コラム

反省しすぎ!?自分を動機づける「今年の振り返り方」とは

新年を迎え、新たな目標を考えようとするとき、「今年は○○できなかった。だから、来年は○○できるようにしたい。」といったように、”反省”に焦点を当てて振り返ってはいませんか?

ネガティブに向き合うことは必要です。しかし、反省一辺倒では返って落ち込んでしまい、自身を動機付ける上では逆効果となってしまうかも知れません。実は振り返り方の工夫が次第で、うまく自分を動機付けすることができると筆者は考えます。

本コラムでは、来年の目標を設定する際に役立つ「今年の振り返り方」をご紹介します。ご紹介する方法は心理的資本を高める方法「ガイディング」の考え方を取り入れています。

このアプローチは通常の目標設定や振り返りにも適応できます。ぜひ最後までご覧いただき、目標達成のヒントとしてご活用いただけると嬉しいです。

なぜ反省しすぎは良くないのか?

なぜ反省し過ぎは良くないのか。その理由を「回避目標」と「接近目標」という考え方からお伝えします。回避目標とは、「〜しない」のような、失敗回避を目指す目標設定をいいます。ダイエットのための「デザートにケーキは食べない」は回避目標の表現です。一方の接近目標とは、「~する」のような、実現したいことを目標とする表現です。「デザートにナッツを食べる」は接近目標です。

回避目標は、その行為ができたとしても、達成感を得られず、欲求不満に陥りやすくなります。一方で接近目標は、その行為が達成できた場合に、自己統制感(自分でコントロールできている感覚)が得られるだけではなく、目標に前進できた感覚や達成感を得ることができます。つまり、より自身を動機付けられるのは接近目標です。

「今年は○○できなかった。」と意識を強く持ってしまうと、「来年こそは今年のようにしない」と回避目標としての意識を持ってしまうのでは?と筆者は感じます。

かといって、接近目標になるよう目標の表現を変えるだけでは、自分を動機付けできるかというと不十分ではないでしょうか。今年をふりかえったとき、心の底から前向きな気持ちを持ててこそ、自信を持って接近目標を立てることができると思います。

【提案】今年の振り返り方を工夫しよう!

ここからは、「今年は○○できなかった。」という事実に対して、もう一歩踏み込んで前を向くための具体的な方法を提案します。

良い点、進んだ点を意図的に探す

本当に何もかも前に進んでないかというと、実際はそうでもないことのほうが多いものです。良い点を見つけようという意識で振り返ると、見えてなかったポジティブな要素(輝く点=ブライトスポット)が見つかります。10のうち4は進んだと思い来年を迎えるのか、一つも進まなったと0から始めるのか。前者のほうが自分を動機付けられるはずです。

コントロールできることは何か考える

できなかったことに対して、それは自分の行動によってコントロールできる事象なのか?あるいはコントロールできない外的な要素やアンラッキーがあったのか、客観的にふりかえり、線引きをします。さらに、コントロールできることに対しては行動目標を立てます。コントロールできないことは引きずる必要はないと考え、思い切って忘れるように努力します。

できなかったことを意味づけする

良い点に目を向け、コントロールできたことを振り返った結果、それでもやはり自分はできなかったと思うネガティブ要素も見えてくると思います。その要素に対して、前向きな視点を持って意味づけ(リフレーミング)しましょう。物事は捉え方次第。例え失敗でも、失敗してしまったというより、課題が見つかってラッキーと捉え直すことができるかも知れません。

目的(Wil)と手段(Way)を再考する

俯瞰的に広い視野を持って現状を見てみると、その今年達成できなかった目標は、そもそもあなたが達成したい目的に向かうための手段(経路)の一つであると認識できるかも知れません。あなたはなぜその目標を立てたのか、目的に立ち返ってみましょう。そのように考えると、実は全体を見たときにほかの経路から目的に向かって前進できていると認識できる可能性があります。

あるいは、来年の目標として取り組もうとしているその経路は、目的達成において本当に継続すべきなのか、一度検討しても良いかも知れません。場合によってはそもそもの目的自体を再考しても良いかも知れません。なお、経路や目的の再考になっても落ち込む必要はありません。「目標を達成できなかったことで、気づきを得た。むしろ再考する機会を得られてラッキー!」と前向きに捉えましょう。

自分のリソース(資産)を頼る

ここまでは”自分自身”で振り返る方法を述べましたが、それだけでは不十分かも知れません。あなたの”周囲の人”に目を向け、今年の振り返りについて話したり、聞き合ったりしてみることは非常に有効です。人との繋がりは、あなたが目標達成を目指す上での自身の資産(リソース)とも言えます。自分から資産を活かし、頼るためのアクションを起こしましょう。尊敬や信頼しているあの先輩。気兼ねなくなんでも話せる家族や友人。いつも刺激をもらっている同僚。一緒に学ぶコミュニティのメンバー。色々な方を思い浮かべてみてください。

自分ではない他者だからこそ、客観的且つ自分が持っていない視点からコメントをもらうことができます。励ましてくれたり、自分では気づかなかったポジティブな面に気づかしてくれたりします。他者から承認してもらうことは、行動を起こすための大きな自信(原動力)になります。

Concept of Diversity, Inclusion and Equality, top view

まとめ

いかがでしょうか?今年取り組んだことを前向きに捉える振り返りができれば、「今年は○○できた。来年は、さらに○○のチャレンジをしよう。」という接近目標を設定し、行動を起こすことができるはず。このような振り返り方を習慣的に実践できれば、一過性の動機付けではなく、自身のスキル・能力として「心理的資本(目標に向かうポジティブな心理的エネルギー)」を高めていくことができます。

厳しい言い方かも知れませんが、「今年は○○できなかった。」といえば謙虚に見えるし、目標が明確になったような気がしやすいのは確かです。ですが、目標達成に前向きなマインドは不可欠です。ぜひご自身のマインドをうまく高める努力や工夫を実践していただければと思います。本コラムを目標達成のヒントとしてご活用いただけると嬉しいです。

赤澤智貴

赤澤智貴

心理的資本コンサルタント。株式会社Be&Doのプランナー。人材サービス会社での企画営業を経て、2019年8月より現職。社員が楽しく前向きに挑戦し、成果が出る組織作りの実現を目指している。素材メーカーのマネジメント人材育成、組織開発、小売業の人材育成強化などを担当。日本心理的資本協会認定PsyCap Master®。健康経営アドバイザー。アンガーマネジメントファシリテーター。趣味は野球。二児の父。

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・心理的資本の特徴
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執筆者プロフィール

赤澤智貴

赤澤智貴

心理的資本コンサルタント。株式会社Be&Doのプランナー。人材サービス会社での企画営業を経て、2019年8月より現職。社員が楽しく前向きに挑戦し、成果が出る組織作りの実現を目指している。素材メーカーのマネジメント人材育成、組織開発、小売業の人材育成強化などを担当。日本心理的資本協会認定PsyCap Master®。健康経営アドバイザー。アンガーマネジメントファシリテーター。趣味は野球。二児の父。

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