コラム

阪神タイガース優勝の背景から考える9つの岡田監督流マネジメントの極意

阪神タイガースが久しぶりにアレを達成、もといリーグ優勝を成し遂げた。

さて、今回の快進撃には、いくつもの要因が重なり合っているものという前提だが、そのひとつには岡田監督の采配や選手マネジメントがあるだろう。このことについて、いてもたってもいられずコラムにしたいと思う。思い切り野球用語が登場するが、今回はご容赦いただきたい。

もちろん岡田監督の采配だけではないと思う。平田ヘッドコーチが二軍監督時代に育てた選手たち、そして矢野前監督が想いを持って育成視点で選手たちに挑戦を促した結果、優勝できる基礎となるような底力が培われたのではないかと思う。

こういった前提もそろったうえでの話だということは、予め触れておきたい。また、あくまで当事者ではないし、様々なメディアを通じて見聞きした話が前提であることもご了承いただきたい。しかしながら、人のパフォーマンス発揮を最大限に促し、チームとして勝利をしていくという時のヒントは存分にあると思うのだ。

例えば、

  1. 選手の特徴や好不調をとにかくよく「観察」しインプットしている。

  2. 勝利のために「人に投資」じゃなく「人を投資」している。

  3. 何手先も見越した計算されつくした「打ち手」の多さ。

  4. 下手に感情移入をせずに良い意味で選手を「駒」として扱う。

  5. 選手のポジションを固定することで生まれた「役割」の認識。

  6. やれることできることを丁寧にやる「普通」のことを徹底。

  7. 過度な重圧や意識から解き放つ「四球」戦略と「アレ」の言語化。

  8. 時に理不尽なことや危険が伴うことには先頭に立ち「選手を守る」姿勢。

  9. 選手の達成体験を促すメリハリのある「起用法」。

ざっとこんなところが今、私の頭の中でめぐっている。

監督として当たり前のこともあるかもしれない。けれど、その当たり前ができていないことも多いのが実態。なので有り難いのだ!

そこで、今回は、私なりに「心理的資本」の観点も踏まえつつ、これらについて考察をしてみたいと思う。

選手の特徴や好不調の観察

これは岡田監督ひとりでやっている訳ではなく、おそらくは平田ヘッドコーチをはじめ、嶋田コーチ、今岡コーチ、安藤コーチ、藤本コーチ、久保田コーチ、馬場コーチ、筒井コーチ、水口コーチ。コーチ陣からの意見もしっかり聞き入れて情報を集めているのだと思う。
選手とのコミュニケーションは、多いというわけではないといわれる岡田監督。(それでも以前より増えたと言われている)

インタビューや選手の起用法を見ていると、これでもかというくらい選手の特徴を活かしているように思う。と同時に、好不調の見極めも鋭い。明らかに不調であれば、遠慮なくスタメンから外すことや、場合によっては二軍に落として調整をすすめる。例えばエース級の投手たちであっても、遠慮なく二軍に落とす。でもそれは見限ったわけではなく、調整して戻ってこいというやり方だ。

いずれにせよ、選手のことをよく観察し、特徴を情報としてインプットしていることは当たり前のようだが、とても重要で大切なマネジメントの初歩の初歩だと思う。それを徹底しているように感じる。

よく観察してインプットしているからこそ、声をかけられるし、直接声をかけずとも、岡田監督の場合はメディアやコーチを通じて選手に伝えられることも多いだろう。これはポジティブな声がけでであっても、期待を込めた改善の声がけであってもそうだ。

選手ひとりひとりの持つ資産(強みの源泉となるもの)を適切に把握しながら、適切な機会を提供する。
好不調や特徴を把握しているからこそ、かけられるポジティブフィードバック。
前向きな行動の原動力となる心理的資本を強化するうえで、重要な要素だ。

人に投資ではなく人を投資

岡田監督の采配は、人を育てるために役割や抜擢をしているというよりも、その人の強みを最大限に活かすことでパフォーマンスを最大化することを前提にしているように思う。

分かりやすい例は、今シーズンから「ショート⇒セカンド」に守備位置をコンバートされた中野選手だ。彼の強みは守備範囲の広さと、思い切りの良い打撃センス、そして怪我の少ない身体の強さがあると言えるだろう。ただ、肩はそこまで強くない印象だ。送球は、手首のスナップをきかせて素早く投げることがうまい印象が以前からあった(あくまで私の視点)が、ショートの深い場所からの送球には本人も不安があったのではないだろうか。

守備範囲の広さ、素早い送球、身のこなしの軽さ。そういったことを活かせるのは、セカンドだろう。守備への不安が減ることで、打撃への集中力も増したように感じる。今シーズンのキーマンとも言うべき存在になったと言える。

これは人に投資しているというより、本来のその人の良さを活かしてパフォーマンスの最大化をはかろうという意図がしっかり見える。つまり「人を適材適所で必要なところに配置する」ということで、成果を生み出すために人を投資していると言えよう。

その結果として中野選手という「名セカンド」が生まれたと言えないだろうか。

その人の可能性を見出し、適切な新たな「領域」への挑戦を促し、自信をつけさせる。
これも前向きな行動の原動力となる心理的資本を強化するうえで、重要な要素だ。

何手先も見越した計算された「打ち手」の多さ

試合の中継を見ていると、すべての采配の打ち手に意味が感じられて面白いのだが、明らかに先を読んでいることが分かるものが多い。
また、相手チームの動きに対して、全て想定の範囲内という感覚で次の一手を打ってくることもしばしば。
逆に、相手チームの動きに対して、先を読んでいる故にまったく慌てないということも感じられる。例えその時に劣勢になっていようとも、勝負を急がない余裕というのだろうか。

これは展開Aになったら、打ち手Aを用意できているし、もし展開Bになったら打ち手Bを用意できている。もし展開Cになったとしても、様子を見ながら、終盤になって○○なシーンが来るだろうから、そこで勝負をかける打ち手Cを決行しよう。

きっとそんな風にいろんなシミュレーションが監督の頭の中をかけめぐっているように思う。いや、もしかすると、試合前から既にコーチや選手たちとのミーティングで共有されているかもしれない、とすら思う。

これは将棋好きといわれる岡田監督のなせる技といえるかもしれない。

多くのシミュレーションパターンを想定できているからこそ、自信を持って行動を起こせるのだ。例えそれが失敗しても、その時の次の一手すら用意してあるのだから。

岡田監督の醸し出す試合中の心の余裕は、勝利への(シーズン優勝への)見通しを立てることができているからだと考えられる。実はこれは岡田監督にとっての前向きな行動の原動力となる心理的資本を強化するうえで、重要な要素だ。

将棋

感情移入せず良い意味で選手を駒として扱う

岡田監督の采配を見ていて、勝負所での手札の切り方がものすごく気持ちよいと思う。これは勝負師そのものだ。

やはり”かわいい選手たち”という視点に立ってしまったり、その人に経験を積ましてやりたいという”親心”が働いてしまうことが良い側面もあるが、逆もまたしかりというわけだ。

これは投手の起用法法や、代打の起用タイミング、先発メンバーの選び方、一軍登録・抹消など様々な選択のシーンで問われる。

岡田監督は、ここぞという勝負所でいっさい選手の情などは意に介さない采配をふるうと思う。それは良い意味でだ。相手チームの切った手札に対して、最適な手札を遠慮なく切る。それは試合の勝利を目指した短期的な視点もあれば、長く続くシーズンの戦いを考慮したものまで見受けられる。

でも実は遠慮は無いけど、意外と配慮もしていたりするんだ。
疲れを蓄積し過ぎないように、抑えの切り札(クローザー)を担っていた岩崎投手をベンチに入れず自宅に帰って休めるようにするなどしているのだ。
ただこれも心をこめているというよりは、選手を休ませることで、心身充実して次の勝負所で活躍できるように戻って来いよ!という意味がこめられているように思う。

ほんとうにしっかりと心身を休ませ、充実させることができれば、パフォーマンスがよくなるのは明白。これの意味をはき違えている人はけっこういるよなと思う。それはさておき。

本当に良い意味で岡田監督は選手を「駒」として見ている。それはまるで将棋の駒のように!

これはあくまで私見だが、岡田監督はいざという時に選手を「駒」として扱えるように、無駄に感情移入し過ぎないようにしている節もあるのではないかと思う。その分、抜群のコミュニケーション力と人望を備える平田ヘッドコーチに、そういった選手のフォローやケアの役割を任せて、しっかりと役割分担しているのではないかと思う。
試合のテレビ中継を見ていて、いつも岡田監督の傍に平田コーチがいてサポートしているのが見て取れる。そういうことではないだろうか。

岡田監督にとって、選手はリーグ優勝、試合の勝利に向けた多様な方策を支える手段であり道具なのだ。でも決して冷たい意味の道具ではなく、大切な資源であり資産なのだ。
実はこのように捉えることも、前向きな行動の原動力となる心理的資本を強化するうえで、重要な要素だ。ひとりでやっているのではなく、コーチやスタッフや選手たちと共に進んでいるのだ。

選手のポジションを固定し役割で迷わせない

様々なポジションをこなせるユーティリティプレーヤーは、どんなチームでも重宝されることは間違いない。けれど、岡田監督はシーズンが始まる前からポジションの固定を宣言していた。

ポジションの固定は、選手に無駄な迷いを生ませないという効果が期待できるだろう。また、固定ポジションにすることで守備練習を徹底でき、守備をしっかりとこなせることにつながるだろう。それは選手の自信にもつながり、より攻撃面での気持ちの余裕につながるだろう。

仕事で捉えると役割の固定は逆効果のように感じる。それはちょっと違っていて、役割を固定するからといって「自分のやるべき仕事の範囲はここからここまでだ」という風になってしまうからダメなのだ。もっとその上位のところで「この仕事は○○を達成するためにやっている。そのために自分の役割と責務はしっかり全うする!」というスタンスであれば、そのプロセスも結果も違ってくるのだ。役割を全うしながら、目的のために自分ができることをやるし、他者を助けるようなこともするようになるのだ。この違いは大きい。

野球ならポテンヒットと言われるような、誰かがとりにいかなければならないものがある。当り前だが、みんな一所懸命にとりにいく。結果としてヒットになってしまっても、誰かがしっかりカバーする。これはチームが勝つためや、その先にある優勝のために戦っているからこそできることだ。

守備でしっかり自信をつくること。目的や目標を示したうえで、役割の認識を促すこと。そして、その中でできることを自分たちで考え行動することを促すこと。実はこれも前向きな行動の原動力となる心理的資本を強化するうえで、重要な要素だ。

やれることを丁寧にやる「普通」のことを徹底

岡田監督のインタビューでよく登場する「普通」という言葉。
「ふつうにやっとるだけやからのぉ、おーん」というコメントを今シーズン何度見たことか。ここにもすごく意味があると思う。

選手たちに限界を超えたスーパープレーや、奇跡を起こせといわんばかりのミラクルなゲームはいっさい望んでいないのだ。あくまで「普通のこと」を丁寧に積み重ねた結果、普通に勝つことを善としているのだ。

普通のこととは、アウトカウントに応じた守備の連係の仕方、走塁の仕方、バントをしっかり決める、投手は四球を極力出さない、ヒットじゃなくてもいいから出塁をたくさんする、そんな感じだろうか。

できないことはいきなり試合本番でできるようにならない。
練習してきたことをしっかりとやる。それぞれの選手が自分の役割や強みを認識し、その時できることを丁寧にやりきる。シンプルにその繰り返しなのだと思う。

一見すると「何を当たり前のことを?」と思われるかもしれない。または「そんなの簡単ではないか?」と思う人すらいるかもしれない。そうではないと私は思う。

これは試合中に訪れるであろう場面に備えて、当たり前にこなせるように練習を行ってきているという証拠なのだと思う。つまり徹底的に準備ができているからこそなせる技なのだ。そして「今、できることに集中する」ということの大切さも同時に感じられる話なのだ。

奇跡を待つことは意味をなさない。それよりも、来るべき機会に備えて、自分達にできる準備を粛々と普通にやりきることで、いざという時にその機会をものにすることができる。そのような捉え方をできることも、実前向きな行動の原動力となる心理的資本を強化するうえで、重要な要素なのである。

過度な重圧や意識から解き放つ2つの戦略

岡田監督はリーグ優勝が決まるまで「優勝」という言葉を一切使わず「アレ」で通しきった。選手も、そして健気なファンも、在阪メディアも皆が従った「アレ」だ。2023年のチームスローガンすら「A.R.E」なくらいだ。
これにより「優勝しなければならない」という重圧から幾ばくか解き放たれたのは間違いないだろう。浮足立つこともなく、着実に前に進む感覚があった。バカらしいという人もいるかもしれないが「言葉」の持つパワーはそれほどに大きい。

もう一つあるのは「四球(フォアボール)」に対しての捉え方だ。岡田監督は球団に掛け合い、四球の査定の方法を変えることを進言し、球団もすぐにそれを実行に移したというのだ。
四球は出塁するのだから、考え方によっては「安打(ヒット)」を打つことと同じ価値がある。なので、四球による出塁も査定のプラスがヒットと同等くらいに引き上げられたとか。これで「ヒットを打たなきゃ」というプレッシャーからも選手は解き放たれたのだ。
ここに現場と球団の戦略の一致が見えて、気持ちいい。

結果として、四球数が昨年までより圧倒的に増え、得点力の強化につながったのだ。阪神タイガースは飛びぬけて打率の高い選手もいなければ、圧倒的なホームランバッターもいない。チーム打率もそこそこ。ホームラン数にいたってはリーグの下から数えた方が早い。そんなチームだ。でも、四球による出塁が多いために、チャンスとなる場面も増えるわけだ。もともと投手力には評判があったチームだけに、得点力が強化されたのは大きい。

もうひとつここで面白い話題がある。
実際に岡田監督は「フォアボールでもいい」とチーム全体に言い続けていたという。その中で「根拠のある見逃し三振ならOK」という指示もあったようで、選手は相手バッテリーの配球をとてもよく考えるようになったそうだ。ボール球を無理にふりに行くこともなくなったし、ボール球だと自信をもって見逃して三振したなら仕方ないというような感じだ。

一方で低迷するあるチームでは「見逃し三振はダメだ」「振らなければ当たらない」というように監督がプレッシャーを与えたことで、出塁率がとても低くなり得点力の大幅な低下が叫ばれている。

そういえば今岡コーチの言葉にも面白いものがあったと記憶している。

「自分はボール球を振るなとは伝えたことは一度もない。打ちにいきながらボール球を見逃せる技術と、ヒットを打つ技術。この2つは間違いなく同レベルの技術だと思っている。」
「たとえば浮いたボールを狙ってほしい時、その高さを狙えと伝えるのか、低めを振るなと伝えるのか。僕は「絶対にこの高さに来るから、そこにタイミングを合わせる」というタイプだった。だから「誘い球が多いから振るな」とはあまり言いたくないんです。
自分にも金本さんみたいな選球眼があったら、今「ボール球を振るな」と言っているかもしれませんけどね。打者は「ここを振ると術中にはまるぞ」と言われると、その言葉が邪魔になって、打てる球までファウルになったり振れなくなるものなので。

2023年9月11日 日刊スポーツ

これは「接近目標」と「回避目標」の違いでもあります。
ビジネスシーンでも同様で「~にならないよう××するな」より「~になったら○○する」というように避ける言い回しよりも、近づける言い回しの方が良い行動結果につながりやすいのだ。

このような言語化の仕方も、選手のプレッシャーを低減し、良い緊張感に変える効果につながっているのかもしれない。実はこれすらも!前向きな行動の原動力となる心理的資本を強化するうえで、重要な要素になることを記しておきたい。

理不尽には先頭に立ち「選手を守る」姿勢

理不尽な判定やプレイには真っ向から立ち向かう姿勢を見せているのも岡田監督だと思う。勝利への熱い想いや、選手への想いがここから見え隠れする。だからこそ選手たちは、岡田監督のリーダーシップに刺激を受ける。フォロワーシップを発揮する。「あの人がここまで言うんだから、自分達もしっかりと毎試合向き合おう」というように気持ちが引き締まるものだ。

例えば、熊谷選手が盗塁を企図した際に、DeNAベイスターズの京田選手がベースを足で防いでしまってベースにたどり着けずアウトという判定になった場面。これを許してしまっては、お互いに大怪我のもとになるし、これがアウト判定になるとベースを塞ぐ練習がまかり通ることになる。そうなると、とてもよくない。とうことで、審判団に意見具申をし、球団としても機構にルール見直しの検討を促すことになった。結果として、異例のスピードルール改訂となったのだ。回答が来るまでは、なぁなぁにせず、試合前の審判団との握手もしない!という毅然とした態度をとったことも話題になった。

もうひとつは、近本選手が読売ジャイアンツ戦で死球(デッドボール)を脇腹にあてられ骨折したほぼ同じ場所に、ヤクルトスワローズ戦でまた死球をあてられた時のことだ。幸い後から打撲だったとうことで、大事には至らなかったものの、岡田監督はしっかりとメディアも活用して強い口調でメッセージを訴えたわけだ。梅野捕手も死球による骨折で離脱を余儀なくされている。だからこそだ。選手を守る姿勢を徹底しているように感じた。間接的にでも、そういったメッセージが耳に入れば、どうだろうか。嬉しいに決まっている。

岡田監督自身が、自分の軸をしっかり持ち、信念を持っているからこそ、とっさにこういった行動がとれるのだと思う。そういった影響力のあるリーダーの振る舞いは、間違いなく選手たちメンバーにも影響を及ぼすものだ。
実はこれも前向きな行動の原動力となる心理的資本を刺激しているのだ。

選手の達成体験を促すメリハリある「起用法」

岡田監督は将棋の駒のように選手たちを配置していくものの、単なる駒ではなくもちろん人としての達成体験を積めるように計らってはいる。ただ、それをしっかりと試合のプロセス、シーズンのプロセスの中にしっかりと埋め込んでいるように思うのだ。

例えば佐藤輝明(サトテル)選手の調子があがらないとき、二軍に落とすこともあれば、打順を下げることもあった。そこで少しでも何かつかめば、もう一度しっかりとチャンスを提供している。結果として本稿を執筆時点では新人から三年連続の20本塁打以上を記録し、チーム最多の打点をたたきだしているし、終盤にきて徐々に打率もあがっている。
ルーキーの森下選手に対してもそうだ。
一度へこんでも、立ち直り壁を乗り越える過程を経験させているのだ。もちろんチームの勝利を優先しながらも。

青柳投手や西勇輝投手、西純矢投手、才木投手など。調子があがらなければ、一線級の投手でも問答無用で二軍で調整を促す。でも、次のチャンスはしっかりとつくり続ける。
村上投手や、大竹投手、伊藤将投手には、二桁勝利をしてもらうことで自信に変えさせる。
中野選手には、全試合フルイニング出場しているので、最後までやらせてみることでこれも自信に変えるプロセスを踏んでいるように思う。

達成体験というのは、成功体験だけではない。うまくいかないことがあっても、それを糧にしながら、試行錯誤を行う場をつくっていくことで、成長を促すということだ。

ポジションを固定したのも、そのポジションでの試行錯誤をしっかりと繰り返すことで自信をつけるためでもあるだろう。

ひとりひとりが、それぞれの領域を拡げたり、深めたりしながら、試行錯誤を繰り返していく。またそういった機会をつくっていく。試行錯誤の機会がしっかりとあることは、前向きな行動の原動力となる心理的資本を強化するうえで、とてもパワフルに作用する。

最後に

方針が明確で、打ち手に意図が見えて、分かりやすい。すべてに一貫性が見える。これは傍から見ているファンにとっても面白いし、目標に向けた一体感を得られた気持ちになった。

これは何も今回取り上げたプロ野球のシーンに限らない。ビジネスシーンでも同様のことが言えるのではなかろうか。

久しぶりのタイガースのリーグ優勝。
選手ひとりひとりのタレントが揃ってきていることは言うまでもないが、他球団よりめちゃくちゃすごいかといえば、そうではない。とびぬけた選手がいるというより、全員が自分の強みや役割を理解しやり遂げた結果、というように感じるものだった。
フリーエージェントで大型選手を補強したわけではなく、この数年にわたりしっかりと育った生え抜き選手が中心のチーム。そう考えると、やはりここしばらくの育成中心のチーム運営も無駄ではなかったと感じられる。

中長期の組織づくり、人の活かし方のヒントがたくさあるように思えた。
改めて阪神タイガース優勝おめでとう!岡田監督ありがとう!!

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

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・心理的資本の特徴
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執筆者プロフィール

橋本豊輝

橋本豊輝

株式会社Be&Do 取締役 COO/日本心理的資本協会 事務局担当理事。PsyCap Master® Exsecutive Guide。組織活性化プログラムの開発・提供や、人材育成サービスの開発、マネジメント支援ツールの設計に携わる。企業の管理職や従業員など働く人のWellbeingをサポートする外部メンターとしても活動中。心理的資本を高める手法を追究している。著書に「心理的資本をマネジメントに活かす」(共著)中央経済社,2023年がある。

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