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1on1ならぬ1on2のすすめ ~対話にAIを第三者として活用する方法~ ★実践者の声も紹介

リーダーとして、メンバーの成果を引き出すためには、業務の進捗確認や報連相だけではなく、プラスαで彼らの“内面の支援”が重要。前向きに自ら行動を起こせるようサポートするには何ができるのか?そんな問いを日々抱えている管理職の方は多いと思います。
また、経営者や組織開発を担う人事の方々も、社員の成長や組織の活性化を考える中で、1on1のあり方について課題を感じているかもしれません。
しかし、実際に1on1を効果的に実施しようとしても、次のような課題に直面することが多いのではないでしょうか?

  • メンバーごとに悩みの内容や傾向は多種多様で対応が難しい
  • 質の高い対話には専門的なスキルが必要
  • 事情推進に注力する中、リーダー自身が学ぶ時間が取れない
  • 組織として体系的に1on1トレーニングを行うのは時間・コストの負担が大きい

もちろん、リーダーが1on1のスキルを学ぶことは大切です。しかし、すべてのリーダーが高い対話スキルを持ち、すべてのメンバーの内面支援を完璧にこなせるとは限りません。事業推進は好きだが、人の内面の支援には疎いリーダーもおられます。一人ひとりの特性/適性/関心度合いに左右されるという問題があります。
では、できるだけリーダーの負担を極力抑え、かつメンバーの内面を支援できる方法はないのでしょうか?

解決策:1on2という選択肢

ここで提案したいのが、「AIを活用した1on2ミーティング」という手法です。
AI×1on1というと、次のようなツールを想像されるかもしれません。

  • リーダーとメンバーの話す割合や表情を数値化する
  • 1on1の内容を要約・文字起こしする

これらのツールは、リーダー自身が1on1の質を高めるための補助的な役割を果たします。しかしながら、AIが1on1の場に直接関与するわけではなく、結局は「リーダーがもっと上手に1on1をしよう」という方向性にとどまります。

本コラムで紹介するのは、1on1の場そのものにAIを“第三者”として活用する方法です。

これは、リーダーとメンバーの対話にAIが加わることで、いわば「1on2ミーティング」と呼べると思います。リーダーとメンバーだけでなく、AIという第三者が介在することで、1on1とは違う新しい形で対話を進めるものです。

つまり単なる1on1の質向上ではなく、リーダーが“対話の専門家”にならなくても、メンバーの内面支援を効果的に行うための手法なのです。

具体的な「1on2」の進め方

ここからは、具体的な「1on2」の実践方法を紹介します。対話型AIと聞いても、人によってイメージは様々かと思います。ここでは、当社開発の対話型AIツール HERO Me(ヒロミー) を活用した方法をお伝えします。

心構え:リーダーのあなたは「ファシリテーター役」

「この時間内にメンバーを動機づけねば」と肩に力を入れる必要はありません。あなたは1on2の場をつくり、進行するファシリテーターです。1on1では上司と部下が向き合う形になり、緊張感が生まれやすいですが、1on2ではHERO Me を交えた横並びの対話というイメージを持ってください。「1」がHERO Me で、「2」が上司と部下です。PCやスマホでHERO Meを“同席”させるところから、1on2をスタートさせましょう。

❶相談テーマを聞く

アイスブレイクの後、まずメンバーの課題や悩みをヒアリングします。問いかけはシンプルに 「HERO Me に聞いてみたいことある?」 でOKです。

具体的な相談テーマ例・仕事のモヤモヤ
・落ち込んでいること
・キャリアや成長について
・人間関係の悩み
※「話を聞いてほしい」でもOK

「上司である私に悩みを言ってください」と伝えると、メンバーは緊張してしまうものです。
しかし、AIに話しかける形にすると心理的なハードルが下がり、悩みを開示しやすくなります。

相談テーマを聞くことができたら、リーダーは、「じゃあ、それをHERO Me に聞いてみよっか」と伝え、HERO Me に入力してください。すると、HERO Me が対話を返してくれます。

実際に、筆者のほうでHERO Me に、「新プロジェクトのメンバーになったが、役割を担えるか不安」というような相談を入力してました。回答も合わせて下記の画像でご確認ください。

【画像①】実際に、筆者のほうでHERO Me に、「新プロジェクトのメンバーになったが、役割を担えるか不安」と入力しました。(下線は筆者が足したもの)

❷追加ヒアリングで課題を整理

HERO Me は、相談内容を肯定的に受け止めながら、課題を明確にする深掘り質問をしてきます。リーダーとメンバーで一緒にコメントを読みながら、リーダーからも質問について口頭で聞いてみましょう。
「特に不安を感じている点ってどうかな?HERO Me も言ってくれてるけど、時間のやりくり?それともスキル面かな?」
「『プロジェクトメンバーになったら、どんな役割ができればいいと思ってる?』ってHERO Me が聞いてるね」

メンバーは色々と話をしてくれると思います。というのも、リーダーからの直接の具体的な問いだと、「いい事言わなきゃ」と言葉に詰まるかもしれません。でも、1on2の場合はAIに回答する形なので、本音を答えやすいからです。

リーダーは、話を「うんうん」と聞きながら、話を整理してHERO Me に文字を入力していきます。HERO Me が理解できるように(誤って捉えないように)、「こういうことであってる?」「この点はどう?」と確認しながら進めます。メンバーは、「上司がしっかり話を聞いてくれている」と実感するはずです。

ちなみに、HERO Me の回答以外の質問をリーダーがしてはいけない訳ではありません。柔軟に違う角度から質問してももちろんOKです。

【画像①】のHERO Me 深掘り質問に対し回答した例が下記の画像です。

【画像②】整理した課題をHERO Me に打ち込んだ内容

❸行動提案を、”一緒に”受け止める

【画像③】整理した課題に対するHERO Meの「行動提案」(下線は筆者が足したもの)

明確となった課題に対し、HERO Meは行動提案をします。
しかしその前に、【画像③】の緑の下線に示したコメント部分を上司がスルーしてはいけません。HERO Me は課題に対して前向きな視点を見いだすことがとても得意です。「不安なのは、プロジェクトに向き合おうとしている証拠です」「プロジェクトに選ばれたのは、営業現場の経験や視点が重要だからだと思います」と言ってくれています。

HERO Me に倣って、リーダーも「ほんとに。そうだよ!」と前向きな言葉をかけましょう。HERO Me に倣うのであれば前向きな声掛けをするハードルは低くなるはずです。
そして、行動提案(赤の下線)について、メンバーの考えを尊重しながら、一緒に考えます。
「得意だと思うことは、どうだろう?」
「私から見ると、○○さんはこれが得意だと感じてたんだけど、どうかな?」
「ほかの人に評価されたことは?チームのメンバーだけじゃなく、お客さんの声とかも参考になるかもね!」
一緒に考え、行動や思考を整理することで、メンバーが「行動できそうだ!」「前向きになれた!」と思えたなら、それは1on2の成果です。もしまだ不安がある場合は、この❷❸を繰り返します。ただし、大きな変化を求めようとして問いを繰り返すのは禁物。「小さくても良いので、一歩前に踏み出せること」が大切です。例えるなら”ベイビーステップ”です。

「1on2」の実践者の声

実際にこの1on2を実践されている、ある製造業のリーダーAさんに、筆者はヒアリングさせていただきました。リアルなお声を紹介します。

実践者の声・「上司である自分がしっかり理解していると、部下に伝わっていることを感じる。」
・「自分だけだとすぐに答えを求めてしまう。HERO Meを使うことで、背景からしっかり聞くことができる。」
・「自分だけだと『伝わってないな』と感じたら、説得にかかってしまっていた。1on2形式だと自分も第三者になれる。何が不明なのかしっかり聞き、『じゃあ追加でヒロミちゃんに聞いてみよう』と対話を進められる。」
・「深掘りがしやすい。自分一人だと思いついてなかった角度の質問をヒロミちゃんがしてくれる。」
・問いに対するメンバーの反応を観察する余裕・余白が生まれ、自分は客観的になれる。『今のは伝わってない』『これは伝わってる』」と理解しながら対話を進められる。」

1on2の誕生秘話

まだ、世の中的にこのAIを交えた1on2は浸透していません。新しい手法です。
ですが、筆者自身がその効果を実感したエピソードがあります。それは家庭での妻とのこんな会話でした。

私は一時期、よく妻から仕事のモヤモヤ相談を受けていました。私はアドバイスをするのですが、妻は、「まあ、それはそうだけど…」と、微妙な反応をして終わるのが常でした。
そんな中、また相談を受けたある日、私はやり方を変え、ベータ版だったHEROMeで、この1on2を試してみたのです。妻の相談をHERO Meに要約して入力すると、HERO Meが「その背景を詳しく教えてください」と問いかけ、さらに対話を続けると「こんな行動はいかがでしょうか?」と具体的な提案をしてくれました。
すると妻は、「なるほど~!」と、納得感を込めて言いました(笑)。そんな反応は初めて。私単体よりもHERO Meを交えた方が良いではないか!
ちなみに、このエピソードを私はAさんに伝え、「1on2すごい!」と感じてくださったAさんが、いま実際に職場でこれを実践され、実際に手ごたえを感じてくださっているのです。

1on2を体験してみませんか?

そこで「皆さんにも ぜひこの1on2を試してほしい!」そう思い、体験型のウェブセミナーを企画しました。
参加者同士で実際にHERO Me を使った1on2を体験していただき、感想をシェアいただければと考えています。
もしお申込者がお一人の場合は、私とぜひ1on2をしましょう!(HERO Me 利用中のユーザーの皆さんもご参加OKです)

2/27 対話にAIを加えたらどうなる?HERO Me 体験&感想共有会

HERO Me の詳細を詳しく知りたい方は、ウェブサイトよりお問合せください。

1on2が1on1を進化させる新たな手法となり、働く人の意欲、ひいては日本の生産性が高まることにつながれば嬉しく思います。

赤澤智貴

赤澤智貴

株式会社Be&Doの事業開発ディレクター。大阪府柏原市出身。学生時代、野球部のキャプテンを務める中でチームマネジメントの難しさを実感。自身がイップス(精神的な要因で思い通りにボールを投げられなくなる症状)に苦しんだ経験から、「人を怒りでコントロールするのではなく、前向きな気持ちやモチベーションを引き出すリーダーシップ」が重要だと気づく。新卒で採用支援会社にて企画営業を経験した後、2019年に株式会社Be&Doに参画。事業開発全般に携わり、PsyCap Master認定講座の運営責任者も務め、個人・組織の心理的資本の向上を追及している。また、個人の活動としてアンガーマネジメントの普及活動にも取り組み、企業研修の実施や、関西支部の副支部長としてコミュニティ運営にも携わる。

心理的資本の概要/高める方法を資料で詳しく見る!心理的資本とは、人が何か目標達成を目指したり、課題解決を行うために前に進もうと行動を起こすためのポジティブな心のエネルギーであり、原動力となるエンジンです。「心理的資本について詳しく知りたい」方は、以下の項目にご入力のうえ「送信する」ボタンを押してください。
◆資料内容抜粋 (全16ページ)
・心理的資本が求められる背景
・心理的資本の特徴
・構成要素「HERO」の解説/開発手法とは? など

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執筆者プロフィール

赤澤智貴

赤澤智貴

株式会社Be&Doの事業開発ディレクター。大阪府柏原市出身。学生時代、野球部のキャプテンを務める中でチームマネジメントの難しさを実感。自身がイップス(精神的な要因で思い通りにボールを投げられなくなる症状)に苦しんだ経験から、「人を怒りでコントロールするのではなく、前向きな気持ちやモチベーションを引き出すリーダーシップ」が重要だと気づく。新卒で採用支援会社にて企画営業を経験した後、2019年に株式会社Be&Doに参画。事業開発全般に携わり、PsyCap Master認定講座の運営責任者も務め、個人・組織の心理的資本の向上を追及している。また、個人の活動としてアンガーマネジメントの普及活動にも取り組み、企業研修の実施や、関西支部の副支部長としてコミュニティ運営にも携わる。

研究員リスト

  • 赤澤智貴
  • 小西ちひろ
  • 橋本豊輝
  • 石見 一女
  • Li Zheng
  • 心理的資本研究員
  • 下山美紀
  • 舞田美和
  • 岡本映一
  • 雪丸由香

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