上場企業において人的資本の開示が義務づけられたことや世界的な人材不足による人材獲得競争が起こる中、にわかに「人への投資」や「人的資本」に関心が高まっています。しかしながら、今の流行りの人的資本の理解は、開示のためのサーベイの実施や単に教育研修制度を少し増やすだけに終始しているように見えます。
もとより「組織は人なり」。人的資本、すなわち人を資本として利益を上げるための事業の元手として活かしていく経営の視点が必要です。
今回の心理的資本セミナーでは、長年にわたり経営戦略コンサルタントをされているCDIヒューマンキャピタル主宰/MFA株式会社 代表取締役 石井光太郎さんをゲストにお迎えしました。
石井さんの著書「会社という迷宮~経営者の眠れぬ夜のために~」(ダイヤモンド社2022年発行)には、組織と人との関係について、経営者に課された仕事について書かれています。その鋭い視点で、人的資本についてお話しを伺いました。
登壇者紹介
石井光太郎氏(画面左) CDIヒューマンキャピタル主宰/MFA株式会社 代表取締役
石見一女(画面右) 株式会社Be&Do 代表取締役
セミナーの内容
ほぼシナリオの無いライブ感溢れる本セミナーですが、当日はこのような内容がディスカッションされました。
- テーマ概観 ~人的資本開示の現状
- 経営は人なのか?
- 人的資本は今さら!?
- 計測・指標化のワナ
- 人を大事にするとはどういうことか
- 上司と部下の関係性
- 質疑応答
セミナーを聴いて(Be&Doプランナー小西の視点)
セミナーの中で、このような言及がありました。
「カネは、ただのカネである。経営意思としてリスクを取った事業への投資(工場、技術・知財・・・)するとなった瞬間に、ただのカネが『資本』になる。ヒトも同じ。ヒトの良し悪しが問題ではなく、経営意思としてヒトを何かに投入をするということがあって『人的資本』になる。
したがって、『人的資本』で大事なのはヒトをどう育てるのではなく、経営の意思としてヒトを何にどう使うのかです。
だから、ヒト”に”投資するという表現は違和感があり、ヒト”を”投資するということだし、正しい場所にヒトを投資すれば結果としてヒトは育つ。」
私は、人事戦略は経営戦略と連動していなければならない、連動していることがあるべき姿である理由がこのお話で説明できると感じました。そして経営の意思も大切ですが、人材一人ひとりが、何もしなくても自分は”資本”であるという過信を捨て、”資本”になるために自らを研鑽する必要がありそうです。
それは会社に媚びへつらうことではなく、キャリア自律をして自分のために経験を積み、学び続けることと重なるのではないでしょうか。
石井さんはこのようなことも仰っていました。「会社は学校ではない。人を育てる場ではない。会社で人に投資をして育てるということをもうちょっとよく考えてみる必要がある」
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