先日、ある事業の成功の秘訣を聞きました。有名なフリーペーパーの事業の話です。
ブライトスポットに着目したマーケティング
フリーペーパーはそこに情報を掲載する店舗の広告料が収入源です。
当初、その事業では、地域の店舗であれば、クリーニング屋さんや飲食店など、どんな業態であれ、広告掲載をしてもらえるところを扱っていました。
しかし、広告収入はおもったほど伸びませんでした。ところが、ある地区だけが、業績がどんどん伸びていました。
まさしくブライトスポットです。
なぜこの地区だけが業績が伸びていたかというと、掲載されていた業種が飲食店のみだったそうです。
いかに無料のフリーペーパーといえど、なんでも掲載されているものは特徴がないので、利用する側にとって魅力がつたわりません。
そこで飲食店のお得情報に絞って掲載したところ、業績が伸びたそうです。
あえて得手、不得手を明確にすることで、相手から見て、どう利用すればよいかがわかりやすいので、長所を強く打ち出すことができるのです。
こういった話は、マーケティングの分野ではよく聞きます。
でもこのブライトスポットは、人材マネジメントに置き換えて考えみると、人材の能力を最大化することができる考え方でもあるのです。
強み弱み、得手不得手は表裏一体
あなたが職場の同僚や部下、後輩をどういう評価をしているでしょうか。
例えばAさんの評価が
「すごく積極的で、どんどん新しいことに挑戦する人だ」
「しかし、ち密さに欠けるし、周囲への指示も曖昧だし」
という評価だとしましょう。
Aさんのブライトスポットは「新しいことに挑戦するところ」ということになります。
反対にダークスポットは、「緻密さにかける」ということでしょう。
大抵、人が他人を話題にするとき、ブライトスポットよりダークスポットに注目し、「あの人、もっと緻密だったらいいのにね。」とか「私はあの人のいい加減なところが苦手」とか、挙句の果てに「信頼できない」とまで思いこみ、周囲にダークスポットをいいふらし、人間関係を悪くすることも目にします。
あなたがAさんの育成を担当するとなると、どうしても気になるダークスポットの改善を求めてしまうのではないでしょうか。
でも、このブライトスポットとダークスポットをよく見てください。これは実は行動性向では同じ特徴なんです。
例えば、
強いリーダーシップを発揮する人は独善的と評価される場合があります。
きちんと着実に物事を成し遂げようとする人は、変化に弱いという側面を併せ持っています。
従って、行動性向からくるダークスポットを変えろということは、「あなたの性格そのものを認めていない」ということにもなり、「性格を変えろ」と言われているのにも等しいのです。
あなたがそれを言われる立場なら、そんな理不尽なと思うでしょう。
人材の能力を最大化するブライトスポットマネジメント
人のブライトスポットに着目し、ポジティブな評価をされることで、「自分はやれる」という自己効力感が高まります。
大阪大学経済学部の開本教授によると自己効力感が高まると行動につながるということが最新のモチベーションの研究で明らかになっているそうです。
人材マネジメントの目的は組織生産性の向上です。
決して批判をすることではありません。
思い切ってブライトスポットに着目して、良いところを伸ばすマネジメントに切り替えることが成果に直結します。
でも直してもらわないと業務に差し障るところもあるのも事実。
その場合は、性格を直せというのではなく、行動を修正してもらいましょう。
まずはブライトスポットを認めることで、修正箇所も伝えやすくなるはずです。
効力感を高めるポジティブフィードバックのポイントは下記の記事もご覧ください。