コラム

「配属ガチャ」が話題になっているので、二十年弱前の頃を思い出してみることにしました

「配属ガチャ」というのが、ある調査結果からの報道で話題になっていました。
自身の経験もふりかえりつつ、配属ガチャ不安を防げるものなのか?考察してみたいと思います。

配属ガチャにより勤務地と職種ともに希望が通らなかったら

話題の元になっていたのは、日テレNEWSのこの報道からです。

私自身の新人時代を思い返してみると、ものすごく「配属ガチャ」そのものでした。就職活動の時、入社した会社では「制作職」の選考を受けていました。そしてよくあるように実家もあるし慣れ親しんだ関西勤務が良いな~と漠然と思いながら、配属決定を待っていました。

入社直前に届いた配属の案内は、「東京勤務・営業職」だったのです。
勤務地はともかく、あの選考は何だったのか!とずっこけそうになったのを覚えています。
(だいぶ後から会社を辞めてから営業職になった理由を聞くことになるのだが、それはまた別の話)

不安が無いといったらうそになります。誰だって、初めて住む場所で、社会人としてスタートするのですから。しかも「思ってたんとチガウ!」職種でのスタートも、様々な会社の都合であり得るものです。もう私なんて不安のカタマリみたいでしたよね。

でも、思った通りに配属されることのほうが珍しいはず。もちろん企業の方針にもよりますが、それは採用活動が計画通りいっているのかどうかや、企業の事業戦略そのものが軌道修正したり、配属予定先の何らかの都合によるものなど、そんなことはつきもののはずです。

で、わたしが何故、すぐにその会社を辞めずに仕事を続けられたのか。いくつか理由はあると思います。

求人市場の違いはあるかもしれない

当時、就職氷河期の末期で、まだどちらかというと「買い手市場」といわれていた時期でした。就職活動はうまくやれた方では決してなく、とても苦労したことを覚えています。

だから、そもそも「就職先の見つけやすさ」という問題は大前提としてありそうです。配属ガチャなんて言葉、聞きもしなかったな。(ソーシャルゲームはまだ黎明期だったけれど、カプセルが出てくるガチャはスーパーマーケットで小学生の頃からよくやっていたな)

内定者時代にできた人間関係

内定をもらった後には、いわゆる「内定者アルバイト」で入社予定の会社の事務所に週1回~2回は足を運んでいました。そこで先輩社員たちとランチに出かけたり、時に厳しく指導してもらったり。また内定者どうしでも、皆で交流を深める機会が何度かありました。そんな関係性ができていたからなのか?この人たちと働いてみたいな、と感じていた部分も大きいでしょう。

もちろん入社前に去っていった内定者もいましたし、どう感じるかはその人次第。
でも「誰と働きたいか」は視野がまだまだ狭かった私という学生にとっては、十分過ぎるほど重要な意味を持っていたのだと思います。

事業内容への関心や共感

そもそも事業内容に何らかの関心や共感を持てているかどうかによっても、配属ガチャで思った通りじゃなくてもそこで働き続けるかどうかを決める大切な要素になると思います。

私の場合はもともと「コピーライター」の職種を志望し、その選考を受けて内定をもらっていました。でもその前に「インターネットを活用した事業をしていたこと」が、入社試験を受けてみようと思った根本だったように思います。それは自分が大学生時代にしてきた経験からです。

入社後はとにかく必死だった

入社後、案の定、営業職としては鳴かず飛ばず。そもそも自信も無く、なかなか成果が上がらなかったものです。でもOJTを担当してくれた先輩や、配属先のマネージャー、リーダー、先輩たちのフォローがあったから地道に続けられたのだと思います。少しずつ自分なりのスタイルも見つけられてきたものでした。とにかく駆け抜けた入社1年目でした。

結果はついてくるのかもしれない

チャンスとチェンジ

2年目になった直後くらいだったか。営業から、営業企画部門に異動の辞令が来た。せっかく関係を築けてきた顧客と離れるのは寂しいものでしたが、営業企画部門はWebサイトやメールマガジン、販促物等を企画したり、あらゆる市場調査を行ったりと、当初目指した「コピーライター」職とは異なるものの、実はより自分に合っていると感じられる部門への異動だったように思います。

今となっては、顧客の開拓の厳しさや、競合他社の強さ、ひとりひとりの顧客と対峙し、どんな課題を持っているのかを知る貴重で重要な機会を営業職をしながら得られたと思います。退職後もずっと連絡を取り合うような顧客との出会いもありました。
異動後の営業企画部門では、営業時代よりもある意味で厳しい現場で、当時の上司やリーダーもまた有り難い存在です。

自分の狭い希望のまま配属されず、こうした経験が得られたことは間違いなく自分にとってプラスに働いていると思います。結果論かもしれませんが、私はそれで良いと思います。

最初から自分が思い描いていた「キャリア」なんて、その通りならないです。その時の自分が、求められた場所で、どんな貢献をできるのかを考えながら試行錯誤して行動を積み重ねる。その結果として自分の「キャリア」になっていると考える方が自然です。

チャンスととらえられるかどうか。経験を意味付けできるかどうか。前提には何かしらのその人自身のWillと、やろうとしていること(やってきたこと)のつながりを認識できるかどうかがカギを握っているようにも思います。

不安払しょくをする機会を

フォローされている新人風の男性

とはいえ、誰だって不安なんですよね。新しいことや、思ってもみないことに挑戦するというのは、その人にとってリスクそのものなんです。それがポジティブな挑戦であっても、変化を伴いますし、ストレスだってゼロではありません。

簡単では無いかもしれないですが、やはり各々と対話し、フォローする機会がどれくらい持てているかが大切ではないでしょうか。”配属ガチャ”だと不安になっている個人は、自分自身の強みも正確には認識できておらず、これからどんな知識やスキルがどんな風に役立っていくかも知らない状態なのかもしれません。

「リスクテイク」して、その挑戦機会を活かすかどうか。そこは個人任せにせず、上司や先輩や育成担当者によるソーシャルサポートが何より大切だと思います。

心理的資本でいえば「レジリエンス(乗り越える力)」を得られる機会であり、新たな分野で「エフィカシー(自信と信頼の力)」を高められる機会でもあるんです。心理的資本を高める介入する手法が活かせるかもしれません。PsyCap Master認定講座も参考になさってください。

しかし、なんでも〇〇ガチャになっちゃうんですね~。運試し?

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

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・心理的資本の特徴
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執筆者プロフィール

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

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  • 小西ちひろ
  • 橋本豊輝
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  • 舞田美和
  • 岡本映一
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