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人だけでは難しい? AIが社員のキャリア自律を加速させる理由

近年、「キャリア自律」という言葉が注目を集めています。これは、個人が主体的に自身のキャリアを考え、自らの意志で前向きにパフォーマンスを発揮できる心理状態を指すものです。社員一人ひとりがキャリア自律している状態は、組織全体のエンゲージメント向上やパフォーマンス発揮に不可欠であり、多くの企業にとって大きな課題となっています。一方で、現代のビジネス環境は目まぐるしく変化しており、人の力だけで社員のキャリア支援をすべてカバーすることには限界が生じています。

  • 管理職のマネジメント業務の増大
  • 働き方やキャリアに対する多様な価値観の広がり
  • コミュニケーション機会の減少

このような状況下で、人が対応しきれない部分をAIが補完することで、社員はより前向きに、そして安心して働くことができるようになると考えます。

従来のキャリア支援の限界

多くの企業では、社員のキャリア自律を促すために様々な取り組みを行っています。例えば、一般的な施策として以下のようなものが挙げられます。

      • キャリア研修の実施: 入社年次や役職等に応じたキャリア研修を通じて、キャリアに対する意識を高めます。
      • キャリアシートの提出と上長との1on1面談: 社員が自身のキャリアプランを記述し、上長と話し合うことで、現状と将来について考える機会を設けます。
      • 社内・社外のキャリアコンサルタントによる相談室の設置: 専門家による個別相談の場を提供し、キャリアに関する悩みを支援します。

これらの取り組みは素晴らしいものですが、運用面では以下のような課題に直面することが少なくありません。

      • 一人ひとりに寄り添うことの難しさ: 研修ではどうしても全体へのメッセージになりがちで、個々の社員の課題に深く踏み込んだ支援は困難です。また、研修でモチベーションが高まり目標設定ができても、「では具体的にどう行動するか?」というステップでつまづくケースも少なくありません。
      • 上司自身のキャリア自律度による影響: 部下面談を行う上司自身が、キャリア自律に深く向き合えていない場合、部下の多様なキャリア観に寄り添うことが難しいかもしれません。特に、長期雇用を前提とした日本型雇用の中で価値観を形成してきた世代の上司にとって、部下の主体的なキャリア形成を支援することは容易ではありません。
      • 職場でのポジティブな心理状態は不可欠: キャリア自律研修で自身のWill(意志・ありたい姿)を深く掘り下げたとしても、職場に戻って現状に疲弊していたり、やりがいを見いだせていなかったりするネガティブな状態では、そのWilに向き合うどころか、Willと現状のギャップに今まで以上に苦しむことにもなりかねません。
      • 相談室の利用率の低さ: 「人事に情報が漏れるのではないか」という懸念や、「キャリアに向き合うことにピンと来ない」「どう考えたらいいのかわからない」といった社員の意識から、せっかく設置された相談室が十分に活用されないという課題も多く見られます。企業側が強制力を持って面談機会を設けても、面談自体が有意義なものにならないこともあります。
      • 相談体制構築におけるコストと難しさ: 専門のキャリアコンサルタントを確保するには、人件費や委託費といったコストがかかります。また、質の高い相談員を育成・維持する体制を構築することも、企業にとっては負担となります。

AIを活用した「AIキャリア相談室」の可能性

24時間365日、いつでも相談可能

内面のモヤモヤは、時間が経つと「まあいいか」と心の中にしまいこんでしまいがちです。しかし、そうした感情を溜め込むと、いつか爆発してしまう可能性があります。AIキャリア相談室があれば、時間や場所を問わずいつでも相談できます。まさに「メンター」のような存在です。研修後の目標設定に対する壁打ちや、日常的な悩みについても、必要なときにタイムリーに相談できるでしょう。

言いづらい本音を率直に相談できる安心感

例えば、上司との関係性やコミュニケーションに悩んでいるメンバーも実際には多いはず。しかし、1on1面談をしている上司に対して直接「あなたに悩んでいます」とはなかなか言えません。他にも、自身のスキル不足や将来への漠然とした不安など、相談しづらいと感じる社員もおられるかも知れません。AIであれば、社内のしがらみや評価を気にすることなく、安心して本音を打ち明けられます。

上司の負担と不安を軽減

管理職は多岐にわたって業務を抱えています。「部下のキャリアにも伴走せよ」と言われても、簡単ではありません。AIが部下への日常的なケアや内省のサポートを補完できれば、上司は業務面のフォローにより注力できます。1on1面談にしても、部下がAIを用いながら内省を深めたり、一歩でも前向きな状態になった状態で参加してくれたならば、より有意義な面談時間になるでしょう。さらに、上司自身も孤独を感じ、部下に弱みを見せられないといった心身の負担を抱えていることがあります。AIは、上司自身の良き相談相手にもなりえます。

人による相談室への橋渡し役

AIキャリア相談室に自身のキャリアを相談する習慣ができ、AIとの対話を通じて自身の状況を整理できるようになることで、キャリア相談に対する心理的な抵抗感が減少します。AIにより人の相談へと繋がる流れを作り出すことができます。社員のより深い悩みや複雑な問題については、専門のキャリアコンサルタント等、プロフェッショナルによる支援が言うまでもなく欠かせません。

「人」と「AI」が補完し合うハイブリッド支援が理想形

AIの支援は、決して社員同士のコミュニケーション、ひいては信頼関係構築の機会を奪うものではありません。むしろ円滑にするためのクッションの役割となると考えます。

社員のキャリア自律を促進する上で最も効果的なのは、人とAIがそれぞれの強みを活かし、弱みを補完し合うハイブリッドなアプローチです。企業は変化の激しい現代の労働環境において、社員のニーズの変化に対応し、キャリア開発の提供方法を継続的に進化させていく必要があるのではないでしょうか。

私たちBe&Doは、キャリア自律におけるAIの活用にいち早く注目し、「AIキャリア相談室 HERO Me (ヒロミー)」をリリースしました。多くの企業様からのフィードバックを取り入れながら、より良いサービスを追求しています。

HERO Me 問合せフォームより直接お問い合わせいただければ、実際のデモをご覧いただいたり、ディスカッションをさせていただくことも可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください!

また現在、AIキャリア相談室に関する【オンデマンドセミナー】を公開中です。より詳しく知りたい方はぜひ下記よりお申込みください。

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赤澤智貴

赤澤智貴

株式会社Be&Doの事業開発ディレクター。大阪府柏原市出身。学生時代、野球部のキャプテンを務める中でチームマネジメントの難しさを実感。自身がイップス(精神的な要因で思い通りにボールを投げられなくなる症状)に苦しんだ経験から、「人を怒りでコントロールするのではなく、前向きな気持ちやモチベーションを引き出すリーダーシップ」が重要だと気づく。新卒で採用支援会社にて企画営業を経験した後、2019年に株式会社Be&Doに参画。事業開発全般に携わり、PsyCap Master認定講座の運営責任者も務め、個人・組織の心理的資本の向上を追及している。また、個人の活動としてアンガーマネジメントの普及活動にも取り組み、企業研修の実施や、関西支部の副支部長としてコミュニティ運営にも携わる。

心理的資本の概要/高める方法を資料で詳しく見る!心理的資本とは、人が何か目標達成を目指したり、課題解決を行うために前に進もうと行動を起こすためのポジティブな心のエネルギーであり、原動力となるエンジンです。「心理的資本について詳しく知りたい」方は、以下の項目にご入力のうえ「送信する」ボタンを押してください。
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・心理的資本の特徴
・構成要素「HERO」の解説/開発手法とは? など

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執筆者プロフィール

赤澤智貴

赤澤智貴

株式会社Be&Doの事業開発ディレクター。大阪府柏原市出身。学生時代、野球部のキャプテンを務める中でチームマネジメントの難しさを実感。自身がイップス(精神的な要因で思い通りにボールを投げられなくなる症状)に苦しんだ経験から、「人を怒りでコントロールするのではなく、前向きな気持ちやモチベーションを引き出すリーダーシップ」が重要だと気づく。新卒で採用支援会社にて企画営業を経験した後、2019年に株式会社Be&Doに参画。事業開発全般に携わり、PsyCap Master認定講座の運営責任者も務め、個人・組織の心理的資本の向上を追及している。また、個人の活動としてアンガーマネジメントの普及活動にも取り組み、企業研修の実施や、関西支部の副支部長としてコミュニティ運営にも携わる。

研究員リスト

  • 赤澤智貴
  • 小西ちひろ
  • 橋本豊輝
  • 石見 一女
  • Li Zheng
  • 心理的資本研究員
  • 下山美紀
  • 舞田美和
  • 岡本映一
  • 雪丸由香

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