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ゲーミフィケーションを職場で活用することを再評価する。

調査によると、事業変革・業務変革の取組みのうち70%は従業員のエンゲージメントが不足しているために失敗しています。伝統的な大手企業で働いている人ならば、自分たちの組織をふりかえって90%近くが失敗していると見積もるかもしれません。どのような場合でも、デジタル化が進み、急速な変化が起こっている現代において、変化を怖がっている余裕はありません。従業員が彼ら自身の仕事に従事するだけではなく、所属している企業全体にコミットメントさせる必要があります。

エンゲージメントは新しい問題ではありませんが、ますます重要性を高めています。何十年にもわたる間、従業員は「偏見」「フィードバックの欠如」「あいまいな目標」というような、従業員と企業文化全体のコミットメントを損なうようなすべてのことに不満を感じてきました。

従業員は、自分がどのように役立っているか―自分がやっていることが誰かにとって本当に重要であるということ―を知りたいのです。特にデジタル化された時代では、どこにフォーカスをあてて仕事をするか調整・再調整を常に行っていく必要があります。

ゲーミフィケーションを活用すること。このゲーミングの手法を用いたデジタル・モチベーションのコンセプトは、世界中の従業員に新たな関係性を生みます。デジタルトランスフォーメーションの時代に慣れ親しんだ世代に、スムーズに共通言語化できるのではないでしょうか。

職場におけるゲーミフィケーションと生産性への影響

幸せな従業員ほど生産性が高い。
自分自身の仕事を楽しむ従業員は、より良い結果を生み、より一生懸命働き、会社に長期にわたり貢献します。

ゲーミフィケーションは、雇用主が従業員の仕事を楽しくするための一つの方法です。うまく職場のゲーミフィケーションを設計することができいれば、課題をクリアするとタイムリーに報酬・褒賞を得ることができたり、フィードバックをすることで満足感を得ることができます。こうしたゲーミングを用いた手法は、従業員を巻き込んで生産性を向上させ、スタッフの離職率を低減する効果的な方法です。

ポケモンGoは消費者向けのゲームアプリとして有名です。位置情報を活用した拡張現実(AR)アプリです。モンスターをコレクションして育てるために、人は行動します。そのコンテンツやゲーム内容も素晴らしく評価されるところですが、それよりも注目したいのはゲームに夢中になることで、人が実際に移動する=運動をするということです。そしてスポットとなった場所の収益にも影響しています。(運動によって健康に寄与したり、家から一歩も出ない人を外に引き出したり、お店の集客に寄与したり。)
※執筆時点で約2年が経過していますが、おそらく利用者は減ったものの、今でも根強く取り組んでいる人を見かけます。

職場で同じように従業員の行動を促進するようなゲーミフィケーションが実現できれば、これにこしたことはありません。すべての経営者は、幸せに仕事に従事する従業員を求めています。仕事を各従業員が楽しんでくれれば、顧客への対応は良くなり、顧客満足は向上し、生産性も向上します。

従業員が自分自身が何をしているのか気にしない状態(無関心)のときは、生産性が低下します。職場にゲーミフィケーションを導入しても、もとから低い士気や生産性を高めるための特効薬にはなりません。

それには多くの理由が考えられます。
問題が企業文化的なものかもしれません。今働いている職場には従業員が最善を尽くすことを妨げるようなマイナスの文化があったりしないでしょうか。
チームのマネージャーのパフォーマンスが低ければ、それも生産性に悪影響を及ぼします。
そもそも従業員自身が仕事、文化、チームに適していない場合もあります。

ゲーミフィケーションの心理学を活用することで、うまく設計し導入すれば、現状の職場課題に何らかのポジティブな影響を与えられることもありますが。

職場でゲーミフィケーションが活用される場面

職場でも、従業員の関与と生産性を促進するために、人が夢中になるロジックを実践することができるでしょう。ゲーミフィケーションは職場ではこんな場面で活用されます。

  • 従業員の教育
  • 従業員のモチベーション向上
  • 従業員のエンゲージメント向上
  • ワークフローの最適化
  • 若手のスペシャリストを惹きつけるため

など。

ゲーミフィケーションが機能する理由

なぜ、それらが機能するのか。
ゲーミフィケーションは従業員の行動に以下のように影響します。

従業員は褒賞や承認を得る機会のために、動機付けされます。
また、従業員はそれらを得るために自分自身がコントロールしている感覚を得ることができ、内発的動機を刺激します。従業員はゴールに向かって進捗度合いを確認することで、課題の完了を促進されます。
目標を設定し完了するまで自分自身や他者との協働を進めながら、人々は自然と競争的なモチベーションも刺激されます。

よく用いられるゲーム要素

人気のゲーミング要素はどのようなものでしょうか。

  • バッジの獲得
  • 順位表
  • ポイントやスコア
  • レベルアップ
  • チャレンジ(ミッション、クエストのようなもの)

以上のようなものが代表的です。もちろんただ闇雲にこれらをやればよいわけではなく、目的や場面によって設計することが大切です。

どのような利益をもたらすか

ゲーミフィケーションはうまくやれば手作業・アナログでもある程度は機能するでしょう。ただし、とても手間がかかり、そこにかかるマンパワーや時間を無視してはいけません。基本的にデジタルなアプリケーションを用いてしかるべきでしょう。

  • リアルタイムのフィードバック
    (何かを達成したときや、どこまで進捗しているかなどがすぐに可視化される)
  • 客観性が担保される
    (データとして蓄積され評価できるので、客観性を保ちやすい)
  • 透明性が担保される
    (データとして可視化されるので、客観性を保ちやすい)
  • 働くことをより楽しくする
    (良い意味で業務上の課題をゲームとして捉えられる)

ゲーミフィケーションが与える影響

うまく運用ができているなら、メリットのほうが大きい。

  • 従業員のうち90%が生産性向上した
  • エンゲージメントが48%向上した
  • 72%の従業員がより一生懸命働くことを鼓舞された
  • 95%の従業員がゲーミフィケーションシステムを使うことを楽しんでいる

一方で、リスクもある。

  • 行き過ぎた利用、激しく利用した場合は従業員にとってストレスになる
  • ビジネスの目標や環境に合わせて適切に導入設計しなければ、うまく実行されない

どのように導入すれば良いのか

  1. ゲーミフィケーションを通じて達成したい目標を決める
  2. どのような行動やスキルの変革が必要かを決める
  3. どのようなユーザ体験をさせるか設計する
  4. 従業員が取り組む目的を明確にする
  5. 従業員とワークフローに合わせてゲーム要素を調整する

当たり前のことだが、目標や、必要な変化の具体化から始めることが重要です。

失敗する多くのケースは、事前の計画をおろそかにしているケースがほとんどです。そこはある程度、専門家の知見を活かすべきとも考えます。なんとなく楽しそうだとか、便利そうだという理由で導入してしまうと、せっかくの仕組みでもうまくいきません。

改めて「目標を定義する」「どのような成果を目指すか成果を理解する」「ユーザ体験の設計(いつ、どのようなワークフローの中で行われるか)」「それが楽しいかどうか」「チームやワークフローに適しているかどうか」を念頭に置いてみてください。

そもそもゲーミフィケーションとは?

ゲーミフィケーションは、仕事をゲームに変えようとするものではありません。
それは、人のエンゲージメントを促進する心理学(競争、改善、凌ぐ)に関係します。
タイムリーに報酬になるものは、ウサギが追い続けるニンジンのようなものです。

ゲーミフィケーション技術は、その心理学をビジネス分野で機能させる手段に過ぎません。
ただし、うまく設計することで、その効果は何倍にも何十倍にもなるでしょう。

短期的であり日常的に変化してしまうモチベーションではなく、できれば中長期的に作用するような心理的な部分を刺激するようなものを計画したいところです。

参考文献:
How To Drive Employee Engagement With Workplace Gamification(Forbes)
How Gamification in the Workplace Impacts Employee Productivity(Medium)

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

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・心理的資本の特徴
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執筆者プロフィール

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

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  • 小西ちひろ
  • 橋本豊輝
  • 石見 一女
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  • 心理的資本研究員
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  • 舞田美和
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