コラム

リスキリングの推進がうまくいかない理由は案外と明確なのかもしれません。

「リスキリング」という言葉について、ご存知でしょうか。

リスキリングは、新しい職種や職務に適応するために必要となる新しいスキルや知識を身につけることを意味しています。「学び直し」のように表現されることもありますよね!

ただ、そこかしこで、リスキリングを推進したいけど「うまくいかない!」という話題をうかがいます。
そもそもリスキリングはどういうものなのでしょうか。リスキリングはなぜ必要なのでしょうか。今起こっている課題感の正体は何でしょうか。根本的な解決策はあるのでしょうか。

そんなことを短いコラムですが、書き記しました。よければご一読ください。

リスキリングってそもそも何なんだ?

最近ではChatGPTをはじめとした生成系AI(人工知能)が急速な広がりを見せるなど、技術の進歩の速度は一段と速まっているようにも感じられます。これからの社会の変化を見越した時に、ひとりの個人として、これから必要とされるであろう新しいスキルや知識を身につけておくことは、この時代を生き抜くうえで重要であることは間違いないと思います。

ただ、そうした話だけではなく、企業の視点で見れば「人材不足」が喫緊の課題になりつつあることもリスキリングが注目されている背景と言えそうです。ひとりひとりの従業員が、新たなスキルや知識を身につけることを促す。そのスキルを職務に活かすことでパフォーマンスの最大化を目指すことを推進するというものです。先ほどの例でいえば、ChatGPTなどの生成系AIを「使いこなすスキル」は、これまでの働き方を一変させて生産性を最大化する方法の”ひとつ”になるかもしれません。

個人にとっても、企業の持続的な事業推進にとっても、リスキリングを推し進めることは大きな意味を持ちます。

また、リスキリングに関連して「アップスキリング」という言葉もあるようです。アップスキリングは、現在の職務でのパフォーマンスを向上させるためのスキルや知識を強化することを指します。

リスキリングはなぜ必要なのでしょうか?

よくよく考えてみると、環境の変化に適応して、これまでのやり方を見直し、必要に応じて新たなスキルや知識を身につけていくとは、プロのビジネスパーソンとしては当然のようにやっていてしかるべきのことかもしれません。(厳しい言い方をすれば)

スポーツ選手たち

考えてみてください。例えばあるプロのスポーツ選手がいます。プロスポーツ選手は、そのスポーツで好成績を残すことで評価され、報酬を得ることができているわけです。もし何らかの「ルール変更」があったらどうでしょうか。そのルールの中で好成績を残せるように、戦略や戦術を変える必要がありますし、そのやり方に適応するために新しい技術が必要なら練習をし直さなければなりません。または、新たな「技」が開発され、周囲の選手が新技に取り組むようになれば、その技を使いこなさなければ上位の成績を収められないということだってあるでしょう。

様々な環境の変化は、自分のコントロールできないところで起こるものです。

自発的に常にアップデートを重ねていく人もいますが、多くの人々にとっては「必要に迫られる」ことで初めて、真剣に取り組むことができるものとも考えられます。

では、「自分がやりたいこと」だったらどうでしょうか。

例えば、あなたがお気に入りのゲームがあるとします。新しいバージョンが出たとき、前のバージョンでの知識やテクニックだけでは新しい挑戦をクリアするのが難しくなることがありませんか?そんなとき、新しいルールやテクニックを学んで、ゲームを楽しむために「アップデート」を自ずとしているのではないでしょうか。

リスキリングは、仕事の世界での「アップデート」のようなもの。昔は必要だったスキルや知識が、新しい技術や変わった状況の中で少し古くなってきたと感じたら、新しいものを学ぶことで、自分をアップデートしていく。これによって、新しい仕事や変わった環境でもしっかりと活躍できるようになる、そのような考え方だと思います。

企業におけるリスキリング推進の課題感

実際に起こっている問題としてよく聞くのは、リスキリングに取り組んでもらえないという話です。
一方的に従業員に「リスキリングをしましょう」と言っても、なかなか身を入れて取り組むことができないのではないでしょうか。それはそうです。「自分が差し迫った課題を乗り越えるために必要だと思えるか」「自分がやりたいことのために必要だと思えるか」がなければ、そこに学ぶ動機は皆無に等しくなります。

企業としてリスキリング機会をご用意したとしても、みんなの関心を惹くことや、時間とリソースをすべて用意することや、人によってレベル差や内容差がある中で各々に最適な教材をくまなく用意することなんて難しいと思います。(そもそも会社は学校ではないという前提も書き加えなければなりませんね)

また、そういった機会を提供しても、結果の成否を短期的に評価することも多くの場合は難しいのではないでしょうか。

コンテンツを用意すれば良いわけでもなく、場や機会を用意すればうまくいくわけではありません。
そういった環境やリソースを提供することができるに越したことはありませんが、それだけでは片手落ちにならないでしょうか。

自発的に学ぶ原動力に注目しませんか?

では自発的に学ぶ原動力はどうすれば良いのでしょうか。

私はこれこそが「心理的資本」なのだと思います。行動につながる原動力であり、そして現状の自分を適切に認識し、ものごとをしなやかな視点で捉えられる思考力でもあります。

自分がどうしたいのか。どう在りたいのかを自覚する。
このまま何も学ばないままだと、どのようなリスクがあるのかを適切に認識する。
今取り組んでいる領域をさらにアップデートしていくのか、それとも新たな領域に踏み出して経験値を積むのか。
将来を現実的かつ肯定的に見据えるならば、様々な機会を得るために準備しておけることは何なのかを検討する。

そんなことを丁寧に個別に対話を重ねながら”ガイディング“することが、自発的にリスキリングのために行動を起こす動機付けを促すように思います。

もし企業として人材不足を補うような、潜在的なパフォーマンス向上を目指すならば、まず注目すべきはひとりひとりの前向きな原動力そのものではないでしょうか。

「リスキリングの機会を与える≒人に投資する」は間違っているようにさえ思います。
人を投資する本来の”人的資本経営”を考えれば「その人の強みを最大化するためのアップデートを支援する≒人的資本の原資を強化し、人を投資する準備をする」ことがリスキリングの目指すところなのでは?

PsyCap Master認定講座は、そんなガイディングを学べる講座です。もし、行動の原動力や心のしなやかさをつくっていくためのスキルやツールとしての思考法を学びたいという自発的な想いにお気づきになられたら!ぜひ、受講をご検討くださいね!

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

心理的資本の概要/高める方法を資料で詳しく見る!心理的資本とは、人が何か目標達成を目指したり、課題解決を行うために前に進もうと行動を起こすためのポジティブな心のエネルギーであり、原動力となるエンジンです。「心理的資本について詳しく知りたい」方は、以下の項目にご入力のうえ「送信する」ボタンを押してください。
◆資料内容抜粋 (全16ページ)
・心理的資本が求められる背景
・心理的資本の特徴
・構成要素「HERO」の解説/開発手法とは? など

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執筆者プロフィール

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

研究員リスト

  • 赤澤智貴
  • 小西ちひろ
  • 橋本豊輝
  • 石見 一女
  • Li Zheng
  • 心理的資本研究員
  • 下山美紀
  • 舞田美和
  • 岡本映一
  • 雪丸由香

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