コラム

女性管理職が”自分らしいリーダーシップ”を発揮できるようになるまでの道のりは険しい

3月8日は国際女性デーでしたね。本コラムでは、”女性管理職”に焦点を当てて、考えていきたいと思います。

正解の見えづらい環境の中、多種多様な人材で構成されたチームで、成果を出すことに挑む管理職には、オーセンティックリーダーシップに代表されるような”自分らしいリーダーシップ”の発揮が求められています。これは男女限らずです。当社は、企業の中核人材とも言える管理職やミドルマネージャーの能力発揮をご支援させていただいておりますが、そこで目の当たりにする管理職やミドルマネージャーのお悩みは性別に関わらず共通のものも多いです。

個人的にも、この時代において”女性○○”と冠につけることは、やや違和感がありますし、区別はしたくないと考えています。
ただ、現実的には女性管理職特有の苦悩が課題を複雑にしているケースも多くあり、その中で何とか壁を乗り越えようと奮闘されている姿を目にします。

女性管理職の苦悩とは


ロールモデルの不在や仲間の少なさ

社内に女性管理職の前例や先輩の存在が乏しかったり、前例があったとしても所謂男社会で生き抜ける力強い牽引型の女性管理職が多かったりする場合、なかなか相談が出来ない状況に陥ることはめずらしくありません。また、自分もぐいぐい引っ張ることができるような管理職になる必要があるのはと考えてしまうことにも繋がります。研修等で、一旦は「やるぞ!」とモチベーションが上がっても、いざ現場に戻ると変われない・変えられない理由が押し寄せ、それを相談することも出来ずに孤独を感じ、打ちのめされてしまうケースもあるようです。

社内で本音や弱みを見せることへの躊躇

ミドルマネージャ―は性別にかかわらず、社内での評価や評判が下がるのではと懸念して、本音や弱みを見せるどころか、業務内容ではない相談をしづらいという現状があります。特に、女性管理職は「女性枠で管理職になった」というような意地悪な視線に負けないように見えない鎧を身に着ている方もいます。自分が弱みを見せることで女性管理職全体の評価を落としてしまうのではとの不安もあるようです。

家庭との両立

男性の家事参加が進んでいますが、まだまだ女性が家庭内で役割を担う比率が高い中、女性管理職の方にとって家庭との両立は切り離せないテーマであり、悩みも多いところです。一方で、家庭のことも含めたキャリアや今後のビジョンについて、ふりかえったり、明確にしたり、正直に語ったりする機会はなく、もやもやを抱えたままになっているケースも見られます。

以上のような苦悩が、女性管理職が自分らしいリーダーシップを身に着け発揮するまでの道のりに、時に壁として立ちふさがっています。

現在の女性管理職の姿が若手社員の自信を削ぐ!?

先日とある企業様で次のようなお話を伺いました。

「先日、期待していた入社5~6年目くらいの若手社員(女性)が退職してしまったんです。後から分かったんですけど、『社内で今活躍している女性管理職みたいな働き方を自分はできない。だから居ちゃいけないと思う。』と退職した子が後輩に話していたみたいなんです。」

これは由々しき事態です。今、社内で先陣を切って活躍している女性管理職の姿を見て、自信を削がれてしまう若手社員がいるというのです。(男女かかわらず管理職になりたいという若手社員が少なくなっている現象も頷けます。)社外広報用の所謂”憧れ”の”輝く”ロールモデルではなく、自然体でチームをリードしているようなロールモデルを作ることは、「いつか出てくるだろう」と楽観的に待つのではなく、意図的に仕掛けて作っていくことが喫緊の課題となっています。

また、その人らしくない鎧を着て、肩に力が入ったリーダーシップをとる管理職には、メンバーは着いてこれません。なぜならば「なんか一人で頑張っちゃってるな~」とメンバーから当事者意識が抜けてしまったり、弱みを見せないことで「助けなくても大丈夫だろう」と判断されてしまったり、「あの人と自分では能力や考え方が違うから」と心の距離を置かれていまったりということが起こり得るからです。

意外と見逃されている管理職着任後の支援

女性社員対象のキャリア研修や、女性管理職候補の外部セミナーへの派遣、現・女性管理職との座談会など各企業においても、女性管理職を増やす取組みは広がってきています。勿論これらはとても重要な取り組みですが、本当に苦労をするのは管理職になった後です。意外にも着任後のフォローはかなり手薄となっている印象を受けます。

当社の提供する中核人材の能力発揮を促進する個別伴走型プログラム CG1(シージーワン)では、女性管理職の方も多く受講されており、プログラムが終了する6ヶ月後には自信を持って自分らしいリーダーシップの発揮され始めています。また、その方に自信が生まれた結果、サーベイによる効果測定では「チームの状態」にも好影響が出ていることが確認できています。どのような変化がどのようなプロセスで生まれたのか、ご関心のある方は下記リンクからCG1コーディネーターの視点で書いたコラムをご覧ください。

【明日のHERO  – Vol.3】優秀なのに、なぜか自信が持てない管理職

【明日のHERO  – Vol.1】「出世なんかしたくなかった」Yさんが激変したBefore-After

見えている姿と心の内側は違うかもしれない

ここまで本コラムを読んでいただき、このように思われた方はいらっしゃいませんでしょうか?

「うちの会社の女性管理職は、ほんと強いから。自信が無い?いやいや自信満々だよ」
もしかしたら、本当は根底には自信がないから強がって見せているのかもしれません。どれほど優秀な方でも、管理職という新しいミッションの元では、自信が下がって当然なのです。また少し違う視点では、厳しいようですが、今その方が持っている自信はメンバーを率いる管理職として正しい方向性の自信でしょうか?優秀故に「なんでできないの?」という想いを部下に対して抱き、その苛立ちでマネジメントが上手くいかないケースもお聞きします。

本質的に女性活躍を推進し、企業として競争力を維持・向上させるために、まずは今がんばっている女性管理職の方がブレイクスルーできるような機会を提供することが必要かもしれません。

ここまで、女性、女性と述べてきましたが、9割方男性管理職にも当てはまるお話です・・・。女性管理職の方は勿論、知識もスキルもあって管理職になった方々が、持ち得る能力を十二分に発揮していただけるようにCG1を通して応援していきたいと思います。

小西ちひろ

小西ちひろ

株式会社Be&Doのプランナー。原料系商社にて人事(採用・教育研修)を6年間経験後、Be&Doにjoin。首都圏に常駐。お客さまとトコトン伴走するご支援を使命としている。プライベートでは、昼間からお酒とジャンクフードを片手にバスケの試合を見る時間と某男性アイドルグループの推し活をする時間が至福。日本心理的資本協会認定PsyCap Master®、国家資格キャリアコンサルタント。

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・心理的資本が求められる背景
・心理的資本の特徴
・構成要素「HERO」の解説/開発手法とは? など

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執筆者プロフィール

小西ちひろ

小西ちひろ

株式会社Be&Doのプランナー。原料系商社にて人事(採用・教育研修)を6年間経験後、Be&Doにjoin。首都圏に常駐。お客さまとトコトン伴走するご支援を使命としている。プライベートでは、昼間からお酒とジャンクフードを片手にバスケの試合を見る時間と某男性アイドルグループの推し活をする時間が至福。日本心理的資本協会認定PsyCap Master®、国家資格キャリアコンサルタント。

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