コラム

1on1ミーティングの質と業績向上は関係する

職場におけるマネジメント方法のひとつとして定着してきた感のある「1on1ミーティング」の手法。先行き不透明かつ複雑でスピードも早い変化を前提とした社会、組織のフラット化が進む時代において必要不可欠になってきているのではないでしょうか。

とはいえ聞こえてくるのは、形だけ取り入れたものの、なかなかうまく機能していないという話や、どこまで効果があるのかという懐疑的な声の数々。もちろん、うまくやっているという組織の話もありますが、どれくらいその組織にとっての”業績”に効果を発揮しているかという話はほとんど聞こえてきません。

今回、成果が具体的に出る1on1ミーティングの在り方について迫りたいと思います。

業績への好影響のエビデンス

私たちは人材のパフォーマンスに影響することが研究で明らかになっている心理的資本に着目し、その開発を行うメソッドを用いた介入を”1on1ミーティング”の形式で6か月間行った結果の測定を行いました。

その結果、このような変化が生まれていることが明らかになりました。

対象者の変化の平均値(2022年7月時点)心理的資本スコア +7.0%
チーム状態スコア +5.7%
行動変容のスコア +10.0%
業績感のスコア  +11.4%

このデータは、介入する事前と事後の変化を心理的資本診断®を用いて測定した結果となります。

心理的資本の開発を行うプログラムなので、その値が高まるのはもちろんなのですが、明確にプラスの相関を見せているのがチーム状態、行動変容、業績に対する主観的評価です。ちなみに、何らかのプラスの変化をした方は対象者の皆さん全員(100%)に至りました。

引き続き検証を行って参りますが、本稿を執筆している時点での測定結果から導かれた内容です。

心理的資本の開発に焦点をあて変化を生む

心理的資本は、前向きに行動をしようとするポジティブなエネルギー源となるエンジン部分。やりとげる自信のようなものです。

自信がつくことで、チームメンバーとの関わり方に変化が生まれたり、他者を認めることができるようになれば、チームの状態に対する主観的評価は向上するでしょう。コミュニケーションが改善し、心理的安全性のある状態に一歩近づくと思われます。

また、目標に向けて行動を起こし結果を出していくことにもつながります。少なくとも行動を起こすことができているということは、遠からず成果につながってきます。

そして各々が持つ業績の目標に対するポジティブな変化の実感を得られているということは、直接・間接あると思いますが成果に実際につながっているということです。

成果の出る1on1ミーティングの共通点

どのようなことがポジティブな影響を与えているのか。1on1ミーティングを行っていくうえで、重要な示唆があると思います。

  • Willの気づきを促し、向き合っている
  • 具体的な行動の宣言とその背中を押している
  • 行動した結果のふりかえりとフィードバックを行っている
  • 資産や強みについて対話を通じて自己認識を促している
  • 承認を欠かかさないようにしている
  • 相手の行動性向タイプを理解した支援を行っている
  • 目標や行動のふりかえりを日常的に行っている

これらは一例ですが、共通点です。

6か月間、これらを意識しながら1on1ミーティングを月1回実施しながら6回転のマネジメントサイクルがまわっているとイメージしてください。

個人のWillと組織のミッションとのつながりをどう見出すか。適切な目標設定を支援できるかどうか。行動を後押しできるかどうか。良かったところや、強みをしっかり見つけることができるか。フィードバックをしっかりできるか。自分と相手の違いを理解しながら対話をできているか。

どれくらいできているか振り返ってみていただければと思います。

そんなの完璧にできないよ、だと思います。
ですが、できることから始めてみていただけると、良い変化が生まれる可能性が高くなります。

1on1ミーティングは、マネジメントにおける大切なコミュニケーション機会。その質を一歩ずつでも、良くしていくことで組織に良いサイクルが生まれるのではないでしょうか。そうして少しでもイキイキとした人と組織が増えることを願います。

1on1を取り入れた介入プログラムとは

今回、1on1ミーティングの質と成果に関する検証で、上記で介入プログラムとしたのは、私たちBe&Doがサービス提供をしている「CG1」です。

このプログラムは、個別の6か月間の伴走型トレーニングを実施します。あくまで外部の第三者としてではありますが、月1回のオンラインによる1on1ミーティング(プログラム内では心理的資本を向上する面談ということで、HEROセッションと呼称しています)を、ガイドと呼ばれる面談担当者が実施します。

ガイドのバックグラウンドは、マネジメント経験者、人事コンサルタント、コーチ、カウンセラー、現役人事・マネジメント者が中心であるだけではなく「心理的資本」の開発を軸にしたプログラムの進め方を身に着けた信頼できる方々です。ガイドは時にコーチであり、時にメンターであり、時にアドバイザーにもなりながら、対話と支援を行います。

加えて目標達成に向けたプロセスとコミュニケーションを支援する仕組みを使い、1on1(HEROセッション)の間を補完しています。しっかりとデータでのフィードバックレポートも行います。

今後を担う人材のさらなるリーダーシップ発揮の促進や、キャリア自律支援、マネジメント力向上などを目的にご導入いただいています。

心理的資本を開発する”HEROセッション”という名の1on1ミーティング、詳しく知りたいという方は、お気軽にお問合せください。

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

心理的資本の概要/高める方法を資料で詳しく見る!心理的資本とは、人が何か目標達成を目指したり、課題解決を行うために前に進もうと行動を起こすためのポジティブな心のエネルギーであり、原動力となるエンジンです。「心理的資本について詳しく知りたい」方は、以下の項目にご入力のうえ「送信する」ボタンを押してください。
◆資料内容抜粋 (全16ページ)
・心理的資本が求められる背景
・心理的資本の特徴
・構成要素「HERO」の解説/開発手法とは? など

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執筆者プロフィール

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

研究員リスト

  • 赤澤智貴
  • 小西ちひろ
  • 橋本豊輝
  • 石見 一女
  • Li Zheng
  • 心理的資本研究員
  • 下山美紀
  • 舞田美和
  • 岡本映一
  • 雪丸由香

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