2023年4月に上場企業で公開が義務付けられる「人的資本」。人材育成や次世代を担うリーダーの育成、健康や安全などのコンプライアンス、多様性への取り組み、そしてイノベーションが生まれる魅力ある組織人材であるかが公開されるようになります。
魅力ある人材、組織になるには、経営者の強い意志はいうまでもありませんが、組織の構成員を直接束ねる管理職がしっかりと理解し、推進していかなければ絵にかいた餅にしかなりません。人事部門がいくら旗を振っても動かすのは現場です。現場の管理職の能力差が人的資本に直結するともいえるのです。
先日、フジッコ株式会社の取締役の寺嶋さんが当社のセミナーに登壇いただいた際に話されていた「感情に疎い管理職」の話が興味深かったです。仕事において上の決定を忠実に実施することだけを求められて来た場合、相手がどう感じるか、どういう気持ちになるとやりがいを感じるのかよりも、ただ決められたことをやることのみに意識が向いてしまいがちになってしまいます。変革の時期ではこの感情の在り方にも変化が求められるというのです。
感情の理論には興味深いものがあります。ポジティブな感情とネガティブな感情がどう影響するかということです。「世界標準の経営理論」(著:入山章栄 ダイヤモンド社)によると下記のように整理されています。
ポジティブな感情
・仕事への満足度を高めやすい
・モチベーションを高めやすい
・他者に協力的な態度をとることを促す
・知の探索を促す=新奇性の高いアイデアなど
ネガティブな感情
・満足度が下がることによるサーチを促す
・知の深化を促す=修正・改善する意識を高めるなど
以上のように、これまで日本のマネジメントは、「問題を調べろ」「ミスをするな」「修正・改善せよ」であったため、ポジティブな感情よりもネガティブな感情のほうがむしろ効果的であったのでしょう。しかし、昭和の成長期の成功モデルは30年も前から崩れ始めてきていました。お上のいうことが正解の時代ではとっくの昔になくなっているのです。
今は、個人の能力を最大限に発揮し、新しいチャレンジを生みだしていくことで企業の成長を高める時代になっています。これからの管理職はポジティブな感情を引き出す能力も強く評価される時代になったのです。
管理職が上意下達の通過点でしかないことの問題は、個人の意志(Will)を持っていないことも大きな問題です。
当社の中核人材の心理的資本を開発する個別伴走型のCG1というサービスを提供する中で、自身のWill(意志)を問うていくのですが、最初は多くの人が自分のWillと思って発言することが、会社の理念や方針になっています。自分ごととして捉えていないばかりか、考えてもいないのです。
そんな上ばかりを見て、「決められたことだからやれ」という指示では、部下は白けてしまいます。またはパワーハラスメントだと感じて強いストレス反応を起こす人も出てくるでしょう。
管理職として会社の方針を実現させることは大きなミッションです。ただ、それをやり遂げるには、メンバーひとりひとりの感情を理解し、管理職の個人の意志や考えの上で現場を鼓舞していく能力が必要です。
管理職にも大きな変革が求められています。ただ、管理職は多忙です。昔のように業務の管理を中心にしている時代ではなくなり、ダイバーシティ、コンプライアンス、多様な働き方など、多くのテーマを背負っています。それなのに「管理職だから自分たちで考えてやれ」と支援から突き放されている現実もあります。
管理職には特に心理的資本(やり遂げる自信・自らの意志を持ち目標達成に向かう心のエネルギー)の開発が重要な局面に来ていると思います。
ムードの理論というのがあります。それは感情は伝搬するというのです。ポジティブな感情を受ければ、自分もポジティブになり、ネガティブな感情を受ければ自分もネガティブになるというものです。まずは管理職自身がポジティブに思考の転換を体験することで活力あふれる職場、人づくりが実現できます
管理職の心理的資本を開発するなら
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2024.05.01
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