先日、MOMENT2023 という経済産業省が開催したイベントに参加してきました。そこでは世界トップクラスのベンチャーキャピタリストやグローバルで活躍するスタートアップ経営者が登壇し、日本のスタートアップへの期待を聞くことができるカンファレンスでした。
日本の起業家、またこれから起業しようとする人へのメッセージは、ほぼどの登壇者も「リスクを怖がるな」「リスクを取れ」「決してあきらめない」と話していました。
またシリコンバレーでは「失敗は早いうちに」とも。失敗を肯定する風土があるので、たとえうまく行かなくても、それを経験として次へのチャレンジができるのだそうです。
私も起業をしてスタートアップとしての経営の厳しさをシャワーのごとく浴びていますが、これまで続けてこれたこと、そして心理的資本という概念との出会いが当社の事業のドライブになって来ていることなどをふりかえると、「リスクを怖がるな」「決してあきらめない」という言葉は、自分への励ましのように受け取ることができました。
「あきらめない心」は精神論ではなくスキル
このように「あきらめない心」というと、なにやら精神論のように感じます。私も心理的資本という概念に出会うまでは、そう考えていました。
でも「あきらめない心」そのものが心理的資本だと最近は捉えています。
心理的資本とは、「積極的な行動や自律的な目標達成を促す心のエンジン」です。
心理的資本の構成要素であるHope(意志と経路の力)、Efficacy(自信と信頼の力)、Resiliense(乗り越える力)、Optimism(柔軟な楽観力)とは、
どんな困難があっても、自らの目指すところに柔軟な道のりを描き(Hope)、
自分を信じ、自信を持ち(Efficacy)、
リスクに対しても挑むための備えをおこない(Resiliense)、
厳しい出来事があっても前向きな気持ちに転換し、次を見据えて行動する(Optimism)
まさしくこれは「あきらめない心」であり「リスクがあっても挑戦する行動」です。
心理的資本は測ることができ、開発することもできることから、精神論ではなく思考行動の訓練で身に着けることができるのです。
今、イノベーションがおこらない、新しいことにチャレンジする人材が少ないと嘆いている経営者が多いのですが、ぜひ、中核となる人材の心理的資本の開発を行ってほしいものです。
心理的資本は業績にも直接影響を及ぼします。心理的資本が開発されると業績に10%~25%影響するというエビデンスがあります。
心理的資本を開発するガイディング
心理的資本をどうやって開発するのでしょうか。私たちは、心理的資本を開発する介入法としてガイディングという手法を提唱しています。
ガイディングは、対話やコミュニケーションの手法として活用できます。相手の心理状態や状況に応じて、HERO(Hope、Efficacy、Resiliense、Optimismの頭文字)モデルを活かしたフィードバックやティーチングを行うことで、対象者の心理的資本の開発を支援します。
当社の介入実績では、介入を受けた人の平均で、
Hopeが110.4%
Efficacyが114.1%
Resilienseが116.6%
Optimismが112.2%
と向上しています。
それに併せて、チーム状態、行動変容、業績感すべて向上しています。
中核人材の心理的資本を開発しよう
人的資本が企業価値に直接に関わるといわれる時代。精神論で「がんばれ」だけでは、もったいないことになっているかもしれません。すべての人の心理的資本を開発することは業績にも影響します。少なくとも中核となる人材の影響力を考えると、まずは中核となる人材の心理的資本の開発は重要です。
メンタリティーは個人の精神の問題というより、パフォーマンス向上のための施策として考えていただきたいです。