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チームに1人、「インフォーマルリーダー」を。

あなたが組織人で、経営者でなければ、上司の下で働いているはずです。

その上司、どのようなタイプですか。あなたから見て、リーダーシップを発揮できていますか。

尊敬できる/できない、仲がよい/よくない、そして、目指すべき存在かどうか…上司とあなたの間には、さまざまな関係性があるはずです。仕事ができる人かという判断軸もありますし、個人的な好き嫌いも関係してきますよね。残念ながら、嫌いであっても上司を変えることができないのが、日本のサラリーマンの辛いところではありますが…。

今日は、「リーダー」について考えてみたいと思います。ただしリーダーといっても、単なる役職の話ではありません。リーダーには、「フォーマルリーダー」と「インフォーマルリーダー」がいるからです。

さて、あなたの周りにいるのはどっちのタイプでしょう。
そして、あなたはどちらのタイプを目指しますか。

そのリーダーは「フォーマル」?「インフォーマル」?

「フォーマル」と聞くと「礼服」が思い浮かびませんか?イメージ的にはそれで正解です。フォーマルは「正式の、公式の、礼式の」といった意味を持ちます。礼服は「formal wear」なので、日本でいうフォーマルは礼服のイメージが強いのです。

つまり「フォーマルリーダー」とは「会社が正式に任命した管理職の人」を意味します。

一方で「インフォーマル」はどうでしょう。
英語では「イン」が付くと意味が逆になりますから、「インフォーマルリーダー」は「正式に任命されているわけではないけど、チームや周りの人を引っ張っていく人」を指します。

あなたの身近にも、特に役職に就いていないけれど、リーダーシップの強い一般社員がいるはずです。学生時代を思い出してください。学園祭のクラスの出し物を決めるとき、実行委員に任命されているわけではないけど、クラス全体をまとめて動かしてくれる頼もしいクラスメイト、いませんでしたか?そんな存在が、「インフォーマルリーダー」です。

「リーダー」と「リーダーシップ」、その違いをしっかり把握して

「リーダー」とはポジション、単なる役割のひとつです。

一方「リーダーシップ」は「周囲を巻き込み、引っ張っていく行動」を指します。
混同しがちですが、まったく違いますからご注意を。

想像してみてください。「リーダーシップ」のない「リーダー」に率いられる組織は、きっとカオスでしょう。しかし、「リーダーシップ」のある、「リーダー」ではない人は、組織に何人いても困りません。

「リーダーシップ」は管理職限定のものではないのです。理想としては、すべての社員が持つべきものです。あなたのチームにも、リーダーよりも影響力が強く、チームを引っ張り、よい空気をつくっているリーダー的存在の人はいませんか?彼ら彼女らは、決して「お給料も変わらないのに、損だ」なんて思っていません。ナチュラルに、「こうしたらいいかな?」という最善の方向へ進むために、行動をしているだけ。それがうまく周囲を巻き込めたとき、あの人はリーダーシップがあるよね、という評価を受けるのです。

正解が見えない時代だからこそ、リーダーシップが求められる

現代はVUCA(ブーカ)の時代だといわれています。

VUCAとは

V: Volatility(変動性)
U: Uncertainty(不確実性)
C: Complexity(複雑性)
A: Ambiguity(曖昧性)

の4つの単語の頭文字を取った、ビジネス環境を表す造語です。

VUCAを一言でいうと、「予測不可能」。誰もが予想しなかった新型コロナウィルスのような疫病や、思いもよらない災害、想定外のテクノロジーの急速な進化など、今の私たちが予測しにくい時代の真っただ中にいるのは、誰しもが理解しているはずです。

しかし正解が見えないため、確実な指示を出せる人はどこにもいません。「リーダー」という役割の人だって、正しい判断を出せるとは限りません。だからこそ、リーダーだけではなく、すべての人が「リーダーシップ」を持ち、主体的に動く「インフォーマルリーダーシップ」に注目が集まっているのです。

リーダーシップに必要なのは明確なビジョンの共有

フォーマルでも、インフォーマルでも、リーダーシップを発揮できる人は以下のことが当たり前にできているはずです。

・目標達成のための明確なビジョンをつくる
・そのビジョンを、他の社員と共有する

目標やビジョンが明確で、それを社員全員が理解し共有していれば、それぞれがお互いに目標達成のためのベストな方法を探せるはずです。たとえ組織に多数のリーダーがいても、対立や競争は起こらず、スムーズに物事が動くでしょう。

しかし、目標が共有できていなかったら?組織よりも個人の利益を優先し、対立や競争が起こるかもしれません。それぞれが好き勝手に行動すれば、「船頭多くして船山に上る」状態です。(残念ながら、山に上がってしまった船は、もう二度と目的地につくことはありません…)

「インフォーマルリーダーシップ」を発揮しやすい職場を目指すには、組織の全員が同じゴールを見据えていることがとても大切です。

部下のリーダーシップを伸ばすには?

部下にインフォーマルなリーダーシップを求めるなら、まずはあなたがよきリーダーである必要があります。

学生時代を思い出して下さい。学園祭での話し合いのとき、担任の先生はどう関与してくれたでしょうか。

  • 先生が独断でクラスの出し物を決めてしまった!
  • 出し物にダメ出しばかりだった!!

おそらく、そうではなかったはずです。クラスの話し合いの流れを見守りながら、あまりにも逸脱しそうなら、本筋に戻るように助言してくれたり、話し合いが進まなければ突破口となるようなヒントを与えたり…。そんな環境だからこそ、インフォーマルなリーダーシップを発揮するクラスメイトが出現し、イキイキと準備が進められたと思いませんか。

これこそが、そのまま上司に求められるスキルです。
部下を信じて、任せる。ある程度自由にさせるけど、放置するのではなく、いざというときの責任はとる。それができれば、部下も上司を信頼し、部下同士のチームワークも深まります。「次のインフォーマルリーダーシップ」を発揮する人材もしっかり育成されるでしょう。

上司には、リーダーシップだけではなくマネジメントスキルも必要です。命令や指図ではなく、目標への手段を定め、部下を管理しましょう。管理とは束縛ではありません。リーダーシップを発揮する部下を正しく評価し、より一層活躍できる場をコントロールすることが、リーダーとしての管理です。

ちなみに、あなたが学生時代に苦手に感じていた先生は、どんなタイプだったでしょうか。
課題だけがやけに多かったり、いつも怒っていたり、「先生は絶対!」という偉そうなタイプではありませんでしたか。これはそのまま社会においても当てはめられます。上司として、リーダーとしての禁止行動は、自分がかつて見てきた大人から学んでください。同じようなタイプにならないよう、くれぐれもご注意ください。

人材不足の救世主は「インフォーマルリーダー」かも?

少子高齢化が進む日本では、人手不足が懸念されています。
しかし、ただ単に作業をこなすような人であれば、人数が多くても意味はありません。企業のDX、デジタル化がどんどん進めば、新しい価値創造に対してリーダーシップを発揮する人材が多く必要になるからです。

だからこそ、フォーマルリーダーだけに企業の旗振りを任せていては危険です。役職に縛られず、行動を持ってチームにいい影響を与える人を、育成し、評価し、そしてフォーマルリーダーに任命してより活躍してもらうという流れをつくっていきましょう。

この記事が心に響いたあなたは、リーダーシップについて改めて考えてみませんか?
これからの時代の会社を救うのは、インフォーマルリーダーかもしれません。

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