コラム

エンゲージメント調査が職場のエンゲージメントを下げる!?有効策を考える

社員の働きがいを高めるべく「エンゲージメント」に注目する企業が増えています。ただ残念なのは、「エンゲージメント調査が職場のエンゲージメントを下げている」という場合があるかも知れないという事実です。筆者がクライアント様と情報交換する中で、少なからず耳にするのです。本コラムでは、その理由を述べるとともに、どうすればエンゲージメントを高められるのか、有効な策について考えます。エンゲージメント向上について考えるきっかけになれば嬉しく思います。

スコア向上へのプレッシャーがネガティブな影響を生む?

エンゲージメント調査が浸透した当初は、人事制度の施策検討のために調査結果を参考にすることが主たる目的だったように思います。事業部へ結果をフィードバックしないケースもありました。しかしここ数年は事業部へ結果のフィードバックを行い、さらにスコア向上まで促す企業が増えている印象です。これは非常に良い流れです。制度がいかに充実していても、現場のマネジメントに問題があれば、十分にエンゲージメントが高まらないからです。

ただ、この事業部へのエンゲージメントスコア向上への期待が思わぬ落とし穴となり、返って職場のエンゲージメントを下げているのではないか?というクライアント様の実感に基づく仮説をお聞きすることがあるのです。その理由は、「スコア向上へのプレッシャー」が、推進者であるリーダーにネガティブな影響を与え、それがチームに伝播してしまい、結果として部門のエンゲージメントを逆に下げてしまうのではないか?というものです。具体的には、以下のような例です。(ある企業様のヒアリングを基にしています。)

~ある部門のリーダーAさんの例~

人事部から、「あなたの部門はエンゲージメントスコアが低いです」とフィードバックを受け、1年後までに改善(向上)するアクションプランの提出を指示をされた。

結果次第で、自身の評価ダウンに繋がる。リーダーはプレッシャーを感じながらも、アクションプランを立てて、動いてみた。

結局、1年後のエンゲージメントスコアは改善されなかった。

リーダーは、「もう打ち手がわからない」と落ち込むばかりか、人事部に対して「どうすりゃいいんだよ?」と不満すら抱くようになってしまった。

エンゲージメントは、ポジティブな影響が作用して高まるものであるはず。スコア向上への期待が結果としてプレッシャーや強制を生み、ネガティブに作用していたなら本末転倒であり、非常に残念なことです。

ちなみに、このケースはリーダーが最初に取り組む姿勢を見せている分、まだ希望があるかも知れません。別の例では、リーダーが「お前らエンゲージメント上げろよ!」と自分より下の階層のリーダー達にプレッシャーをかけている。そんなケースも耳にします。

スコアが高い部門は、リーダーを先頭に行動のサイクルが回っている

もちろん、エンゲージメントスコア向上への期待が、必ずしも部門のエンゲージメントを下げる訳ではないはず。エンゲージメントのスコアが高まったという部門は、どのような特徴や行動が見られるのでしょうか?そこを分析するとヒントを得られそうです。

あるクライアント様がエンゲージメントが高まった部門のリーダーにヒアリングをしたところ、次のようなことが明らかになりました。リーダーは現場のメンバーの声を自ら積極的に吸い上げ、小さな改善行動にチームで取り組まれたそうです。リーダー自身も他部署に働きかけて改善を進めました。試行錯誤の中で小さな成功体験を重ね、やがてチームの一人ひとりが「自分たちで変革を起こせるんだ」という自信を得ることができた。このようにリーダーは話をされたそうです。

リーダーを先頭に、メンバーが行動を起こし続けたことがスコア向上の大きな要因でした。さらに、行動の中で前向きな自信を得ていることが重要なポイントです。自信は行動を継続する上での原動力となるからです。

スコア向上をリーダー任せにしない

スコアが高い部門の特徴を述べましたが、このケースはやはり稀ではないでしょうか?多くのリーダーは多様な現場課題に直面する中、エンゲージメントを高める試行錯誤を続けるのはハードルが高いことが考えられます。そのため、エンゲージメントサーベイ実施を主導する人事部や経営企画部が、スコア向上を現場任せにするのではなく、積極的にフォローアップすることが必要です。特に、エンゲージメントスコアへの影響が高いリーダーへのフォローは欠かせません。

一律の研修では、行動の継続にハードルがある

リーダーが参加する、チームのエンゲージメント向上に繋がるテーマの研修を実施する企業は増えています。リーダー同士の職場の取り組みをシェアするワークショップや、チームビルディングの方法を学ぶ研修、1on1の方法を学ぶ研修などがその例です。

これらの研修は有効な策です。受講によって知識や気付きを得ることができます。しかし、行動を継続するという意味では不十分かもしれません。なぜなら、研修の内容を聞いて、「良い話だった。実践してみよう!」とモチベーションが高まっても、職場に戻ると躓くことが往々にしてあるからです。そこで心が折れてしまうと、行動が止まるのです。

得た知識をスキルとして血肉化するには、実際に行動し、自信をつけていく他ありません。

個別課題に向き合う伴走支援が効果的である理由

既存の研修に加え、個に寄り添った支援が必要と考えます。ただし個別支援は社内のリソースだけでは限界があります。そこで、外部人材との対話サービス(コーチングなど)を利用し、一定期間の継続支援を行うことが効果的です。

外部人材との対話は、社内の常識の枠にとらわれず、率直なフィードバックを得ることができる上、利害関係がないため、本音で相談しやすいという利点があります。さらに、個別支援だからこそ自分自身の実際の課題に向き合うことができます。研修以上に自分事化しやすい効果があります。

当社の管理職を対象とした伴走支援サービス「CG1」では、現場課題、特にピープルマネジメントに関わる課題に向き合いながら、リーダーの行動を促し、その過程で本人の自信を高める支援を6ヵ月間行います。結果として、職場の活性化とエンゲージメントの向上を図ります。面談者であるガイドは、行動を促し、自信を高める手法(=ガイディングといいます)を身につけたプロフェッショナルです。ぜひご注目ください。

エンゲージメント調査のスコアをどう高めるのか?本コラムが、その方法を考えるきっかけになれば嬉しく思います。

赤澤智貴

赤澤智貴

心理的資本コンサルタント。株式会社Be&Doのプランナー。人材サービス会社での企画営業を経て、2019年8月より現職。社員が楽しく前向きに挑戦し、成果が出る組織作りの実現を目指している。素材メーカーのマネジメント人材育成、組織開発、小売業の人材育成強化などを担当。日本心理的資本協会認定PsyCap Master®。健康経営アドバイザー。アンガーマネジメントファシリテーター。趣味は野球。二児の父。

心理的資本の概要/高める方法を資料で詳しく見る!心理的資本とは、人が何か目標達成を目指したり、課題解決を行うために前に進もうと行動を起こすためのポジティブな心のエネルギーであり、原動力となるエンジンです。「心理的資本について詳しく知りたい」方は、以下の項目にご入力のうえ「送信する」ボタンを押してください。
◆資料内容抜粋 (全16ページ)
・心理的資本が求められる背景
・心理的資本の特徴
・構成要素「HERO」の解説/開発手法とは? など

関連記事

執筆者プロフィール

赤澤智貴

赤澤智貴

心理的資本コンサルタント。株式会社Be&Doのプランナー。人材サービス会社での企画営業を経て、2019年8月より現職。社員が楽しく前向きに挑戦し、成果が出る組織作りの実現を目指している。素材メーカーのマネジメント人材育成、組織開発、小売業の人材育成強化などを担当。日本心理的資本協会認定PsyCap Master®。健康経営アドバイザー。アンガーマネジメントファシリテーター。趣味は野球。二児の父。

研究員リスト

  • 赤澤智貴
  • 小西ちひろ
  • 橋本豊輝
  • 石見 一女
  • Li Zheng
  • 心理的資本研究員
  • 下山美紀
  • 舞田美和
  • 岡本映一
  • 雪丸由香

最近の記事

  1. 職場を嫌な場にしないための不満との向き合い方

  2. 1on1ミーティングという対話機会を活かさない手はない

  3. きたるべき(2025年)G.Wに備えて

TOP