人事の方から、「Fさんは真面目な仕事ぶりを評価してせっかく管理職になってもらったのに、部下を引っ張る力が弱く、人に動いてもらうよりも自分がやった方が楽という感じで…指示されたことはきっちりこなしてくれるけど、リーダーシップが乏しいんですよね…」とご相談があったのは、昨年冬のこと。
会社全体として成長期を迎えているなかで、もっと組織をリードできる人材に育ってほしいという期待があり、FさんにCG1を受講いただくことになりました(※実際の事例をもとに内容を一部脚色し、守秘義務に反しない範囲でご紹介しております)。
ー人見知りで自信がない…
実際、CG1のオリエンテーションでお話を伺ってみると、「人見知りで自分のことを開示するのは苦手。みんなを引っ張るリーダーにならなきゃとは思っているが、元々がそういうタイプじゃないのでうまくいかず、どうしたらいいのかわからない…」と感じられているという、素直な気持ちをお聞かせいただくことができました。
Fさんに限らず、自己開示が苦手とおっしゃりつつも、オリエンテーションではご自分の課題感を率直にお話くださる方が多いのは、「本当はなんとかしたい」という想いをお持ちだからでしょう。社内では言えないそんな弱気な部分も、社外だから話していただきやすいということもあるのだろうと感じています。
事前の心理的資本診断を拝見してみても総じてスコアは低く、特に「自信と信頼の力=Efficacy」と「柔軟な楽観力=Optimism」に大きな伸びしろが見受けられました。そこで、人見知りなFさんがリラックスして話せるよう、温和で引き出し上手なガイドを選任し、6ヶ月間のプログラムをスタートしました。
ー自信もチーム力も大幅UP!
最初は戸惑いもあり、どこまで話していいんだろう?と手探りだったFさん。ですが、ガイドが最初からずっと自分に心を開いて話してくれているということに気づかれてからは、少しずつ自分がこれまで苦手だと感じてきたこと、こんな自分ではダメだと否定してきたことなども話せるように。
ガイドの伴走によって、そんな「ダメだと感じている部分」も否定しなくていいこと、そして一方で「できていること」に目を向ける大切さに気付いてもらえたことで、一番の課題だった自信のなさにも大きな変化が生まれました。
これまでは「~ができなかった」「~は(も)できていない」という思考で物事を捉える癖があったFさんですが、(少しでも)「~できた」「~できている」という思考が、着実に自分の中に定着してこられたと実感されたとのこと。
そうすると自然と前向きな気持ちや、周りにも前向きな気持ちを持ってもらうためにはどうしたらいいのか?という行動部分にも変化が生まれていきました。
自分や組織が目指す目標(Will)をただ漠然と目指そうとするのではなく、そうするにはどうすればよいかという具体的な道筋(Way)を複数考えて実際に行動していく、そして、部下たちに対しても単に指示を出すのではなく、そう動きたくなるにはどうすればよいか?を考えて働きかけるようになったとのこと。
仕事の話題以外ではほとんど部下とコミュニケーションを取ったことがなかった彼も、ガイドとの対話を通して、気軽な挨拶やちょっとした雑談の重要さに気づかれ、少しずつ工夫を取り入れていかれるようになりました。
6ヶ月後の心理的資本診断では、「自信と信頼の力=Efficacy」と「柔軟な楽観力=Optimism」だけでなく「チームの状態」のスコアでも大幅なUPとなり、確かな手ごたえを感じて終了いただくことができました。
Fさんのように、真面目で周囲の期待に応えたいという想いを強く持っている人ほど、自分のできないところやダメなところへの否定的な感情が、自信を失わせているケースは少なくありません。完璧にはできていなくとも、少しでもできているなら、「できている」と認めていいんだと思えるようになると、小さな自信が育っていき、やがてそれが好スパイラルへと循環してきます。
マネジメント職にあるFさんが、こうした自分を認める力をつけられたことで、きっと部下や周りの人の「できていること」に目を向けたマネジメントができるようになり、結果としてそれがチーム力の向上にも繋がったのでしょう。
欠点や至らない点を改善することも大事ですが、それ以上に、できている自分を認めて自信を高めることがパフォーマンス発揮の鍵となることを改めて感じた事例でした。Fさん、ありがとうございました!これからもますますのご活躍を応援しております!