「出世なんか、全然したくなかったんですよ」
私が担当する「CG1(旧サービス名:CareerGoals1on1)」の開始前オリエンテーションで、Yさん(50代、男性)が思わず本音をポロリと話してくださいました(※実際の事例をもとに内容を一部脚色し、守秘義務に反しない範囲でご紹介しております)。
Yさんの本音(Before)
Yさんは入社以来ずっと技術系でキャリアを歩んできた方で、つい最近、その部門の長へと抜擢されたものの、内心ではそれを喜べないどころか、”不遇だ”とすら感じておられたとのこと。
一方、Yさんの所属企業のご担当者からは、YさんをCG1の参加メンバーに選抜された理由として「これまでの経験を踏まえながら、より一層リーダーシップを発揮して活躍してもらいたい」という期待をお聞きしていた私は、きっとYさんにとっては、そんな会社側の期待がプレッシャーとして感じられていらっしゃるかもしれないなと、そっと仮説を立てました。
よくよくお聞きしてみると、Yさんはポツリポツリとこんな気持ちを話してくださいました。
- 周りから過大評価されているが、その期待に応えられないんじゃないか?という不安がある。
- 尊敬する前任者を見ていて、あんな風にはとても自分にはなれそうにないという気がする。
- プレイヤーとして自ら動くことが楽しいし、技術者としての専門性を高めたいという想いがあるので、マネジメントは向いていないと感じている。
だけど、会社の中では、そんなことは言えない。立場的にも弱音を吐くことはできないし、胸を開いて本音で相談できる場所も相手もいない。だから、自分の中で必死で消化して頑張らなければ、と思っている・・・だけど、どこからどう行動すればいいのかわからず焦りだけがある・・・そんな本音もお話くださいました。
実際、オリエンテーション前に受検いただいた心理的資本診断(心理的資本:心のポジティブなエネルギーの状態を測る簡単な診断テスト)でも、総じてスコアがとても低くなっている様子が見て取れました。
Yさんへの処方箋(提案)
お話されているご様子から、きっとその誠実さとひたむきさから、周りからの信頼も厚い方なんだろうな、だからこそ今回の抜擢になったんだろうなと合点がいく、そんなお人柄をお持ちのYさん。一方で、いわゆる「俺について来い」というような、グイグイ引っ張るリーダーシップを取るのはきっと苦手でいらっしゃるだろうなと拝察しました。
決してやる気がないわけではなく、むしろ「期待に応えて責任を全うしたい」という想いが強いからこそ生まれている不安に戸惑っていらっしゃるのですが、この会社や周りから向けられているだろう「期待」の中身への誤解があるのでは?と私には思えたので、次のようにご提案してみました。
「Yさんは、前任者のような人こそがリーダーだと感じていらっしゃるがゆえに、部門の長は、彼のようにならなければと思っていらっしゃいませんか?でも、おそらく、会社や周りの方がYさんに期待されているのは、私にはそういうことではないように思えます。YさんにはYさんのご経験や特性を活かしたYさんらしいリーダーシップのスタイルがあると思いますし、むしろそれを期待されての抜擢なんじゃないかと思いますが、いかがですか?」
そうお伝えすると、「確かに、前任者のようにならなければと思っていたかもしれません。だから、それは自分には無理じゃないかと感じていました。」とハッとされていました。
そこで今回のCG1プログラムでは、「自分らしいリーダーシップとは何か?を見つけて実践していくこと」をスタート地点でのテーマとして進めていくことをご提案し、その人の強みに焦点を当てながら行動を引き出すことの得意なガイドを、Yさんの担当に選任させていただくことにしました。
YさんのAfter
「出世なんかしたくなかった」そんな後ろ向きな発言からスタートしたYさんでしたが、粘り強いガイドからの支援を支えに、6ヶ月のプログラム終了時点では、「自分らしさ、に自信を持てるようになりました!」と晴れやかに嬉しいご報告をくださいました。終了時点での心理的資本診断の結果も、驚くほどスコアが上昇しており、ポジティブなエネルギーいっぱいに活躍を始めておられる様子が伝わってきました。
ご依頼元の企業担当者からも「パッと見てわかるほどに表情がイキイキとして、自信が出てきていてびっくりしている」という嬉しいご評価も。
「出世なんかしたくなかった」そんな気持ちの裏側には、「本当はもっと活躍したい」という願いがあったということ。ご支援できて本当に嬉しいです。Yさんのこれからのご活躍を、心から応援しています。
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