新年、新年度、新学期。区切りのタイミングで、心機一転!目標を立てる人も多いのではないでしょうか。
SNSなどを眺めていると、特に新年には目標を宣言されている方も多く、自分以外の人の目標を知る機会があったりします。
そこで、私はつい思ってしまいます。その目標はとても”モッタイナイ”と!!
もったいないなと感じる目標は、多くの場合、「自分の悪癖を直したい」タイプの目標です。
私なりに”言葉の魔法”を使って、前向きになれるように変換を試みてみましょう。
目次
Case1:イライラしない
ついつい、もやもや、イライラすることは誰にでもあるでしょう。心の健康のためにも、イライラしたくないものです。だから「今年はイライラしない」という意気込みもよく分かります。ただ、このようにしてみてはどうでしょうか。
イライラしない
↓
イライラせずに過ごす
イライラしたら深呼吸をする
イライラしたことを紙に書き出してスッキリする
↓
イライラせずに過ごすことができた
イライラしない、という否定形で終わらせるのではなく、何らか「~する」「~できた」という前向きな肯定形で語尾をそろえられるように検討をしてみます。
また「イライラせずに過ごす」という少し抽象的または曖昧な目標を、具体的な行動をイメージできる”行動目標”に落とし込んでみてください。イライラせずに過ごすために「イライラしたら深呼吸をする」とか、「イライラしたら紙に書き出してスッキリする」のようにしてみると、具体的な行動を実行できそうですよね。それらを実行できたら「イライラせずに過ごすことができた」という実感も湧きやすいですし、ひとつ目標を達成できたと言っても良いのではないでしょうか。
Case2:他者の考えを否定しない
他にも見かけたものを題材にいくつか、取り上げてみたいと思います。他者の考えを否定しない。とても尊い目標だなと思います。ただ、これも少し変換するとポジティブな言い回しになりますよね。
他者の考えを否定しない
↓
他者の考えを認める(他者の考えを否定せず認める)
他者の考えを認めて知見を広げる
他者の考えを認めて相手の価値観を知る
↓
他者の考えを認められるようになった
先ほどのCase1と同様に、何らか「~する」という言い回しの言葉に変換してみましょう。また否定の反対は肯定ですが、この場合は肯定するというより「認める」という言葉をとる方が良さそうです。なんでも肯定すればいいわけではないですから!自分の考えと、相手の考えは違うということを”認められる”ことを大切にしたいのではないでしょうか。この人の当初の目標の立て方からも、そんなことがうかがえます。
さらに加えるならば、他者の考えを認めることで、どんな良いことがあるのか、具体的に言語化して目標に加えてみるのも良いかもしれません。例えば「他者の考えを認めて価値観を知る、知見を広げる」というようなものも良いかもしれません。他者を否定せず認めることで「そういう考え方もあるか」と捉えられれば、なんだか人間の器が拡がった感覚を持てそうです。(あくまで私の場合)
Case3:お菓子を食べない(お菓子を我慢する)
ダイエットを志す方も多いですよね。その中でよく見かけるのが禁欲系の目標です。お菓子を食べない!炭水化物を食べない!深夜に食事をとらない!ラーメンを食べない!揚げ物を食べない!
こうした禁欲系、我慢系の目標は9割以上失敗します。間違いないです。
今回もシンプルに、「~する」という語尾にして、ポジティブな言い回しに…と言いたいところですが、ここで注意したいのは、例えば「お菓子を我慢する」という言葉にすると、既に「我慢」という「本当はしたいことだけどやならい」という否定形ワードがもろに入っちゃっているんですよね。
だから例えば私なら
お菓子を食べない
↓
1日に食べるお菓子を1個にする
お菓子を食べたら5分体操をする
健康的なオヤツを食べる
↓
ダイエットのためにお菓子を適量にすることができた
目的はダイエット!(さらにその先に大事な目的があるかもしれませんが)
お菓子を食べないことが目的になると、好きなものを我慢し続けることになり、だんだん辛くなってきそうです。ずっと欲求不満がたまってくるんですよね。最終的に欲求不満が爆発!思い切りリバウンドしてしまいかねません。いや、本当は好きなものなら、我慢するより、目的を達するためにはどうしたら良いかと考えて、うまくコントロールするような目標に言語化してみると良いのではないでしょうか。
例えば「1日に食べるお菓子を1つにする」として、量を減らしつつも、食べることはOKにする。
例えば「お菓子を食べたら5分体操をする」として、食べてもいいけど、消費カロリーを増やすために運動をする。
例えば「健康的なオヤツを食べる」として、オヤツは食べてOKで、内容を糖質などを考慮した健康的なオヤツに変える。などなど、自分の状況に応じた具体策を検討して言語化してみると良いと思います。
ダイエットをして減量を実現するためのマイルストーンとして「ダイエットのためにお菓子を適量にすることができた」という状態を目指すのです。
回避目標ではなく接近目標で
ここまで、まるで言葉遊びのようにご紹介してきましたが、実際に目標の立て方によって結果がどのように変わるのか、数多くの研究や調査で検証されてきた話です。
人のポジティブな行動につながる心のエンジンである「心理的資本」を高めていくためには、達成体験を積んでいくことや、そのためにどのような目標を立てていくかも大切な要素のひとつです。些細なことですが、目標の言語化の仕方次第でも、実際の行動に移せるかどうかや、その後の達成感、そして結果にも影響が出てくるものなのです。
「~しない」系の目標は、物事を回避するという意味で「回避目標」と呼ばれています。
一方で「~する」「~できた」というような目標は、その逆で「接近目標」と呼ばれていますね。
後者の接近目標の方が目標に向けて近づく感覚がありますよね。前者の回避目標の場合は、やればやるほどフラストレーション!欲求不満がたまって、気持ちが前向きにならない感覚もあります。
立てた目標、少し見直してみて、言い換えてみませんか?
心理的資本への介入法を学ぶ
本コラムでご紹介したのは、人がポジティブに行動を移しウェルビーングになるためにできる、ほんのひとつの要素に過ぎません。しかし、知っているか知っていないかだけでも大きな差がありそうです。
人が行動を起こし成長したり、ウェルビーイングに、イキイキする源泉とも言うべき心理的資本を高め、その人らしいリーダーシップの発揮を導き促す”ガイディング”を学び実践する場として「PsyCap Master認定講座」を開催しています。よろしければ詳細をご覧くださいね。
2022.09.02
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