臨機応変に問題を解決することが、「現場力」です。そして、それは会社に利益を生む主体となるのです。

同じような商品を同じように販売している企業でも、業績に差があるのは、現場力に差があるからかもしれません。
現場に裁量権があり、指示や上司の決裁を待つのではなく、自らが動き、問題を解決していく能力。そのような現場力の高い組織では、現場で対面する課題に最善の改善ができています。

今回は、少し抽象的でわかりにくい「現場力」という言葉について、徹底的に解説をしていきます。

あなたの会社の「現場力」、落ちてきていませんか?

「今まで通りのやり方で進めているのに、思うように業績が伸びていかない…」
「なんだか会社全体が停滞気味だ…」
もしそのように感じているのなら、そんな時こそ、現場からの声をひろって下さい。

もしかしたら、現場の社員に権限がないため、改善案を思いついても実行できないだけだったりします。
現場にはさまざまなアイデアが転がっています。しかし現場の社員は、「できない」と思い込み、発言を控えているだけで、実は新しい改善案をもっていたりするものです。
一社員の意見でも通ることがわかると、自然に組織のシナジーは上がります。

個人成績の良い営業マンの手法を見て見ましょう。会社や上司すら丸め込んで、自分の裁量を増やし、実績を上げてはいませんか?
ベテラン社員が定年退職や、若手社員の離職が続くと、現場力はなかなか上がりません。
現場力の向上は、経験から培われるものです。そのためには社員の定着化を目指し、現場力を高めましょう。

最近は売り手市場で、「採用がうまくいかない」と嘆く声も聞こえます。
しかしその逆風をチャンスと捉え、「こういう人材が欲しい」「こんな人と働きたい」という現場の声を重視し、未来の現場力をしっかり上げるような採用をすることも大切です。

集団と組織は何が違うのか

それでは、社員が現場で主体的に課題解決をするためには、なにが必要なのでしょうか。
それを紐解くため、まずは組織と集団の違いについて、考えてみたいと思います。

組織:目標があって集まり、さらに上下関係といった構造がある人達
集団:特にこれといった目標はなく、あるいはバラバラの目標で集まった人達

では野球チームは集団でしょうか?組織でしょうか?

まず、プロ野球チームは、勝つため、試合をするため、点を取るため…という共通した目標・目的の元に集まっています。さらに監督、コーチ、選手といった上下関係の構造がしっかりあるため、組織と分類されます。

しかし草野球チームになると、目標がさまざま。
勝つためという共通の目標ではなく、勝ち負けにこだわっていない人や、ただ運動がしたい人、野球が好きな人、もちろん勝ちたい人もいるでしょうが、一貫した目的・目標はなく、集団と分類されるでしょう。

草野球チームの場合、監督も、試合以外の場面では組織構造の一番上というわけではないでしょうから、集団としての要素が強いでしょう。

つまり、
組織とは目標・目的を共にするものであるのに対し、集団はただ集まっただけともいえるのです。

この話を企業に当てはめてみましょう。

企業にとっては、「戦略や方針をもって利益を生むこと」が、目的・目標になります。
そこに各企業のミッション・ビジョンが加わり、行動指針が生まれます。

社員が現場で課題に直面したとき、会社の指針やミッションが理解できていれば、わざわざ上司や別部署の指示を待たずとも、会社の目的に沿った方法で課題解決ができます。

しかし指針やミッションが伝わっていなければ、バラバラな対応が行われてしまうのです。

たとえば、ファミレスの現場でクレームが起きたとき。
現場力のない店舗では、毎回上司の指示でクレーム処理が行われるため、顧客を待たせることになります。
しかし現場力の高い店舗では、現場のスタッフが会社の理念や方針に従った適切なクレームの一時対応ができるため、スピーディーに課題を解決することが可能なのです。

日本の現場力は、もともと高い

会議などで意見を言わず、安易に人の案に賛同する方がいますが、そのような社員が多ければ、会社の利益になりません。残念ながら、そのような風景はよく見られますし、通常の会議では、そう大きな問題にはならない行動ですが…。

東京電力福島第一原子力発電所事故。
原子炉を冷やす決め手となった海水注入。首相官邸で慎重論があり、東電本店から「中止」の命令が下っていました。
しかしながら、当時の現場は命令に逆らって注水をし続けました。
一所長が、命令に屈せず現場の判断をし続け、現場の部下も賛同していました。現場と本店の認識のズレ、危機感の差が生じていたのです。

あの東日本大震災のとき。福島第一原発の事故で、現場の意見が無視され、海水の注水の中止命令が本当に実行にうつされていたらと思うと…ゾッとしませんか?

そこには、仕事に対する当事者意識と、「ここで食い止めなければならない」という強い意志が存在していました。
「自分たち現場が、その場その場で判断し、最善を尽くす」という共通した思いが、組織を動かしていたのでしょう。

さらに、「今が非常事態だ」という認識が、空気を読まずに意見を出すという行動につながったともいえます。これこそ、現場力が大きな仕事を成し遂げた瞬間です。

あなたの組織は、自分で考えていますか?
そして、その意見は、あなたの本当の意見ですか?

主役は現場。しかし絶対ではない

主役は現場で働く人達です。
トップダウンだけで会社組織を運営しては、現場力は向上しません。

経営層や管理層が、現場が問題を自分で発見し、自ら動き、解決していける環境を示してください。

しかしながら、経営層や管理層が、現場から上がる決定に一方的に従う必要はありません。いくら現場が主役とはいえ、すべての行動、意見をボトムアップしていくわけにはいきませんし、現場が常に正しいわけでもないからです。

現場は当事者でもあるので、客観視に欠けたりもしますし、間違うこともあるでしょう。

どこまで裁量をまかせるか?
これは難しい問題ではありますが、これからの組織運営には、この調整をするバランス感覚が必要です。

上層部からみると、なぜこんな結論に達したのか?ということも起こるかもしれません。しかしそれは逆にいうと、今まで現場では「当たり前」に思われていたこと・行われていたことかもしれないからです。

これは逆も然りです。
上からの指示で「なぜこんなことを?」と思った経験がある人は、多いのではないでしょうか?
それがあまりにも多い場合は、一度、現場を振り返ってみる必要がありそうです。

今のメンバーの現場力を高めることが大切

これから求められる人材は、「自律型」だと言われています。

自律型とは、自ら考えて、そこにいた誰もが疑わなかった現状の中から「これが問題だと」と課題を見つけ出し、自分で解決する能力のある人材。
しかし、そういったことがすぐにできる人は多くありませんし、今から採用しても、どれだけの人数を集められるかは未知数です。

だからこそ、今現場にいるメンバーの現場力を高め、自律型の人材に育てていくために、会社を、組織を変えていきましょう。

問題を明確化し、解決策まで考えることができる人材が増えれば、ビジネスはとてもスマートでスピーディーに進み始めます。
その結果、利益も上がるようになったら、会社の価値はますます向上していくことでしょう。

まとめ

現場力とは、「企業経営おいて利益を生む主体」ということが分かりました。
しかし、難しく考えずとも、まず「自らの行動にどこまで疑問をもてるか?」がキッカケになるのではないでしょうか。

ルーティンワークでも、この作業はなぜこの順番なのか?この工程は省けないのか?この営業方法で正しいのか?といったことに疑問を持つことが大切です。
そこから、「この商品をあの企業の担当者にもっていくなら、合わせてこっちの商品も持参したら話がひろがるかもしれないのでは?」という、プラスの想像も働かせていくことです。

常に疑問を提起するのは大変なことですが、これからは「現場力」を高め、向上させることがビジネスにおいてさらに重要になっていきます。

現場力とは、生産現場や工場だけの話ではありません。あらゆる仕事の現場で、自律型人材が求められているのです。

 

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