コラム

“35歳”で能力開発は限界?!~意欲と努力の重要性~

ひところ、IT業界では35歳定年などといわれておりました。要するに35歳以上になると新しい技術についていけず、能力開発として限界がくるというのです。

IT業界だけに限らず、「35歳転職限界説」「35歳の壁」と言われるように35歳からの転職は難しくなると言われています。体力の減少、能力や記憶といったところでの低下も要因となっているようです。

キャリアにおける強みはゴールとは異なる

先日、IT会社の経営者に‟IT業界35歳定年”について尋ねました。
経営者の回答は「年齢は関係なく、成長意欲とスキルアップの努力ができるかだと思います。」と。
確かにIT業界だけに限らず、どんな仕事においても40歳ぐらいになると自分なりの仕事の進め方がパターン化されていってしまいます。新しいスキルに挑戦するより、これまで培ったスキルや手法で判断。そして、実行しようとします。

成功のパターンを持っていることは、キャリアの強みだし、周囲から信頼や安心を得られる素晴らしい武器です。
一方で、それができたからと言ってゴールではないと思います。

その武器をいっそう磨き、高める努力。また、まったく新しい武器を身に着ける意欲や努力がないと、すぐに錆びてしまいます。

雇用問題に詳しい常見陽平氏(千葉商科大学専任講師)の2016年アンケート。

「クビになってほしい40代の特徴」(複数回答/600人中)
1位 現在の役職、給与に能力が見合っていない(547人)
2位 部下を守らず、上司にばかり媚びへつらう(495人)
3位 何でも自分ひとりの手柄にしようとする(462人)
4位 ちょっとした遅刻や欠勤を繰り返したりとスケジュール管理がルーズ(435人)
5位 部下に対して強く当たったり、パワハラ・セクハラ的(380人)
(計600人にインターネットでアンケート 千葉商科大学専任講師 常見陽平氏)

10位には 自分の経験や知識を絶対視し、部下の意見に耳を貸さない(241人)
また、11位「これ以上の出世はない」とあきらめていて、言われた以上の仕事をしない (210人)がランクインしています。
なかなか衝撃的な内容ですが、気が付けば自分もなりかねません。

考え方のスイッチをいれることの重要性

ずっと成長意欲を持ち続け、新しいスタイルや考え方を柔軟に取り入れていくにはどうすればよいのでしょうか。

自分自身に対して「これでできた」「これで満足」と思わず、達成できたら次の目標を設けて真摯に挑み続けること、これが重要です。
一方で、自分は未完であることを思いつめるとメンタルヘルスの不調にもなりかねません。昨今、個人に課されている目標が高くある場合も多くなっています。

少しのことでも「できた」ことに自信を持ち、次の目標を設定。そしてこれが「できた」ことを喜ぶ。その際に周囲の人が称えてくれるともっとやる気がでるはずです。
自分は未完であるということは、人間誰しもが完成などしないと思って、気軽に前向きに取り組むことです。批判なども真摯に受け止めて成長の肥しにするように考え方のスイッチをいれることが大事なのです。

本来の目標管理とは

成果評価の罪として、目標管理では‟できることしか目標にあげてこない”といわれています。

本来の目標管理とはモチベーションをあげるための仕組みです。制度や仕組み化するとこのような問題は常に生じます。もっとシンプルにやれることをやり、共有しあう環境。まずはこの環境こそが大事だと思います。

石見 一女

石見 一女

Be&Do代表取締役/組織・人材活性化コンサルティング会社の共同経営を経て、人と組織の活性化研究会(APO研)を設立運営。「個人と組織のイキイキ」をライフワークとし、働く人のキャリアと組織活性化について研究活動を継続。「なぜあの人は『イキイキ』としているのか」第1章30歳はきちんと落ち込め執筆、プレジデント社,2006年。

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執筆者プロフィール

石見 一女

石見 一女

Be&Do代表取締役/組織・人材活性化コンサルティング会社の共同経営を経て、人と組織の活性化研究会(APO研)を設立運営。「個人と組織のイキイキ」をライフワークとし、働く人のキャリアと組織活性化について研究活動を継続。「なぜあの人は『イキイキ』としているのか」第1章30歳はきちんと落ち込め執筆、プレジデント社,2006年。

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