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組織に次世代リーダーは本当に不足しているのか?

経営者や部門長など何らかの事業を行う組織のリーダーの方から、次の時代を担う次世代リーダー候補が不足しているというお声を聞くことがあります。それも企業規模を問わず。この問題に直面している企業は多いのではないでしょうか。

本当に人材はいないのでしょうか。それとも、ただ見つけられていないだけなのでしょうか。組織のマネジメントそのものが影響していると私は考えます。

今回は「組織に次世代リーダーが不足している問題」について、その理由と解決策について考察します。

人材の採用を見直す?

一番に思いつくのは「採用」がうまくいっていないのではないかということだと思います。自社の将来を担う有望な人材を採用することは、どの企業も常に苦慮していると言っても良いでしょう。当然のことながら、採用は簡単なことではありません。採用のみで解決できれば良いですが、そんなことはあり得ません!

なぜなら、将来を担うであろう人材が採用できたとしても、入社をして配属されてみると企業文化・組織の風土が採用時に伝わっていることと異なっていれば、ミスマッチを起こしてしまい、戦力化する前に退職に至ってしまうでしょう。

もっと言うならば、その組織の文化がそもそも”イケていない”状態だとすれば?せっかく将来を期待して採用し配属しても、その組織の色に染まり切ってしまう可能性も大いにありますよね。

つまり採用だけで考えていてはうまくいかないことは明白です。人材の育成の在り方、組織の在り方を見直していく必要があります。

人材育成の在り方を見直す?

価値観が多様であり「個」が重視される時代とも言われています。ひとりひとりと向き合い、それぞれの人材がどんな思いを持って働いているのかを認識する必要があります。

社会に対する貢献意識が高いのか、会社の目指すことに強く共感しているのか、顧客に喜んでもらえることをやりがいに感じているのか、チームや同僚との協働することそのものに楽しさを感じているのか、家族のために生活のために働いているのか、自分自身のキャリアのために働いているのか。中にはそこまでの意志を持たずになんとなく働いている人もいるでしょう。まずは認識し把握することが大切です。

その会社で働くことの意義をどう考えているのか、個人のキャリア観は多様です。もちろん環境によって変化もあると思いますが、全ての人を一律に同じように育てることは限界が生じると思います。

そもそも時代の変化に合ったリーダー像を経営者をはじめとするマネジメント層が持つことも大切でしょう。言われた通りしっかり働けば成果は右肩上がりという時代ではなくなっており、一概にトップダウンや管理型でうまくいくわけではないからです。(業種業態や市場環境にもよるとは思いますが)

ひとりひとりの志向性や適性、パフォーマンス、成長可能性と向き合いながら、どんな経験を積んでもらうのかを検討しすり合わせを行い実行してもらうことが必要ではないでしょうか。

組織文化の状態を見直す?

リーダーが育たないのは組織に根差してしまった文化が影響しているかもしれません。

  • 挑戦することを歓迎しているかどうか。
  • 挑戦するということは失敗もつきものだが、その失敗に対して寛容な風土かどうか。
  • 部門間、組織間の壁が厚く相互の連携や協力が行われづらい状態ではないか。
  • 過去の成果のみで評価を行い続けた結果、ポジションや仕事を守りに入ってしまう人材が多くなってしまっていないか。
  • 企業理念や行動指針がお題目になってしまい行動に活かされていないなんてことはないか。

これらがマイナスな状態であれば、業績が将来にわたって低迷しそうな危機が目に浮かびます。

しかしながら、深く根差した組織文化を見直して改革をしていくには、大きなエネルギーがかかりそうです。
組織を「大きな象」に例える話があります。
人間が力づくで言う通りに動かすことはどう考えても無理でしょう。でも「象使い」は象を想う方向に動かすことができます。

組織の変革を担うリーダーの役割は力技でコントロールするマネジメントではなく、目的地に向かって導いていく「ガイド」や「ファシリテーター」のような役割を果たすことが求められるのではないでしょうか。

組織を変えていくためにも、こうしたガイド型のリーダー候補を発掘する必要がありそうです。組織を見渡してみて、育ててみても良いかもという人材はいますか?意外とうまくいっているチームは社内にありませんか?
小さくてもキラリと光る部分を見つけられたら、まずはその人やそのチームを中心にしながら、良い変化を徐々に拡げていく方法もあります。

事業推進の状態を見直す?

事業の目的は明確になっているかどうか。事業は会社の目指す方向に向かっているかどうか。そしてその目的が各組織、チーム、個人にまでしっかりと浸透できているかどうか。

そして各メンバーひとりひとりが自分事として目標を認識し、具体的なアクションを起こせているならば、事業はしっかりと前進するはずです。

事業目的が曖昧であったり、その事業自体の社会的価値が低かったり、またはビジネスモデル自体に無理があるような場合は、そこから見直しが必要だと思います。しかしながら、事業の目的や世の中への提供価値が明確であり、ビジネスモデルが破綻していなければ、あとは現場における日常のマネジメントに影響する部分が大きいと思います。

事業の目的、個々人の目標の立て方、その日々のマネジメント方法によっても、ひとりひとりのモチベーションには大きく影響しますし、成長の方向性や速度も変わってきます。

本来の目標管理は現場におけるコミュニケーションツールであり、セルフマネジメントのためのツールだと捉えれば、評価や査定に使うのではなく、事業や部門ミッションを遂行するために活用するべきです。

目標管理の運用は現場のコミュニケーションを重視すべき

現場の部門長やリーダーがしっかりとひとりひとりの仕事ぶりを見たり、頻度高く対話する機会がなければ、潜在的な将来のリーダー候補を見つけることは不可能です。表面上の経歴や資格情報だけで、リーダー適性を測ることは難しいからです。

現場の目標管理は評価のためではなく、人材育成や業務推進に活かすことができているかどうか、改めて見直してみることをおすすめします。

人材を発掘し育てる組織の要件

これまで触れてきた採用、育成、組織、事業と首尾一貫しているかどうかがとても大切です。そのうえで考えたいことがあります。

普通に考えるならば「採用」からスタートして、上記図のサイクルがまわると考えることが多いと思います。次世代のリーダー候補となるような人を採用して育てようというイメージです。

しかしながら「採用・育成・組織・事業推進」がそれぞれ分断されて考えられてはいないでしょうか。

人材を発掘し育成できる組織づくりを目指すならば、事業のミッションに共感する人材の採用という点でも、配属先でのミスマッチを防ぐ意味でも、社内のマネジメントを見直してみる必要がありそうです。

まず最初に着手すべきは、事業の目的を再確認し、ミッションを明確にすることです。そして日々の現場での目標のマネジメントを行います。事業ミッションとつながっているかどうか、個々人に合った適切な難易度の目標設定を行えているかどうか(ひとりひとりがセルフコントロールできているか)を確認してください。

次に組織文化です。
それぞれが目標に向けて行動をできているかどうか。そして組織内でプロセスが共有できているかどうか。プロセスが共有されてはじめて、お互いがどのような仕事をしているのか、どんなことに取り組んでいるのかが認識できるようになります。何をやっているか分からなければ、お互いに刺激を受けることもなければ、賞賛したり労ったり叱咤激励したりすることすらできませんよね!
プロセスが共有されたら、まずは各組織のリーダーから積極的にメンバーのがんばりを応援したり承認していくことをお勧めします。

人材育成は、一律に行う階層別研修のようなものではありません。(基礎的な教育として必要なことは多いですが、ここでは現場のマネジメントを通じて成長を促す人材育成とします)ひとりひとりがどんなことに挑戦したいか、どうなりたいのか、どんなふうに貢献したいのか、なぜそう思うのかといったことが明らかになれば、あとはそこに向かうための方法や道筋を考える支援を行うことが重要です。そして内省を促す対話や、ふりかえりの習慣づくりもとても大切です。
そのうえで適材適所で将来を期待する人材に経験値を積めるポジションを任せることです。

そして採用です。ここまでしっかりできれば、事業推進においてどんな人材が求められるのかも明確になってくると思います。採用時の人材要件です。
事業のミッションをしっかりと打ち出していくこともできるでしょう。共感を得ることで、自社の目指す方向に合った人材を採用することができるようになります。将来のリーダー候補になるような人材も採用できる可能性が高まりますし、その時点で既存の社員にも見込みのある人材が見えてくるのではないでしょうか。

まとめ

採用は簡単ではありませんし、これまで触れて来たとおり、組織の状態によってはミスマッチを起こして早期離職に至ってしまうケースもあります。

そう考えると、現場のマネジメントを変革し、現有戦力の人材の力を高めていくことで業績をUPさせること、それが実現できる組織づくりを行っていくことが優先度が高いでしょう。

今まで隠れていた次世代リーダー候補が社内に存在するかもしれません。人材を発掘するには、意志の力を持っている人材を探すことです。そしてミッションに共感しているかどうか。もし意志の力を持っている人材がいなければ、それは本人が気づいていないという可能性もあります。

意志の力(Will Power)を育み、経路の力(Way Power)を強化する目標マネジメント。そして、やり遂げる自信をつくっていく日々のふりかえりと、プロセスの共有、コミュニケーション。これらを実施していくことで、ひとりひとりのメンバーが事業ミッションの達成と自身の成長を目指して自発的に行動する=自律型人材が生まれます。(これらは心理的資本を高める要素でもあります。)

心理的資本とは?働きがいにつながる「内なるHERO」知っておきたい概要と潮流

私たちが提案する目標マネジメントは、自律型人材をつくると共に、以下のような状態を組織につくることを目指します。

  • 目的(目標)が明確である
  • プロセスが共有されている
  • 組織内に信頼関係がある

これは安定的に好業績な組織の共通点であり必要要件です。

この状態が実現できれば、最終的に採用力も高い会社になっていきます。事業面でも人材面でも好循環が生まれます。ぜひ、こういった組織を目指したいですね!

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

心理的資本の概要/高める方法を資料で詳しく見る!心理的資本とは、人が何か目標達成を目指したり、課題解決を行うために前に進もうと行動を起こすためのポジティブな心のエネルギーであり、原動力となるエンジンです。「心理的資本について詳しく知りたい」方は、以下の項目にご入力のうえ「送信する」ボタンを押してください。
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・心理的資本が求められる背景
・心理的資本の特徴
・構成要素「HERO」の解説/開発手法とは? など

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執筆者プロフィール

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

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  • 小西ちひろ
  • 橋本豊輝
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  • Li Zheng
  • 心理的資本研究員
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  • 舞田美和
  • 岡本映一
  • 雪丸由香

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