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私のマネジメントの失敗例
はじめてマネジメント職に就いた時、戸惑いませんでしたか?
私は、大いに戸惑いました。
私は25歳で起業し、経営も組織も全くわからないまま、28歳ぐらいで社員が10名になり、マネジメントの壁にぶちあたりました。
私のように起業という特殊なケースだと社員数5人ぐらいまでは、気心の知れた仲間どおしなので、「マネジメント」ということを意識せずに、「目指すものの共有」「励ましあい」「助け合い」が自然にできていました。
ところが、人が増えてくると、気心が知れた仲間以外も加わってきたことで、意思の疎通の難しさに直面しました。
例えばこんなことが勃発していました。
・目指すもの=達成すべき目標を話しても、やらされ感で受けてしまう人がいる
・指示をしないと動かない
・指示をしても動かない(動けない)
・業務遂行の能力が不足している
・不平不満を他の社員に愚痴る
・愚痴をきっかけに、気が付けばグループ化して険悪な状態
当時は特にフラットな関係から気が付けば、小さいけれどヒエラルキーができ始めていて、自分自身が責任あるリーダーとしての自覚やマネジメントとは何をするのか、よくわかっていなかったことが原因だったと思います。
マネジメントで学ぶべきこととは
もちろん、戸惑ったので、マネジメントに関する本を読みました。その当時に私が読んだマネジメントの本は、P.F.ドラッカー氏の「マネジメント」。これは今でも私のバイブルでもあります。
ドラッカーはマネージャーが果たすべき役割を実践するには、「人的資源を最大限に活かす」ことこそ、果たすべき役割の遂行には欠かせないと指摘しています。
従って、その役割を果たすために、マネージャーの仕事は以下の5つとしています。
①目標を設定する
②組織する
③動機付けとコミュニケーションをはかる
④評価測定する
⑤人材を開発する
当時の私は、①目標を設定する ②組織する は理解できましたが、③動機付けとコミュニケーションをはかる ④評価測定する ⑤人材を開発する は、書かれていることは理解できましたが、実際に自分がどうやっていけばいいのか、戸惑いました。
①目標を設定する ②組織する は何とか形を整えたものの、それを実現する動機付けや人材の開発について、思考錯誤することばかりで、結果的に目標の管理と組織化という管理が優先するマネジメントになっていました。管理はある意味簡単です。できていないことのフィードバックはやりやすいし、進捗を俯瞰している自分はどこか立派な人になったような錯覚があったのかもしれません。その結果、私のマネジメントの失敗につながったような気がします。
しかし、マネージャーの役割が「人的資源を最大限に活かし、成果を出す」ことであれば、管理だけでなく、動機付けや自発的な行動を促していかないと人的資源の活用にはいたりません。マネジメントでもっとも学ばねばならないことでありながら、体系的に学びにくいのが動機付けや人材育成ではないでしょうか。
心理的資本の概念を動機付けや人材育成に活かす
部下の動機付けや自発的な行動促進を科学的におこなう方法はあるのでしょうか。考え方や手法を教える本や講座が数多くありますが、今、経営学の最新の組織行動論で注目されている「心理的資本」がわかりやすく、実践においても使いやすい概念になっています。
心理的資本とは「やりとげる自信・自律的な目標達成を促す心のエネルギー源」のことです。
詳しくは以下のブログをご覧ください。
心理的資本が豊かになると、自信を持ち、困難にもめげず、イキイキと楽しみながら目標に向かって行動する人になります。心理的資本は測ることができ、また開発することもできることから、科学的な人材開発が可能です。
当社では、心理的資本を高めるコミュニケーション手法を「ガイディング」として体系化し、マネジメントサイクルでの活用、ふりかえりの方法、フィードバックの仕方、目標の設定と行動促進の仕方などに活用いただくためのサービスを提供しています。マネジメントで失敗していた頃に心理的資本を知っていれば、部下の動機付けやフィードバックの仕方など、もっとできたのではないかと思ってしまいます。
ガイディングを応用したフィードバックの方法の例として、
目標や進むべき方向、その方法が曖昧な人には「Hope」のアプローチ
自信が持てない人は「Efficacy」のアプローチ
挑戦行動に抵抗がある人には「Resilience」のアプローチ
ネガティブな体験や思考に囚われている人には「Optimism」のアプローチ
これらを学び、実践できれば、人を活かすマネジメントができるはずです。
マネージャーは「人間力」が問われる=セルフガイディング力
マネージャーは「人的資源を最大限に活かし、成果を出す」には、何よりも部下や周囲の人に信頼、信用される人でなければなりません。
「あの山に登ろう」と指をさしても、誰もついてきてくれなかったり、ついてきてもぐずぐずしていては達成など難しいです。マネージャーの人としての魅力が求められます。
心理的資本が豊かなリーダーとは
【Hope 意思と経路の力】
ありたい姿やめざす目標があり、それに向けた達成までの道のりや計画を柔軟に描くことができ、ゴールの到達に情熱を持っている。
【Efficacy 自信と信頼の力】
自己肯定感とともに揺るがない自信を持ち、自身も様々な人に適切なフィードバックを行いながらメンバーと協調していくことができる。
【Resilience 乗り越える力】
過去の経験や落ち込みなどを今の資産として捉えて、その資産を活かしながら挑戦をし続ける。
【Optimism 柔軟な楽観力 】
たとえうまく行っていないことであっても、自らの気持ちを切り替え、常に前を向いておおらかに進んでいく。
マネージャーがこのような人材であれば、多くの人が信頼してついてきてくれるでしょう。マネージャー自らのセルフガイディングはマネージャーとして自らを磨き上げるために必要なスキルだと思います。
時々、マネージャーになるには鎧や仮面をつけたほうがいいという話をする人がいます。確かにこれまでメンバーだった人が、マネジメントする側になったとき、これまでの自分と変えなければならない点もあります。いっそ仮面をつけてしまい、違う自分を演じるほうが楽かもしれません。
でも、人はそんなに簡単に騙されないものです。仮面をつけるより、心理的資本を豊かにし、人としての魅力を高めるほうが意味があると思います。
あなたはマネージャーとして適性がありますか
ドラッカーは真摯さこそがマネジャーに必要だと考えました。そして真摯さの欠如の定義として、マネージャーに任命してはならない人物像について、下記のように記しています。
「マネージャーに任命してはいけない人」を見て、自分はどうか、考えてみてください。
真摯さがないマネージャーの下では人は育たない
①強みよりも弱みに目をむける者をマネージャーに任命してはならない。できないことに気づいても、できることに目がいかないものは、やがて組織の精神を低下させる
②何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者をマネージャーに任命してはならない。仕事よりも人を重視することは一種の堕落であり、やがては組織全体を堕落させる
③真摯さよりも、頭のよさを重視する者をマネージャーに任命してはならない。そのような者は人として未熟であって、しかもその未熟さは通常なおらない
④部下に脅威を感じるものをマネージャーに任命してはならない。そのような者は人間として弱い
⑤自らの仕事に高い基準を設定しない者もマネージャーに任命してはならない。そのような者をマネージャーにすることは、やがてマネジメントと仕事に対する侮りを生む”
マネージャーを支援するCG1
当社のサービスで、中核人材のパフォーマンス発揮を支援する個別伴走型トレーニング「CG1」があります。心理的資本を高めるガイディングのスキルを持つプロのガイドが支援するサービスで、高い成果が出ています。
マネージャーひとりで心理的資本を高めることはなかなか大変です。ぜひご活用ください
ガイディングを学ぶPsyCap Master認定講座
ガイディングを学ぶPsyCap Master認定講座には企業のマネージャーの方も多く受講いただいています。マネジメントスキルとして学んでください。