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心理的資本の活用事例・ビジネスの最前線を知る|人的資本経営を成功させるために

人的資本経営のコアとなる「心理的資本」

「心理的資本(Psychological Capital/略称PsyCap)」とは行動を起こすための前向きな心理的エネルギーです。近年、人材を資本と捉えて経営に活かす「人的資本経営」が注目されていますが、心理的資本は人的資本のコア(土台)です。知識・スキルである人的資本(知識・スキル)や社内外の人的ネットワーク(社会関係資本)を活かすためには、心理的資本が鍵となります。

実務者によるビジネス現場での心理的資本の活用実例

2022年10月よりPsyCap Master®認定講座が開講され、各地で「日本心理的資本協会認定 PsyCap Master®(サイキャップマスター/心理的資本開発指導士)」が活躍しています。本記事では、実務者による心理的資本を用いた組織開発事例について、PsyCap Masterの取組みを網羅的にご紹介します。

(各紹介には詳細記事へのリンクを付けています。具体的な内容は記事をご確認ください。)

社員研修で活用(人事・組織開発推進)

「努力すれば成長できるという自信」を研修で新入社員に伝える(離職防止)

所属企業で人事部長としてご活躍されている藤原裕史さんは、「努力すれば成長できるという自信」を新入社員に持ってもらいたいが、そのようなマインドをうまく体系的に教えることが難しいと感じておられました。「従来の経験値的な採用や育成ではなく、科学的に再現性があって、かつ体系的に伝えられる方法」を探す中、心理的資本という考え方に出会い、PsyCap Master認定講座を受講されました。

藤原さんは新入社員研修としてレゴ®ブロックを積み上げる体験学習を実施し、課題の間に時間を設けて、新入社員に必要なマインドをHEROの概念を取り入れながら参加者に伝えました。「みんなの腹に落ちた」と手ごたえを実感されたそうです。実際、入社後の定着に繋がっています。

▼インタビュー抜粋
今年度の新入社員研修では、レゴ®ブロックを積み上げるチーム対抗戦を通じた体験学習のトレーニングを実施しました。そこにHEROの概念を取り入れて、新入社員の一人ひとりがこれから社会人として活躍するための自信を持ってもらうこと、またそのようなマインドを身に付けてもらうことを大きな目標としました。私は長く新入社員の研修に携わってきましたが、最近の新入社員の傾向として、「こうありたい」というWillは持っているけれど、その目標に到達するための複数の道筋を描くWayの力が不足しているという印象を持っています。

その根本的な原因として、「自分にできるだろうか」というように自信がなく、強いEfficacyを発揮できていないのではないかと私は考えています。一般的に、新人教育は社会人として必要な知識やスキルを身につけてもらうことが狙いですが、単に形だけを教えるだけでは不十分で、スキルを活かす土台として、努力すれば成長できるという自信を持ってもらいたいと思っています。

ただ、私が感じていた課題は、研修の中で新入社員に対して、そのようなマインドを持つ思考の仕方をうまく体系的に教えることが難しいという点です。まさにそこを心理的資本のHEROの考え方で説明できると思い、今回の研修に取り入れることにチャレンジしました。

メンバーの意欲を高める支援スキルの向上(リーダーシップ開発)

PsyCap Masterの吉田生美さんは、所属企業で「社員の意欲を高めるプロジェクトチームのリーダー」として活動されています。メンバーの意欲を高める支援が、リーダーの資質・力量に依存しており、差があることが課題でした。リーダーのスキルを高めるための共通の概念として、心理的資本やHEROのフレームワークを用いることができる可能性について受講インタビューでお話頂いています。

▼インタビュー抜粋
今までは、チームリーダーによってメンバーの意欲を高めるようなサポートに差がある状態でした。ただ、リーダーのスキルを高めるための共通の概念はなく、「Aさんだからできる」というような、リーダー自身の力量に依存してしまっている面がありました。リーダー層が共通認識として心理的資本の概念やガイディングを知っていれば、効果的なメンバー育成に活用できると思います。

例えば、心理的資本の構成要素であるHEROに基づいて、「Aさんはこんな状態だ」とリーダーが認識できれば、どういう点をこのメンバーにサポートしてあげたらいいのかがわかるようになってくると思います。

(中略)
プロジェクトチームとして、まずは心理的資本の概念やガイディングを組織の中で浸透させていきたいと考えています。まずはリーダー層に理解してもらえるように、ワークショップを企画中です。また、これから新たにリーダーになった社員に対しても、HEROを高めるにはどうしたらいいかを理解した上でチーム作りを進められるような状態にしていきたいです。「Aさんだからできる」ではなく、チームリーダー同士がお互いに人財育成で切磋琢磨できるような状態を目指します。

対話で活用(コーチ・キャリアコンサルタント)

1on1ミーティングで活用(キャリアコンサルティング)

PsyCap Masterの山崎美和さんは、山崎さんは社外のキャリアコンサルタントとして、クライアント様の従業員の1on1ミーティングの支援されています。面談の質を高めるために、心理的資本のノウハウを活用されています。

▼インタビュー抜粋

心理的資本診断(ツール名:HEROIC)を事前に受けていただき、診断結果のレポートを持って面談にきてもらい1on1ミーティングを進めています。まず大きな変化として、面談をこれから受ける方々が「このあと、自分の仕事への気持ちや意欲について聞かれるんだな」という心の準備ができるようになりました。診断にはそういった内容の質問項目が入っているからです。(中略)

その後、レポートを一緒に見ながら話を進めますが、私からではなく逆に面談を受ける方から「このコメントは自分に当てはまります。こういう経験があって・・・」といった具体的な話を色々と話してくれるんです。レポートが会話のきっかけとなり、相手が自然に話してくれる関係性ができるのは大きな変化です。その結果、面談が「何のための時間だったんだろう?」と感じさせることがなくなり、満足度も上がっています。

さらに、診断結果で心理的資本の中に特定の要素が低く出た場合でも、「これからどうやって高めていけばよいか」という私からの提案を皆さん前向きに受け入れてくださいます。これも診断を活用する大きなメリットであると思います。

コーチングに心理的資本を活用する(エグゼクティブコーチ)

コーチングに心理的資本開発手法(ガイディング)を組み合わせる手法の一例を紹介します。エグゼクティブコーチであり、PsyCap Master(心理的開発指導士)である藤間美樹さんに、コーチングのおける心理的資本の活用をお話いただきました。

▼セミナー:エグゼクティブコーチと考える1on1ガイディングよりコメントを抜粋

Q.コーチングを行う中で、ガイディングをどう活かしていますか?

藤間さん:コーチングにも基本の型はありますが、一流の方は流れるように自然に対話するんです。逆に良くないコーチングは、目の前にいるクライアントに意識を集中できていない。次に何を聞こうかと迷っていると意味がありません。では、どうすれば良いのか。コーチングのスキルは、”問いの聞き方”と言われます。それもあるけれど、私は”何を聞くか”も大事だと考えています。

特に、コーチングテーマが人材育成や組織開発になる場合、心理的資本の「HERO」のフレームワークを理解していると効果的です。コーチングはコーチによって様々なやり方があります。私の場合、クライアントの頭の中の意識や悩みを”HEROの地図”として見ていくことをイメージします。クライアントは地図のどこにいるのか考え、「HEROのここの領域は大丈夫だな(あるいは弱いんじゃないかな)」「HEROのここはまだ話に出ていないから聞いてみよう」といった具合に対話を進めます。

現場マネジメントで活用(リーダー/管理職)

化学メーカーで生産管理部門の管理職としてチームを率いる小助川宏明さんは、トラブルが起こってしまう原因にコミュニケーションの齟齬があると考え、コミュニケーション向上や自らの意志でイキイキと働いていける人を増やす取り組みを進めるべく、自部門に加えて会社全体を巻き込んだ「ウェルネス活動」を行っています。

自部門のマネジメントにおける心理的資本の活用について、以下に記事の一部を紹介します。

▼インタビュー抜粋
私のほうから製造管理スタッフに対して講座で学んだ知識を日々伝えるようにしています。例えば、オペレーターの皆さんへのレシピ(指示書)に「こういうミスをしないように」とスタッフが書くことがあります。私は文章をチェックする役割なので、「ミス回避ではなく、『こういう風に適切に業務を進めましょう』と表現する方が、伝える相手に前向きな気持ちになってもらえるかもよ」とフィードバックするようにしています。このフィードバックは心理的資本の「接近目標」の考え方です。
(中略)
一緒にウェルネス活動を推進している保健師さんは、「小助川さんの使っている言葉が変わったよね」と言ってくれています。自分にそこまで自覚はないんですけど、確かに講座を受ける前後では社内で話すときに言葉が出てくるようになったと感じてます。実は講座テキストは常に現場で持っているんですよ。「これってここに当てはまるなあ」とか、「これ、ここに適用できないかなあ」とかを常に考えながらやっています。「明確にこういう風に定義されていて…」という風に説明を加えることもありますね。

心理的資本開発の定量的な効果

社員の心理的資本を測定する方法として、㈱Be&Doが提供するHEROIC診断があります。HEROIC診断に搭載されている『心理的資本診断®』は、日本における心理的資本研究を牽引する開本浩矢氏(大阪大学大学院 経済学研究科 教授)の監修を受けて開発されたものです。

心理的資本開発の定量的な効果として、㈱Be&Doが提供する心理的資本開発型リーダーシップトレーニング「CG1」の受講者の声をご紹介します。CG1プログラムでは、組織のリーダー(主に部長・課長層)を対象に、定期的な6ヵ月の個別1on1トレーニングを行っています。

受講者には、事前・中間・事後で心理的資本診断を用いた変化を測定しています。2025年12月時点の速報では、心理的資本は平均で14.3%Upとなっています。

実際の受講者の声は受講インタビュー記事よりご覧ください。

さいごに

人的資本経営・エンゲージメントを高める鍵として、心理的資本の概念がこれから普及期を向かえることと思います。心理的資本開発において、ぜひ本記事をご参考になれば幸いです。

㈱Be&Doでは、2026年1月より人材・組織のリスクと伸びしろを発見する診断『HEROIC(ヒロイック)』を活用したパートナープログラムの提供を開始しました。パートナーは「感覚的なアドバイス」から脱却し、経験や勘に頼らず、データと科学的根拠に基づいた納得感のある的確な組織変革支援・人材への介入支援が可能になります。
詳細はウェブサイトをご確認ください。

赤澤智貴

赤澤智貴

株式会社Be&Doの事業開発ディレクター。学生時代、野球部キャプテンでチームマネジメントの失敗を経験し、「人を怒りでコントロールするのではなく、前向きな気持ちやモチベーションを引き出すリーダーシップ」が重要と気づく。新卒で採用支援会社にて企画営業を経験した後、2019年に株式会社Be&Doに参画。事業開発全般を担い、個人・組織の心理的資本の向上を追及している。また、アンガーマネジメントの普及活動にも取り組み、関西支部副支部長 兼 本部委員としてコミュニティ運営にも携わる。プライベートでは2025年より社会人お笑いに挑戦中。

心理的資本の概要/高める方法を資料で詳しく見る!心理的資本とは、人が何か目標達成を目指したり、課題解決を行うために前に進もうと行動を起こすためのポジティブな心のエネルギーであり、原動力となるエンジンです。「心理的資本について詳しく知りたい」方は、以下の項目にご入力のうえ「送信する」ボタンを押してください。
◆資料内容抜粋 (全16ページ)
・心理的資本が求められる背景
・心理的資本の特徴
・構成要素「HERO」の解説/開発手法とは? など

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執筆者プロフィール
赤澤智貴

赤澤智貴

株式会社Be&Doの事業開発ディレクター。学生時代、野球部キャプテンでチームマネジメントの失敗を経験し、「人を怒りでコントロールするのではなく、前向きな気持ちやモチベーションを引き出すリーダーシップ」が重要と気づく。新卒で採用支援会社にて企画営業を経験した後、2019年に株式会社Be&Doに参画。事業開発全般を担い、個人・組織の心理的資本の向上を追及している。また、アンガーマネジメントの普及活動にも取り組み、関西支部副支部長 兼 本部委員としてコミュニティ運営にも携わる。プライベートでは2025年より社会人お笑いに挑戦中。
研究員リスト
  • 赤澤智貴
  • 小西ちひろ
  • 橋本豊輝
  • 石見 一女
  • Li Zheng
  • 心理的資本研究員
  • 下山美紀
  • 舞田美和
  • 岡本映一
  • 雪丸由香
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